-150℃/-152℃の世界
細胞や組織を超低温環境で保存するためには、細胞内外で微細氷結晶の動きを制御できるかどうかがポイントです。凍害防止剤を添加し、ある一定の温度以下で保存すると、微細氷結晶の成長を止めてガラス化(Vitrification)できます。純水は-130℃が再結晶点であり、最近の研究ではDMSOや他の凍害防止剤との混合溶液中では、-115℃付近と確認されています。再結晶点よりもはるかに低い-150℃/-152℃超低温フリーザーで保存された試料は、微細氷結晶の成長を防ぎ、長期保存が可能になります。
-150℃/-152℃フリーザーのメリット
貴重試料の長期保存として主流だった液体窒素保存法。しかし、つねに液管理の手間や補充の危険がつきまとい、また液相保存の場合には液中に細胞が漏れ、マイコプラズマによる汚染が拡大する懸念から、近年は気相保存が増えてきました。液体窒素の気相保存では、保存温度が-130℃〜-150℃になり、-150℃/-152℃超低温フリーザーの庫内温度より上回ってしまいます。フリーザー保存では、試料汚染の心配が少なく、ランニングコストも低減でき、再結晶点を大幅に下回る超低温域での長期保存が可能になります。