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電子カルテ 医師 事務長 2023.10.25 公開

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電子カルテの代行入力が可能な「医師事務作業補助者」とは?

電子カルテを医師以外が記載する「代行入力」は違法ではありません。ただし、代行が可能なのは「医師事務作業補助者」という職種に限られます。一般に、医療秘書、医療クラーク、メディカルアシスタントといった名前で呼ばれることもあります。この記事では、医師事務作業補助者になる方法や業務範囲、代行入力の注意点などを解説します。

※本内容は公開日時点の情報です

#労務管理 #業務効率化 #医療政策 #マネジメント

目次

電子カルテの代行入力は違法なのか?

電子カルテの代行入力は、違法には当たりません。2008年度の診療報酬改定によって、医師事務作業補助体制加算が創設され、電子カルテの代行入力が法的に認められました。

ただし、電子カルテの代行入力は誰でも行えるわけではありません。最終的に、入力された内容の確認や承認は医師が行う必要があります。

電子カルテの代行入力が増える背景

電子カルテの代行入力は違法なのか?医療事務作業補助者の業務内容や範囲を解説

電子カルテの代行入力を依頼する背景として、医師の長時間労働が挙げられます。患者さんの診療や治療だけでなく、診断書や診療録などカルテ入力業務を行い、残業や休日出勤するケースも少なくありませんでした。

わが国では、今後も少子高齢化や、医療の担い手の減少が見込まれています。そこで、医師個人の業務負担を軽減する目的で、2024年4月に「医師の働き方改革」が始まります。

働き方改革では、医師の長時間労働の上限規制が適用されています。他職種の専門性を活かしたタスク・シフト/シェアも推進されており、医師本来の診療業務に専念するための環境が整備されつつあります。

電子カルテは誰が代行入力できる?

電子カルテの代行入力は、誰でもできるわけではありません。電子カルテに代行入力できるのは「医師事務作業補助者」と呼ばれる職種に限られます。

医師事務作業補助者について、以下で詳しく解説します。

医師事務作業補助者とは

医師事務作業補助者とは、医師が行う事務的な業務をサポートする職種のことです。2008年度の診療報酬改定により、医師のカルテ入力業務の負担を軽減する目的で誕生しました。医療機関によって名称はさまざまで、主に以下のようなものがあります。

  • ・医療秘書
  • ・医療クラーク
  • ・メディカルアシスタント
  • ・ドクターズクラーク

医師事務作業補助者には、特別な免許は必要としません。しかし、医師事務作業補助者として配置された職場において、6ヵ月間はOJT期間とされ、厚生労働省が定める32時間以上の研修を受けなければならないとされています。

▽参考記事
厚生労働省『医師事務作業補助体制加算』(PDF)

医師事務作業補助者の仕事内容・範囲

医療事務作業補助者の仕事内容や業務範囲は、主に以下の5つです。

  • ・電子カルテの代行入力
  • ・書類の下書き・仮作成
  • ・診察前の予診
  • ・診察や検査の予約・説明
  • ・各種書類の説明・同意書の受領
▽参考記事
厚生労働省『現行制度の下で実施可能な業務について』(PDF)

電子カルテの代行入力

医師事務作業補助者は、電子カルテの代行入力ができます。これまで、医師は患者さんの診察に当たりながら、カルテの記入も行っていました。

医師事務作業補助者が代行入力することで、医師は患者さんの診察に集中できるようになります。また、患者さんも自分に集中してもらえ、満足度向上につながる可能性が高まるでしょう。

ただし、代行入力は医師の具体的な指示のもとで行わなければなりません。入力内容に関する最終的な責任は医師にあるため、注意が必要です。

書類の下書き・仮作成

医師事務作業補助者は、診療録に記載された情報をもとに、以下のような書類の下書き・仮作成が可能です。

  • ・損保会社等に提出する診断書
  • ・特定疾患等の申請書
  • ・介護保険主治医意見書
  • ・紹介状の返事

他にも、入院診療計画書や退院療養計画書など、診療報酬を算定する上で必要となる書類の仮作成が行えます。これらの業務を代行してもらうことで、医師の業務負担の軽減につながりやすくなるでしょう。

診察前の予診

医師事務作業補助者は、定型の予診表を用いて、診察前の予診を行うことが可能です。

クリニックなどに来院した患者さんに対し、あらかじめ病歴や現在の症状などを聞いておくことで、医師の診察がスムーズに行えるでしょう。また、医師だけでなく、看護師の業務負担軽減にもつながります。

ただし、医師事務作業補助者は、患者さんの状態を判断することはできないため、あくまで予診表を用いたヒアリングのみの業務範囲となります。

診察や検査の予約・説明

医師事務作業補助者は、医師の具体的な指示のもと、次回診察や各種検査の予約も行えます。
診察や検査の予約管理として、オーダリングシステムを導入していれば、患者さんの診察後、次回診察や検査の予約をその場で代行入力することも可能です。また予約だけでなく、各種検査オーダーの代行入力や、定型的な説明、同意書の受領も行えます。

ただし、患者さんから医学的なことで質問や不明点がある場合は、医師や看護師の説明が必要です。

各種書類の説明・同意書の受領

医師事務作業補助者は、検査以外に、医学的行為ではない各種書類の説明・同意書の受領が行えます。

例えば、患者さんや家族に対し、入院時の案内を説明したり、書類を受け取ったりすることが可能です。医師は、入院に関する医学的な説明をするだけで済み、業務負担の軽減につながるでしょう。ただし、患者さんから医学的な質問や不明点が聞かれる場合は、医師・看護師の説明が必要です。

他にも、医師事務作業補助者が実施可能な業務として、以下のようなものが挙げられます。

  • ・カンファレンスの準備
  • ・医師の当直表作成
  • ・研究申請書などの事務作業 など

医師事務作業補助者が禁止されている業務の範囲

医師事務作業補助者が行ってはならないとされる業務は、以下のようなものが挙げられます。

  • ・医師以外から指示された業務
  • ・受付・窓口業務
  • ・診療報酬の請求事務
  • ・看護業務の補助
  • ・医療機関運営・経営のためのデータ収集
  • ・物品の運搬

それぞれ解説します。

医師以外から指示された業務

医師事務作業補助者は「医師事務作業補助体制加算」において「医師の指示で事務作業の補助を行う専従の者」と規定されています。

医療機関には医師以外に、看護師、検査技師、薬剤師などさまざまな職種の人が働いていますが、基本的に医師以外から指示された業務は行ってはなりません。また、医師事務作業補助者の業務範囲にも制限があるため、注意が必要です。

受付・窓口業務

医師事務作業補助者の業務として認められないものに、受付・窓口業務があります。

クリニックなどに患者さんが来院した場合、氏名・年齢・住所や連絡先などを登録したり、カルテを作成したりといった受付・窓口業務を行う必要がありますが、これらは医療事務の仕事で、医師の業務ではありません。

医師事務作業補助者は、医師の業務負担の軽減および処遇改善を目的とします。そのため、医師の担当ではない受付・窓口業務は、医師事務作業補助者の業務として認められません。

診療報酬の請求事務

診療報酬の請求事務も、医師事務作業補助者の業務範囲外です。

診療報酬の請求業務とは、カルテをもとに診療報酬明細書(レセプト)を作成し、保険者へ提出する業務のことで、一般的に、月初めの10日間に行われます。

保険証番号や病名・管理料・投薬・処置・検査などの算定内容をチェックして、医師へ修正依頼や相談、提案などを行います。レセプト業務は「医事課」が担当するため、医師事務作業補助者の業務に含まれません。

看護業務の補助

医師事務作業補助者は、看護業務の補助も行ってはなりません。

「医師事務作業補助体制加算」では、医師事務作業補助者の業務範囲について「看護職員の指示の下に行う業務又は看護業務の補助に携わること等のないようにすること」と定めています。

看護業務の補助業務は「看護助手(ナースエイド・看護補助などとも呼ばれる)」という職種が担当します。

▽参考記事
厚生労働省『医師事務作業補助体制加算について』(PDF)

医療機関運営・経営のためのデータ収集

医療機関運営・経営のためにデータを収集する行為も、医師事務作業補助者の業務範囲外となります。

そもそも医療機関運営・経営のためのデータ収集は「診療情報管理士」と呼ばれる専門職種の業務です。診療情報管理士は、医療機関における患者さんの診療情報を中心とするさまざまなデータベースを収集・分析し、医療の安全管理や経営管理に寄与します。

これらのデータ収集は、医師の事務作業には当たらないため、医師事務作業補助者の禁止業務に含まれます。

物品の運搬

「医師事務作業補助体制加算」において、物品運搬業務も、医師事務作業補助者の業務範囲外とされています。

院内では、衛生材料や滅菌された医療器材、書類、検体などの運搬が必要です。「医師及び医療関係職と事務職員等との間等での役割分担の推進について」に基づき、物品運搬業務は、看護補助者の活用や、物品運搬システムの整備によって、医師や看護師などの業務負担を図る必要があるとされています。

とはいえ、患者さんの状態を踏まえ、医師の指示のもと医師事務作業補助者を活用することは可能です。

電子カルテを代行入力するメリット

電子カルテを代行入力するメリットとして、主に以下の3つがあります。

  • ・医師の業務負担が軽減できる
  • ・医師本来の業務に専念できる
  • ・患者さんの満足度向上につながる

それぞれ解説します。

医師の業務負担が軽減できる

電子カルテの代行入力によって、医師はカルテ入力に費やす時間を大幅に削減できます。

厚生労働省の調査によると、医師事務作業補助者の導入によって改善・軽減された医師業務のうち、92.3%が「診断書や紹介状、意見書、処方箋、各種保険の証明書などの作成代行」となっています。

医師事務作業補助者による電子カルテ代行入力は、医師の業務負担の軽減だけでなく、長時間労働の是正にもつながるでしょう。

医師本来の業務に専念できる

電子カルテを代行入力することで、医師は本来の業務に専念できます。

医師の業務は、患者さんの診察や病状説明、治療など多岐に渡ります。電子カルテを入力するために、患者さんの診察に集中できなかったり、カルテ画面に集中してしまったりするケースは少なくありません。

医師事務作業補助者に電子カルテを代行入力してもらうことで、医師は患者さんとのやり取りに集中でき、質の高い医療を提供できるでしょう。

患者さんの満足度向上につながる

電子カルテの代行入力によって、医師は診療に専念できるため、結果として患者さんの満足度の向上につながるでしょう。

診察の合間に電子カルテを入力していると、患者さんよりもカルテ画面に集中してしまうケースは少なくありません。パソコン操作が苦手な場合、診察にかかる時間が長くなる可能性も考えられます。

電子カルテの代行入力によって、患者一人にかかる診察時間や、会計までの待ち時間が短縮できるでしょう。

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通常時は院内サーバーを利用し、スピーディーに操作を行い、障害時にはクラウド上のアプリケーションに切り替えられるため、状況に合わせて安心して使用できます。また、カルテ作成に関わるさまざまな作業を簡単に操作できるのも特徴の一つです。電子カルテの代行入力による記載漏れや見落とし防止にもつながり、業務効率化が図れるでしょう。

また、画像ファイリングシステムや予約システム、Web問診、自動精算機に至るまで約170社のシステム・機器との連携も可能です。業務効率化や医療の質、患者さんへのサービス向上につなげたい方は、お気軽にお問い合わせ下さい。

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電子カルテの代行入力で、医療の質の向上を

今回は、電子カルテの代行入力が行える医師事務作業補助者の業務範囲や、代行入力のメリットについて解説しました。

医師事務作業補助加算や、医師の働き方改革、タスク・シフト/シェア推進などによって、医師の指示のもと、電子カルテの代行入力が可能となっています。電子カルテを代行入力してもらうことで、医師の業務の負担が軽減するだけでなく、診療時間の削減・患者さんの待ち時間の短縮などに役立ち、結果として医療の質の向上にもつながるでしょう。

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