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レセコンとは
レセコンとは、クリニック等保険医療機関が診療報酬の請求を行うために、審査支払機関(社会保険診療報酬支払基金と国民健康保険中央会)に提出する「レセプト(診療報酬明細書)」を作成するシステムです。
ちなみに、保険者(健康保険組合や国民健康保険組合、協会けんぽ等)に代わって請求・支払事務を代行する「審査支払機関」は、レセプトを審査したうえで、保険者へ診療報酬を請求し、保険者から支払われた診療報酬を保険医療機関等へ支払う役割を担っています。もし、医療機関から提出されたレセプトに不備がある場合は、「返戻」として医療機関にレセプトを戻したり、「査定」として減点を行ったりします。
レセコンの機能
レセコンの一般的な機能について、診療の流れで確認すると、以下の通りです。
まず、「受付」では、クリニックに来院した患者を受付し、保険情報を登録・確認を行います。オンライン資格確認システムを導入すると、自動で保険情報の登録が可能になります。
次に、「診察後」に医師が作成したカルテの情報をもとに、診療行為(診療報酬点数)を入力・集計し、患者の一部負担金を算出します(これらは一般的にレセコン入力と呼ばれます)。電子カルテとレセコンが一体の場合は、医事側のレセコン入力は省略されます。
「会計」では、患者に一部負担金額を提示し精算を行います。その際、処方箋の発行、領収書・明細書の発行を行い、患者に手渡しします。
また、レセプト請求に際しては、レセプトを作成し、レセプトチェックを行うなど、レセプト請求事務を担います。
そのほか、レセコンには来院状況や経営分析、様々な検索機能を備えているものもあります。このようにレセコンは、クリニック運営の根幹となる機能を支えるシステムです。
レセコンの種類
レセコンは、日本医師会が開発した「日医標準レセプトソフト(ORCA)」とMedicomなど企業が開発した「メーカー・レセコン」の2つに分類されます。
ORCAは、2005年から日本医師会が医療機関のレセプト業務の効率化を図るために、広く普及することにオープンリソース形式で開発されました。日本医師会ORCA管理機構が開発を担い、全国のORCAサポート事業所(約150社)が導入設置・サポートを行っています。
企業が開発したレセコンは、1972年に日本で初めて開発されたMedicomのレセコンを皮切りに、様々な企業が開発を長年行っています。かつては様々なレセコンメーカーが存在しましたが、時間の経過とともに合併などが行われ、現在は数社の大手レセコンメーカーに集約されています。レセコンメーカーは全国に拠点を有し、診療報酬に詳しいスタッフを配置していることから、サポートが手厚いことが特徴です。
レセコンのメーカー一覧
先述した通り、レセコンには電子カルテと一体で利用するケース(レセコン一体型電子カルテ)と、レセコンのみで利用するケースに分かれています。その中でもレセコンのみの製品は以下の通りです。
○ウィーメックス(旧PHC):「Medicom-HRf core」。1972年から続くレセコンの老舗メーカー。正確なレセプト作成を目指し充実なレセプトチェック機能と、クリニックの現状に合わせて段階的なカスタマイズが可能なシステム。
○ORCA:日本医師会が開発した「日医標準レセプトソフト」。オンプレミス版とクラウド版がある。全国約150のORCAサポート事業所が導入・設置・サポートを担当。
○富士通:「HOPE SX-S」。レセコンとクラウドサービスを融合し、地域包括ケアサービス、BCPサービスなど診療所と患者・地域をつなぐ新たな形のサービスを提供している。
○富士フィルム:旧日立メディカルコンピュータのレセコン「Hi-SEED W3R Smile」を販売・サポート。レセプトチェックシステム「べてらん君」とレセコンが融合したシステム。
○エムスリーソリューションズ:旧東芝ソリューションズのレセコン「TOSMEC Aventy3.0」を販売・サポート。ワイドモニタに対応しており、使いやすく便利なシステム。
レセコン選びのポイント
数あるレセコンの中からクリニックにあった製品を選ぶためには以下の3つのポイントを最低限抑えると良いでしょう。
①操作性・見やすさ
レセコンは、医事スタッフが毎日利用するシステムであり、操作性に難があると、それだけでストレスになってしまいます。操作性が悪いと受付・会計時の待ち時間にもつながってしまいます。操作性は直感的であり、様々なお助け機能が備わっているもが良いでしょう。また、毎日利用するものだからこそ、見た目(ユーザーインタフェイス)もしっかり確認して欲しいところです。
②チェック機能
レセコン本来の機能は、「レセプト請求」にあります。正しいレセプトを効率よく作れることが第一義といっても過言ではありません。そこで、レセプトの作成・請求のプロセスの中でリアルタイムにチェックできるものを選ぶことが大切です。病名と薬、検査、処置などのチェックがリアルタイムで行えることで、正しいレセプトをすばやく作成することが可能になります。
③サポート
サポートには、2年に1度の診療報酬改定時の改定対応と、日々のトラブルに対する対応があります。診療報酬改定は実は薬価収載も含めると、毎月存在します。診療報酬の独特なルールを相談する際にも親身になってくれるメーカーを選びたいところです。さらに、レセコンがとまったら受付も会計もできなくなり、診療自体も止まってしまいます。レセコンにトラブルが起きた時のサポート体制も大切なチェックポイントです。
レセコン導入は必要不可欠
レセコンは、クリニック経営にとって最も大切なシステムといっても過言ではありません。それは電子カルテではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、電子カルテももとはレセコンから発生したシステムであり、やはりレセコンはとても大切なのです。その理由は、医師や看護師、コメディカルの皆さんが日々行っている診療行為を報酬点数に変えるシステムだからです。診療行為が正しく算定できずに、レセプトに反映されなければ、クリニックにとっては損失となってしまいます。
また、診療報酬は独自な算定ルールがあり、その解読は大変難しく、医療事務に資格があるのはそのためです。しかし、この難しい診療報酬のルールをサポートしてくれるシステムがあれば、医療現場の効率化は大幅に進むことは間違いありません。業務効率化を進め健全なクリニック経営を営むためにも、レセコンを正しく選ぶことはとても大切です。
ウィーメックス(旧PHC)のレセコンについて
レセコン開発のパイオニアであるウィーメックス(旧PHC)のレセコンは、約50年の歴史に裏付けられた信頼があります。レセコンにおいて信頼できるシステムとは、正しいレセプトを医療現場の負担を最小に実現することに他ありません。それは製品とサポート体制が一体となって実現できるものです。この信頼できるサービスは、長年多くのユーザー様の利用の蓄積によって生み出されているのです。
まとめ
クリニック経営にとって最も重要なシステムは「レセコン」です。電子カルテの普及が進み約5割に達した現在でも、それは変わりありません。したがって、電子カルテを選ぶ際にも、レセコンの機能はしっかり確認して欲しいと言い続けています。
レセコンは診療行為を診療報酬に変換するシステムであり、すなわちクリニックの売上を正しく計上するためのシステムと言えるでしょう。良いレセコンは、受付・レセプト入力・会計といった日々の業務効率化を強力にサポートし、レセプト請求(返戻・査定も含む)に係る業務負担を大幅に減少します。
クリニック経営の効率化のために、今回紹介した選び方、①操作性・見やすさ②チェック機能③サポート―に基づき、クリニックにとって最適なレセコンを選んでいただければと思います。