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withコロナ時代の資金調達のイロハ②

withコロナ時代の資金調達のイロハ

銀行はここを見る ― 融資審査のポイント

 それでは、こうした事業計画のほかに銀行が重視するポイントとはどのようなものでしょうか。群馬銀行では融資の際、必要資料の提出とともに面談を実施し、開業予定の医師・薬剤師と直接対話する場を設けています。医師・薬剤師の医療技術(得意分野)や経歴だけでなく、その経営能力を判断することも面談の大きな目的です。面談における事業計画のプレゼンテーション能力、質疑応答への対応、開業後の資金計画に対する考え方などから、医師や薬剤師が確かな経営能力を持っているかを確認していきます。また、どのような会計事務所・コンサルティング会社との協力のもとに事業計画を作成したかも、重視されるポイントです。しっかりとした事業計画を作成するには高度な専門性が求められるため、これらの会社が確かな実績・実力を持っているかを確認したいと銀行は考えているのです。
 続いて資産背景の確認として、不動産、金融資産、生命保険等の保有状況がヒアリングされます。また、住宅や車両など個人としてのローンの残債も確認事項です。なお、このとき投資目的の物件に対する借入がある場合は融資判断に影響が生じる場合があるため、注意が必要です。
 資産背景については、本人だけではなく兄弟や配偶者など、家族も含めて確認されることもあります。また、保証人が必要となる場合もこうした情報が必要です。面談の事前に、適宜資料などを用意しておくことが望ましいと言えるでしょう。

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コロナ禍での開業に向けて

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 新型コロナウイルス感染症の影響は、医療業界にも及んでいます。感染拡大が続くなか、受診控えなどによる患者数の減少が続き、売上にも大きな影響が生じているのです。減少幅は診療科目によって異なりますが、特に顕著な減少を示しているのが、小児科、眼科、耳鼻咽喉科、歯科などと言われています。これらの診療科目で開業を考えている場合は、開業時期や借入額などについていつも以上に十分な検討が必要であると言えるでしょう。特に、運転資金は熟慮を重ねたうえで確度の高いものを算出すべきだと五十嵐氏はコメントしています。新型コロナウイルスの影響が長引くことで、収入が計画ほど伸びずに、当初借りた運転資金がショートしてしまう恐れがあるためです。前述のとおり、運転資金を再度借り入れたいという要望に対しては、銀行は非常に慎重な姿勢を取る可能性が高いと言えます。このような事態を回避するため、コロナ禍にあっては平常時以上に注意して計画を策定する必要があるのです。
 また、すでに開業しているクリニック・薬局が、新型コロナの影響により返済に苦慮しているという事例も見られます。こうした事情から銀行に相談する場合は、現在の売上と支出の状況の情報に加え、開業時の資金計画表、経営改善計画書、借入明細表なども用意しておけば、打ち合わせをスムーズに進めることができるでしょう。
 一方、ネガティブなニュースばかりではなく、現在の状況下で収益率の向上している領域も存在します。特に在宅診療を行うクリニックが躍進しており、この傾向は今後も継続することが期待されています。また、自費診療を踏まえた美容系クリニックの開業も増えていると言われます。

最後に

 今回は資金調達のポイントを、昨今の新型コロナウイルス感染症の影響も踏まえてご紹介しました。先の見通しが立てづらいこのような状況下では、十分な検討を重ねた信頼性の高い事業計画を立てることがいっそう大切になってきます。今回ご紹介したポイントも参考にしつつ、開業に向けたプランをさらにブラッシュアップしていきましょう。
 今後開業を目指す医師や薬剤師のなかには、「経営はどうにも苦手で……」とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ひとたび開業すれば、医師・薬剤師としてだけではなく、経営者としてもクリニックや薬局を導く手腕を発揮することが求められます。医療技術をさらに向上させるため日々自己研さんに努めるとともに、「自分は医師兼経営者であるのだ」という自覚をしっかりと持ち、開業に臨みましょう。

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