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企業健康経営 人事・総務 2021.12.07 公開

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健康経営とは?目的や注目されている理由を解説

健康経営が今注目される理由について、企業にとっての健康経営推進のメリット、日本にとっての健康経営の持つ重要性の2点から解説いたします。

※本内容は公開日時点の情報です

#マネジメント

目次

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健康経営とは?目的や注目されている理由を解説

健康経営とは

近年、日本における健康経営への注目はますます広がり、従業員の健康増進に取り組む企業が増えてきました。健康経営とは、従業員の健康管理や健康増進の取り組みを経営的な視点で捉え、戦略的に実行する経営手法のことを指します。ここには、従業員の健康増進を「義務」ではなく「投資」として捉える「健康投資」の考え方がベースとしてあります。つまり、健康経営を実践していくうえでは、具体的な取り組みや投資のそれぞれに目標値を設定し、データをもとに投資対効果を測定しながら戦略的に実行していくことが重要となるのです。今回は健康経営が今注目される理由について、企業にとっての健康経営推進のメリット、日本にとっての健康経営の持つ重要性の2点から解説いたします。

企業が健康経営に注目する理由

なぜ今、健康経営に注目する企業が増えているかというと、健康経営に取り組むことには企業にとっていくつか重要なメリットがあるためです。

メリットの1つ目は、従業員の心身不調から生じる事故や労災などによるコストの削減です。従業員の心身不調による経済的損失は多大なものであり、2021年度の健康保険の経常赤字額は5098億円に上る見込みです。全組合の約8割近くが赤字となっており、赤字部分の負担は企業が行っています。企業がどれだけ事業の売上を伸ばしても、健康を損なう従業員が多ければ医療費という思いがけない負担が生じてしまうのです。また、片頭痛や不眠、メンタルヘルス不調など、健康の問題を抱えつつ働くことを意味する「プレゼンティズム」も生産性の低下をもたらす大きな要因となっています。プレゼンティズムを要因とする経済損失は日本全体で年間19.2兆円にも及ぶとされています。こうした現状を踏まえると、従業員の健康管理・健康増進のための取り組みは、多くの企業にとって喫緊の課題であるといえるでしょう。

2つ目のメリットは、健康増進によって組織の活性化を起こすことです。従業員の健康増進を推進することは、従業員の仕事満足度・エンゲージメントを高めて離職率を低下させるため、生産性の向上に加えて採用コスト・研修コスト等の大幅な軽減にも繋がります。

そして3つ目のメリットとして、企業価値の向上が挙げられます。健康経営に取り組んでいる企業の社会的評価を高めるために、経済産業省や各自治体による健康経営の顕彰制度が広がっています。一番有名なものが、2015年に始まった経済産業省による「健康経営銘柄」・「健康経営優良法人」です。最新の健康経営優良法人2021には9,735法人が認定され5年間で約17倍にも急増しました。従業員の健康に配慮している企業、すなわち「働きやすい企業」として認識されることには企業のイメージアップ、優秀な人材を獲得しやすくなるなどのメリットがあります。

これら効果の1つ1つが結果として企業業績の向上に繋がり、最終的には企業の持続的な成長を実現すると考えられて、今健康経営に注目が集まっているのです。

日本が健康経営を推進している理由

日本経済の深刻な課題として、少子高齢化に伴う国民医療費、社会保険料の増加、健康に継続して働ける生産年齢人口が減少し深刻な人手不足が続くことなどが挙げられます。こうした背景から、2013年6月に閣議決定された成長戦略「日本再興戦略」の国民の健康寿命の延伸に関する取り組みの一つとして、健康経営の普及・推進が掲げられました。

経済産業省では、健康経営に係る各種顕彰制度として、2014年度から「健康経営銘柄」の選定を行っており、2016年度には「健康経営優良法人認定制度」を創設しました。これらの顕彰制度によって、優良な健康経営に取り組む法人を「見える化」し、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる企業」として社会的に評価されることが目指されるようになりました。

こうした国家の推進によって健康経営に取り組む企業は増加し、近年ではその取り組みの質が問われるようになりました。日本の「未来投資戦略2017」において、第4次産業革命のイノベーションをあらゆる産業や社会生活に取り入れることで様々な社会課題を解決する「Society5.0」が提唱されました。その戦略分野の1つに「健康・医療・介護」が位置づけられ、健康経営の取組が取り上げられています。注目ポイントとしては、新たに「データを活用すること」が項目名に加わり、PDCAの”C”の部分がより強調されるようになった点です。

2020年の成長戦略では「健康経営の海外展開」が見据えられるようになりました。日本国内で実践されてきた健康経営関連サービス(健康経営のビジネスエコシステム)を海外に展開することで、世界の課題解決と日本企業の成長を実現させようとする動きです。将来的に、日本主導での健康経営の標準化に成功すれば、SDGsに代表される世界の社会課題解決の場面で日本のヘルスケア産業がリードしやすい、より貢献しやすい環境が整っていくでしょう。

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