目次
医療機器の選定ポイント
変化が速い医療機器業界
先進国における高齢化の進展・デジタルイノベーションや、新興国・発展途上国の医療インフラ整備に伴い、世界的にみても医療機器は今後も発展していくと予想されています。国内においても高齢化や医療の高度化によって、医療機器業界は今後も拡大すると想定されています。
また、世界的なテクノロジーの進展を背景に、医療のあり方は変化しています。近年、世界的な動向として、個人がスマートフォンなどで予防・予後管理するプログラムの開発や社会実装も進んでいます。
このように、今後も新しい製品が次々と出てくる中、今まで使いづらさや機能に不満を感じていた製品がより使いやすくなるなどで、機器の買い替えや新規導入を検討している先生方も多くいらっしゃるでしょう。しかし、多くの医療機器は高額であり、導入にあたって少なくないコストがかかります。無駄な出費を抑えるためにも、自院にとって適切な機器の選定が重要になります。
医療機器はどのような観点で選ぶ?
自院が提供する医療に必要不可欠か
医療機器を選定する場合、まずは自院が提供する医療に適した機能を有し、さらに患者からの需要があるか考える必要があります。
例えば、地域密着型のクリニックの場合、性能のよい医療機器を導入しても、地域住民の需要がなければ機能を果たせません。医療機器は高額なケースが多いため、選定の段階から以下のような情報を明確にし、診療の中心となる機器を見極めることが大切です。
- ・自院の診療方針
- ・診療エリアの特徴(住民の年齢・性別など)
- ・近隣の医療機関の医療機器の整備状況
近隣の医療機関がすでに高額医療機器を導入していれば、地域の住民の需要を満たしている可能性があります。機器が被らないよう整備状況を確認したり、連携したりすることを念頭に入れておきましょう。また、医療業界を取り巻く状況を把握しておくことが重要です。政府は国民の健康増進や質の高い医療提供のため、医療DXを推進しています。そのうち「全国医療情報プラットフォーム」では、医療機関や薬局だけでなく、自治体、介護事業者などが一体となって電子データを一元化できるシステムの構築が急速に進められています。
時代の流れに則し、さまざまなシステムに連携可能な医療機器を選ぶことも必要といえるでしょう。
収益化につながるか
自院にとって収益化につながる機器かどうかも検討する必要があります。
医療機関における収益は、診察料や投薬料、処置料などのほか、検査・画像診断料などが挙げられます。検査・画像診断料は収益化につながりやすいものの、自院の特徴や近隣の状況に見合ってなければ、費用対効果が高いとはいえません。
地域のニーズや近隣エリアの状況を把握したのち、本格的に医療機器の絞り込みを行いましょう。院内の配置はどうするか、導線はよいか、電源の確保ができるか、他の医療機器との組み合わせは適しているかなどにも配慮が必要です。
また、医療機器導入後のランニングコストも検討しておくべきです。消耗品や保守費用、修理費用、アフターサービス体制なども確認しておきましょう。
電子カルテの選定ポイント
導入率が高まる電子カルテ
電子カルテの導入率は、2020年の時点で一般病院では57.2%、一般診療所においては49.9%となっています。400床以上の大規模病院では91.2%と高い普及率を示しますが、200床以下の小規模病院では半数以下です。とはいえ、2017年のデータに比べると、少しずつではあるものの普及率は上昇傾向にあります。
政府が国を挙げて推進している医療DXの一環に「電子カルテ情報共有サービス(仮称)」があります。「電子カルテ情報共有サービス(仮称)」は、オンライン資格確認等システムの活用が前提で、電子カルテの導入が求められます。2025年には「電子カルテ情報共有サービス(仮称)」が全国的に運用開始となるので、早めに電子カルテ導入を検討する必要があるでしょう。
▽参考
厚生労働省|電子カルテシステム等の普及状況の推移(PDF)
厚生労働省|電子カルテ情報共有サービス(仮称)について(PDF)
▽関連記事
電子カルテの普及率と導入率は?電子カルテシェアNo.1のメディコムの強み
電子カルテはどのような観点で選ぶ?
ここでは、電子カルテを選ぶ際、どのような観点が必要なのか解説していきます。
医療機器や他システムと連携できるか
電子カルテは、製品によって連携できる医療機器やシステムが異なります。電子カルテの導入によって得られるメリットを事前にリサーチし、自院にとって必要な機能を明確にしておくことが大切です。院内の医療機器やPACSなどの画像ファイリングシステム、Web問診システム、予約システムなどと連携が必要か、自院に合っているか比較検討しやすくなるでしょう。
例えば、弊社の電子カルテ「Medicom-HRf Hybrid Cloud」は、約170社の機器やシステムなどと連携できます。さまざまな機器と連携することで、クリニックに適した運用が可能です。
今後、全国的な電子カルテ情報共有の仕組みが整備されるため、自院に適した連携体制を構築することが求められます。
操作性はよいか
日々の診療で閲覧・入力する電子カルテは、操作性のよいものを選ぶことが大切です。操作性が悪ければ、業務効率が低下し、電子カルテ本来の機能を発揮できません。とはいえ「使いやすい」という感覚は人によって異なります。電子カルテの導入を検討する際は、必ず実際に試してみることが重要です。
電子カルテによっては、AIが自動学習し、普段よく使うセットや処方などを表示してくれる機能を有するものがあります。また、タッチペンやiPadを使って手書き機能を備えている電子カルテであれば、手書きのようにシェーマを描いたり、カルテを入力したりできます。
自院の特徴に合わせて、柔軟に対応できる電子カルテであれば、カルテ操作の時間が短縮でき、業務効率化につながるでしょう。
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使いやすい電子カルテの見極め方。利便性が高い電子カルテとは?
電子カルテ導入に必要な機材
必ず必要な機材
電子カルテ導入の際、必要な機材は以下の通りです。
必要な機材 | ・パソコン |
---|---|
・モニター | |
・サーバー | |
・インターネット回線 | |
・ルーター | |
・ハブ | |
・外付HDD | |
・UPS(無停電電源装置) |
電子カルテを使うためには、パソコンが必要です。受付、診察室にそれぞれ1台は必要で、病院・診療所の規模に合わせて台数を増やすのがいいでしょう。
パソコンの台数に合わせ、モニターが必要です。パソコン1台につき、複数のモニターを使う場合もあるでしょう。タッチパネル式の液晶モニターであれば、タッチペンで入力したり、画面を指で拡大縮小したりと、直感的な操作が可能です。また、画像専用のモニターを並べる場合もあります。
院内ネットワークを構築するため、サーバーを設置します。レセコンと電子カルテをネットワーク接続するだけでなく、各種検査機器などもネットワークにつなぎ、患者データを共有します。
システムアップデート、クラウドバックアップなどにインターネット回線とルーターを使います。ランサムウェアによるサイバー攻撃などを防ぐため、セキュリティ対策は重要です。
ハブはケーブルの接続口を増やす機器で、外付HDD(ハードディスクドライブ)は、システムのバックアップに使用します。
電子カルテは、停電時には操作できなくなるため、UPS(無停電電源装置)が必要です。災害により停電した際など、電子カルテに給電してデータ保存する時間を確保します。
場合によっては必要な機材
電子カルテを導入する際、場合によっては必要となる機材は以下の通りです。
場合によって必要な機材 | ・プリンター |
---|---|
・スキャナー | |
・ノートパソコン | |
・タブレット |
処方せんや紹介状などの各種書類を印刷するため、プリンターが必要な場合があるでしょう。とはいえ、今後医療DXの推進により、電子処方せんや電子文書が主流となるため、必要最低限の台数でよいと考えられます。
スキャナーは、紙資料や写真などをデータとして取り込むために使います。頻繁に使用することが想定される場合、専用機がおすすめです。
ノートパソコンがあれば、場所を選ばず電子カルテを使用できます。必要なカルテデータを往診先で閲覧したり、入力したりできるため診療の幅が広がるでしょう。
iPadなどのタブレットを使って、電子カルテとして使うことも可能です。診察室以外の場所でカルテを閲覧したり、タッチペンを使って入力したりできます。また、インターネット回線があれば院外でも使用できるため、訪問診療などで活用できます。
クラウド活用型電子カルテのご相談は「Medicom」に
ウィーメックス(旧PHC)の電子カルテ「Medicom-HRf Hybrid Cloud」は、オンプレミス型とクラウド型を融合させたハイブリッド型電子カルテシステムです。
通常時は院内サーバーを利用しスピーディーに操作を行い、障害時にはクラウド上のアプリケーションに切り替えられるため、状況に合わせて安心して使用できます。また、カルテ作成に関わるさまざまな作業を簡単に操作できるのも特徴の一つです。電子カルテの代行入力による記載漏れや見落とし防止にもつながり、業務効率化が図れるでしょう。
また、画像ファイリングシステムや予約システム、Web問診、自動精算機に至るまで約170社のシステム・機器との連携も可能です。業務効率化・医療の質や患者サービス向上につなげたい方は、お気軽にお問い合わせ下さい。
質の高い医療を提供するために電子カルテの導入を
今回は、電子カルテと医療機器のそれぞれの選定ポイントと、電子カルテに必要な機材を解説しました。日本では、全国の医療機関における電子カルテ情報共有の仕組みが整備されており、2025年には運用が開始される見込みです。そのため、今後も医療業界のデジタル化は急ピッチで進められるでしょう。医療・顧客ニーズの変化に対応し、質の高い医療を提供するためにも、電子カルテの導入を検討する必要があると考えられます。