PHCbi

CASE STUDIES 導入事例

医療法人社団協友会 柏厚生総合病院 薬剤科(千葉)

PHCbiの注射薬払出システムの導入で
薬剤の取り間違え防止と調剤業務の効率化を実現

医療安全確保と業務効率化のために注射薬払出システムを導入

▲注射薬払出システム「コンパクトシリーズ」の動画を見る

柏厚生総合病院(千葉県柏市)は多くの診療科を擁し、一般病床・HCU・回復期リハビリテーション病床を含めた計322床、8病棟を持つ地域中核病院である。ロボット手術や悪性腫瘍に対する凍結治療など高度先進医療も導入して高度急性期医療を強化するとともに、予防医療、慢性疾患管理にも力を入れている。

毎日多種多様の薬剤を数多く調剤している同院薬剤科では、PHCbiの注射薬払出システム「コンパクトシリーズ」を導入したことで薬剤の取り間違えを防止するとともに調剤業務の効率化が図られている。薬剤科長の松木祥彦氏に、注射薬払出システム導入のメリットと将来の運用プランについて伺った。

▲ 柏厚生病院が導入した「コンパクトシリーズ」のシステム構成

薬剤科では26名のスタッフが病棟薬剤業務と調剤業務などを行っており、調剤業務については毎日約140件分の内服薬と約160件分の注射薬処方を調剤している。松木氏は「当院は手術治療を伴う入院患者様が多く、周術期管理を円滑に行うために新規の機材や装置を積極的に導入しています」と話す。

入院患者の増加に伴い処方件数が1日に700~800件程度まで増えたことで、薬剤科では注射薬払出システム「コンパクトシリーズ」を導入した。システムは「トレー供給ユニット」、「アンプル・バイアル払出ユニット」、「ラベル区分払出ユニット」、「注射箋払出ユニット」、「トレー自動収納移載ユニット」で構成されており、アンプル・バイアル払出ユニットにはアンプルとバイアルを装填する143のカセットが挿入されている。松木氏も「オーダーから払い出しまでが実に速く、また、安定して稼動しています1)」と説明する。


導入の決め手は「コンパクトさ」と「迅速なサポート体制」

「コンパクトシリーズ」に決定した最大の理由は、そのコンパクト性にある。運用や設置スペースに合わせて必要なユニットを選択でき、払い出しの向きも含めて動線を考慮した装置の配置が可能なことに加え、24時間のサポート体制と迅速な対応が決め手だったという。

「PHCのスタッフは現場の実情に合わせたカスタマイズについても考えてくれました。たとえば、導入前にはラベルにマーカーペンで注意喚起のマーカーを引いており、こうしたことが注射薬払出システムでもできるかを相談して、注意喚起マーカーが印字できるようにしてもらいました。また、スタッフが無菌室で調剤している高カロリー輸液やカリウム製剤などについては定期払い出しではなく、臨時払い出しとして払出方法を分けてもらいました」(松木氏)。

「コンパクトなタイプ」とは言っても、それほど広くはない薬剤科にとってはやはり大きな装置であり、レイアウトについては限られたスペースのなかでスムーズに運用できるようにPHCのスタッフと検討を重ねたという。


製品導入後は薬剤の取り違え防止と業務効率化に大きく貢献

製品導入後は、調剤件数が増えているなかでも薬剤の取り間違えが起きていない。これは、スタッフの安心感にもつながっている。「取り間違えがほぼなくなったことは特筆すべきことです。導入前には監査の段階で取り間違えを防いでいたのですが、現在はすべてバーコード認証されたものがトレーに積まれており、これまでのところ取り間違えは起きていません」(松木氏)。

調剤に要する時間も明らかに短縮されている。従来は8時30分から8病棟全ての翌日分の注射薬処方を調剤しても、13時過ぎに終われるかどうかという状況であったが、製品導入後は、朝9時から始めて11時30分くらいまでには調剤業務を終了できるようになった。業務時間を2時間早めることができたことで、現在は13時には追加処方を受け付けて払い出している。もともと、遅番のスタッフに業務を引き継ぐなどして規定時間内で業務を終えるようやりくりしてきたのだが、製品導入後は明らかに残業時間が短くなっているとのことだ。

「コンパクトシリーズ」を導入した現在、調剤件数が増えているなかでも効率的で安心感のある業務体制が構築されている。特に土曜日出勤のスタッフは日曜日と月曜日の2日分の調剤業務を時間内に終えることができるようになった。「スタッフは午後に時間ができたことを喜んでいます。平日についても、調剤時間が短縮できていることで1人当たりの業務の幅は広がっています。注射薬調剤のスタッフは他のスタッフが行っている手術室や内視鏡室などへの払出業務に参加するなど、時間を効率的に使っています」(松木氏)。


2024年の新病棟完成に合わせてさらに機能強化を

▲ 2024年の新病棟完成後には「返品薬仕分・払出ユニット」
 「プラボトル払出ユニット」を追加予定

実は現時点における柏厚生総合病院薬剤科の注射薬払出システムはまだ完成形ではない。
現在はスペースの関係から「返品薬仕分け/払出ユニット」2)と「プラボトル払出ユニット」3)は設置していないが、2024年夏の新病棟完成後に両ユニットを導入する予定だ。

新病棟稼働後には現在の322床から420床に、病棟数も8病棟から15病棟に増えるため、調剤件数も大幅に増加するが、注射薬払出システムの導入など自動化を進めることで、スタッフ数をそれほど増やさなくても業務を回していけるという。

また、3次救急を担う救急センターの併設により、薬の変更や中止も多く発生することになるが、「返品薬仕分け/払出ユニット」の設置によってさらなる時間短縮につながることが期待されている。


対物業務から対人業務へのシフトで薬剤師の未来に貢献

今後、診療機能を上げ、病床数を増やしていくなかでの業務効率化に大きな力を発揮することが期待される「コンパクトシリーズ」。現時点の稼働状況には松木氏も非常に満足しているという。

「注射薬払出システムの導入による最大のメリットは薬剤の取り間違えを防止できていることです。取り間違えは絶対に起こしてはならないミスであり、それが防げていることは我々の安心感にもつながっています。見学に来た学生も『これがあるなら安心。ここで働きたい』と思ってくれているようです」(松木氏)。

「PHCbiをはじめとしたメーカーの皆さんには、この注射薬払出システムのように、機械による業務のシステム化と効率化を図っていただきたいと思っています。業務効率の向上を通じて薬剤師の仕事の比重を対物業務から対人業務にシフトしていくことで、私たち薬剤師の未来はより豊かなものになっていくと思います」(松木氏)。


  1. 700施用/時間以上の高速払出、薬品破損率5万本に1本以下(当社の納入実績値による)
  2. 返品薬仕分/払出ユニット: 専用トレー上に投入された返品薬を薬品ごとに種類を判別し、仕分けることが可能。
    仕分けは払い出し動作中に並行して行うことができ、薬品の使用期限を判別し、優先的に再払い出しする。
    注射薬は病状の変化に伴って処方内容が変更されることが多いため、ロス削減と効率化の双方に寄与する。
  3. プラボトル払出ユニット: アンプル、バイアルのみならず、100mLプラボトル、ソフトバッグ、プレフィルドシリンジまで対応可能。

納入先

医療法人社団協友会 柏厚生総合病院
〒277-8551 千葉県柏市篠籠田617番地

納入機器

・注射薬払出システム コンパクトシリーズ
・自動錠剤包装機 ATC-256GR1-PJ
・調剤業務支援ソフトウェア RINkS
・散薬監査システム AIC-PKS
・計数調剤監査システム
・薬用保冷庫 MPR-S312DCN-PJ×2台、MPR-514R-PJ、MPR-S300H-PJ
・超低温フリーザー MDF-C8V1-PJ

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