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電子カルテ 医師 事務長 2023.05.25 公開

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電子カルテの減価償却(耐用年数・取得価額)の計算方法とは?

電子カルテは医療の効率と質を高めるために必要なツールです。2022年の厚生労働省の調査によれば、電子カルテの導入率は一般病院で約60%、一般診療所で約50%にも上り、今後も電子カルテの普及は進んでいくと考えられます。一方で電子カルテは導入コストが高く、医療機関の運営においては大きな設備投資といえます。安定した運営をするには運営コストを最大限に抑える必要があり、電子カルテを導入した場合は正しく経費計上していくことが大切です。そこで今回は、電子カルテの減価償却について詳しく解説します。

※本内容は公開日時点の情報です

#開業検討 #機器選定ポイント #業務効率化 #事業計画 #システム入替

目次

減価償却とは?

減価償却とは、長い期間にわたって使用する設備の費用を一定の期間に分配して経費計上していく会計処理のことです。減価償却の対象となる資産は多くあり、建物、車両運搬具、機械装置などが挙げられますが、いずれも時間の経過とともに消耗されて価値が下がっていく設備となります。

一般的に、使用できる期間が1年未満のものや購入価格が10万円未満(条件によっては30万円未満)のものは減価償却資産とはならず、購入した価格を経費として一度に全額計上します。一方、減価償却の対象となる資産は一度に全額を計上することはできず、一定の期間内に分配して経費計上していくことが必要です。この「一定の期間」は設備の種類によって異なり、「耐用年数」と呼ばれます。

電子カルテは時間が経過するごとに価値が下がる資産とは考えにくいかもしれませんが、ソフトウエアとサーバーから成るため減価償却の対象となる設備の一つです。運営コストを抑えるためにも電子カルテを導入したら、減価償却を活用して経費計上していきましょう。

電子カルテの耐用年数は5年

ソフトウエアとサーバーから成る一般的な電子カルテは時間が経過するにつれて価値が下がっていくため、減価償却の対象となります。

国税庁によれば、ソフトウエアの耐用年数は5年とされています。また、電子カルテ導入のためにサーバーも購入した場合、サーバー自体の耐用年数は6年です。そのため、電子カルテのソフトウエアやサーバーの導入に要した費用をそれぞれ5年、6年に分けて経費計上していくことになります。

電子カルテの導入には数百万単位の費用がかかる上に、費用を5年や6年に分配して経費計上していかなければなりません。一度に多くの費用が出ていく一方、一年間で経費にできる幅が狭いため医療機関の経営状況によっては大きな痛手となるケースもあります。電子カルテを導入する場合には、耐用年数と一年間で計上できる減価償却額を念頭に資金の計画を立てるようにしましょう。

また、一般的な電子カルテは5年程度で買い替えが必要になります。耐用年数とほぼ同じ周期での買い替えとなりますので、減価償却をうまく計上できるように買い替え時期にも注意が必要です。

▽参考記事
国税庁『ソフトウエアの取得価額と耐用年数』
国税庁『LAN設備の耐用年数の取扱いに関する質疑応答』

電子カルテの取得価額の計算方法

ある設備を取得するために必要な費用を「取得価額」と呼びます。取得価額は、電子カルテのソフトウエアやサーバーそのものの購入価格だけではなく、実際に導入するために必要な費用も全て含めることが可能です。

具体的には、購入費用だけでなく設定にかかる工事などの費用、購入手数料、運送費、更新費用、人件費なども取得価額に含めることができます。経費計上を漏れなく行うことは、節税の第一歩です。電子カルテを導入する際には、どのような費用がかかったか正しく記録して減価償却していきましょう。

電子カルテは導入コストが高い設備投資ですが、購入価格だけでなく設置に必要な価格も含めて予算を考える必要があります。毎月かかる運用コストの考慮も必要ですが、総コストを計算して考えることが大切です。また、電子カルテはさまざまな業者が販売していますが、一社だけに限らず複数の業者の見積もりを比較して性能や使いやすさ、総コストを総合的に考えて決めるのがおすすめです。

なお、電子カルテを導入する際に厚生労働省や経済産業省などから助成金を得られる場合があります。少しでも導入コストを抑えるためには、これらの助成金を利用するのも一つの方法です。どのような条件が助成金の対象となるのかチェックして積極的に利用しましょう。

クラウド型電子カルテの減価償却はどうなる?

電子カルテの導入には数百万の費用が必要です。また、定期的に買い替える必要もあるため医療機関を運営する上で大きなコストとなっています。

これまで、電子カルテといえば医療機関内にサーバーやソフトウエアを設置して運用する「オンプレミス型」が主流でした。しかし、導入コストが高い上に定期的な買い替えも必要となるため、近年ではソフトウエアやサーバーの設置が不要で通常のパソコンからログインできる「クラウド型」の電子カルテを導入する医療機関も増えています。

クラウド型電子カルテは、従来のオンプレミス型電子カルテよりも導入や運用コストを抑えることができ、さらに常にバージョンアップが行われているため買い替えの必要もありません。クリニックの運営にとって大きなメリットがあります。

一方で、クラウド型電子カルテは時間が経過するにつれて劣化する設備ではないため、減価償却の対象とならない場合があります。多くは月額や年額の利用料が必要となりますが、これは減価償却ではなく1年間に全額を経費計上することが可能です。

ただし、クラウド型電子カルテの導入にも設定費用がかかったり、新たなパソコンの購入が必要となったりするケースもあります。そのような場合には、オンプレミス型電子カルテと同じく定められた耐用年数によって減価償却が必要です。

効率よく経費計上して資金計画を

電子カルテは診療の質や効率を高めるために必要なツールです。多くの医療機関で導入されており、今後も新たに導入する医療機関は増えていくと考えられます。

電子カルテの導入に必要な費用は減価償却の対象となります。一般的に電子カルテの耐用年数は5年ですが、効率よく経費計上できるように買い替え時期も含めて計画を立てましょう。また、近年人気があるクラウド型電子カルテは減価償却の対象にならず導入や運用コストを削減できる一方、初期費用などがかかる場合は減価償却が必要となることがあります。

どのタイプの電子カルテを導入する場合でも、複数の業者から総コストの見積もりを比較しながら、導入する電子カルテを決定しましょう。

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