目次
オンライン資格確認の義務化を受けて作業依頼が集中
2023年4月から保険医療機関・保険薬局にオン資の導入が原則として義務付けられます。それを受けて、導入に係る作業依頼が集中しており、大幅な遅れが出てきています。そこで、来年4月までに導入準備が間に合わない医療機関・薬局が続出している背景から、経過措置が設けられることになりました。
また、現在のオン資に関する診療・調剤報酬上の評価についても、さらに加速させたいと考え、2023年4月1日から12月末日まで、時限的に新たな評価が設けられることになりました。
オンライン資格確認の導入の経過措置
中医協総会に提出された「答申書」によると、2023年3月末時点で、やむを得ない事情がある保険医療機関・薬局は以下の通り経過措置を設けるとしています。
図 ケース別経過措置
やむを得ない事情 | 経過措置 | 補助金 | |
---|---|---|---|
1 | 2023年2月末までにベンダーと契約締結したが、導入に必要なシステム整備が未完了の保険医療機関、薬局 【システム整備中】 |
システム整備が完了する日まで【遅くとも2023年9月末まで】 | 2023年9月末 事業完了まで継続 |
2 | オン資に接続可能な光回線のネットワーク環境が整備されていない保険医療機関、薬局 【ネットワーク環境事情】 |
オン資に接続可能な光回線のネットワークが整備されてから6ヶ月後まで | 2024年3月末 事業完了まで継続 |
3 | 訪問診療のみを提供する保険医療機関 | 訪問診療のオン資(居宅同意取得型)の運用開始(2024年4月)まで | 2024年3月末 補助交付まで実施 |
4 | 改築工事中、臨時施設の保険医療機関、薬局 | 改築工事/臨時施設が終了するまで | 2023年2月末までに契約し、2023年9月末までに事業完了の場合には、補助金の対象 |
5 | 廃止・休止に関する計画を定めている保険医療機関、薬局 | 廃止・休止まで 【遅くとも2024年秋まで】 |
2023年2月末までに契約し、2023年9月末までに事業完了の場合には、補助金の対象 |
6 | その他特に困難な事情がある保険医療機関・薬局※例外措置又は1~5の類型と同視できるか個別判断 | 特に困難な事情が解消されるまで | 2023年2月末までに契約し、2023年9月末までに事業完了の場合には、補助金の対象 |
「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」の特例措置
オン資については、2022年10月の改定で、初診料および調剤管理料に「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」が設けられていますが、さらにオン資の普及を進めるために、2023年4月1日から12月末までの期間に限定して、新たな評価が設けられることになりました。
初診料(医科・歯科)の「医療情報・システム基盤整備体制充実加算1(マイナンバーカードの利用なし)」については、4点から6点に引き上げ、「医療情報・システム基盤整備体制充実加算2(マイナンバーカードの利用)」は据え置きとなりました。
再診料(医科・歯科)の「医療情報・システム基盤整備体制充実加算3(マイナンバーカード利用無)」については、2点(1月に1回)が新設されています。
図 医療情報・システム基盤整備体制充実加算の比較
2022年10月1日~ 2023年3月31日 |
2023年4月1日~ 2023年12月31日 |
||
---|---|---|---|
初診 | 加算1(保険証) | 4点 | 6点 |
加算2(マイナンバー) | 2点 | 2点 | |
再診 | 加算3(保険証) | ― | 2点 |
(マイナンバー) | ― | ― | |
調剤 | 加算1(保険証) | 3点 | 4点 |
加算2(マイナンバー) | 1点 | 1点 |
算定要件の時限的緩和
「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」の算定要件ついては、現在「オンライン請求」の開始が必要でしたが、光回線の工事が集中し遅延が発生している現況を踏まえて、「オンライン請求を2023年12月末までに開始する届出を行っている保険医療機関・保険薬局は、2023年12月末までの間に限り」要件を満たすものと、一部要件が緩和されています。
2023年4月のオン資の義務化が決定して以来、医療機関・薬局では導入準備を間に合わせようと、業者に対して駆け込みでの工事依頼が集中しています。2022年12月の時点で、「とても4月には間に合わない」と業者から断られるケースも出てきており、そのような状況を収めるために、今回「経過措置」が用意されることになりました。また、世界的な半導体の不足は続いており、光回線の工事も遅れが見られるため、今後もいくら急いでもなかなか進まない状況が続くことが予想されます。このような時は、早期に情報を集めるとともに、落ち着いて行動することが大切です。
一般名処方加算等の評価の見直し
2020年以降、相次いでジェネリック医薬品メーカーの不正が発覚し、業務停止命令や業務改善命令の行政処分が出され、様々な医薬品の出荷が次々に止まりました。その結果、長らく医薬品の供給が不安定な状況が続いています。そこで、患者への適切な薬剤の処方や、保険薬局の地域における協力促進などの観点から、一般名処方加算等についての特例措置が設けられることになりました。この特例措置は、2023年4月から12月までの9か月間に時限的に適用するとしています。
(出典)中医協総会資料(2022/12/23,厚労省)
また、「一般名処方加算」の施設基準について「薬剤の一般的名称を記載する処方箋を交付する場合には、医薬品の供給状況等を踏まえつつ、一般名処方の趣旨を患者に十分に説明することについて、当該保険医療機関の見やすい場所に掲示していること」が追加されています。
「外来後発医薬品使用体制加算」についても、以下の項目が施設基準に追加されています。
① 外来後発医薬品使用体制加算に係る届出を行っている保険医療機関であること。
② 医薬品の供給が不足した場合に、医薬品の処方等の変更等に関して十分な対応ができる体制が整備されていること。
③ ①及び②の体制に関する事項並びに医薬品の供給状況によって投与する薬剤を変更する可能性があること及び変更する場合には患者に十分に説明することについて、当該保険医療機関の見やすい場所に掲示していること。
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