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診療報酬・調剤報酬 医師 事務長 2023.10.27 公開

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2024年診療報酬改定が6月施行に。改定のポイントを解説

2024年4月に行われる診療報酬改定は、6年に一度の医療・介護・障害福祉サービスのトリプル改定となります。2024年度診療報酬改定で注目されるポイントやスケジュール、改定に向けて医療機関が今からできることについて解説します。

※本内容は公開日時点の情報です

#医療政策

目次

2024年診療報酬改定は6年に1度の「トリプル改定」!

介護報酬、障害福祉サービス等報酬との同時改定

2024年診療報酬改定が6月施行に。改定のポイントを解説

2024年4月に行われる診療報酬改定は、医療、介護、障害福祉サービスのトリプル改定となります。通常、診療報酬は2年に1度改定が行われ、介護報酬及び障害福祉サービス等報酬は3年に1度改定が行われることから、今回は6年に1度のめぐりあわせとなります。医療、介護、障害について、同時に改定が行われることから、この機会に制度間の調整が行われることになるため、重要かつ大規模な改定となることが予想されます。

地域医療構想に向けた最後の改定

また、2025年は「地域医療構想」の最終年であり、次期改定は地域医療構想も踏まえた内容となることが予想されます。ちなみに、地域医療構想とは、将来人口推計をもとに2025年に必要となる病床数を医療機能ごとに推計した上で、地域の医療関係者の協議を通じて病床の機能分化と連携を進め、効率的な医療提供体制を実現する取り組みです。
政府は、今後の超高齢社会にも耐えうる医療提供体制を構築するため、2014年6月に「医療介護総合確保推進法」を成立させ、そこで「地域医療構想」が制度化されました。
背景にあるのは、わが国の超高齢社会の問題です。わが国では団塊の世代(ベビーブーマー)が75歳以上となる2025年から、第2次ベビーブーマーが65歳以上となる2040年まで、医療・介護のニーズが継続して増加すると予測されています。このため、2025年に備えて、医療・介護サービスの提供体制の整備が進められているのです。

診療報酬改定のスケジュール

次期診療報酬改定は、例年とは異なる検討事項については「令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会」が設置されており、改定の議論に先だって、2023年3月頃より3回開催され、課題のすり合わせが行われています。
中医協総会における検討スケジュールとしては、まず第8次医療計画、医師の働き方改革、医療DXについて検討され、その後、入院、外来、在宅、歯科、調剤、感染症、個別事項等について、2023年4月頃から夏頃までに、広く意見交換が行われました。
今後は、秋頃より個別具体的な改定項目について、議論を深め、例年通りであれば12月に改定率が決まり、2024年1月に個別の改定項目が示され、2月に具体的な点数が入った改定内容が答申となる予定です。

2024年度診療報酬改定が6月1日施行に後ろ倒し

また、政府が急ピッチで進めている医療DXの議論の中で、診療報酬改定の期間が短いために改定作業の負担が大きいことが課題として挙げられています。通常の診療報酬改定のスケジュールでは、2月初旬に答申が行われ、3月初旬に告示、4月に施行、5月に初回請求とされてきました。そのため、改定期間は実質2ヵ月~3ヵ月と短く、電子カルテやレセコンベンダの改定作業並びに、医療機関・薬局等の改定作業が逼迫し、大きな負担がかかってきました。
そこで、中医協総会において、2023年4月及び8月に議論が行われ、2024年度診療報酬改定より、薬価改定については「4月1日」に施行し、薬価改定以外の改定事項については、「6月1日」に施行することを事務局が提案し、了承されています。

2024年診療報酬改定のポイント

第8次医療計画

第8次医療計画においては、増加する高齢者の救急や、特に配慮を要する救急患者を受け入れるために、地域における救急医療機関の役割を明確化する必要があるとしています。
具体的には、初期救急医療機関は、主に独歩で来院する自覚症状が軽い患者への夜間及び休日における外来診療を担い、第二次救急医療機関は高齢者救急をはじめ地域で発生する救急患者の初期診療と入院治療を主に担い、第三次救急医療機関は重篤患者に対する高度な専門的医療を総合的に実施することを基本としつつ、他の医療機関では治療の継続が困難な救急患者の診療を担うこととしています。
次期改定では、増加する高齢者の救急搬送等も踏まえ、適切な急性期入院医療の提供及び機能分化の観点から、転院搬送を含め、救急医療に係る評価の在り方などが論点となります。

外来医療

外来医療における課題として、「かかりつけ医機能」「外来機能の分化の推進」「オンライン診療」などが示されています。
かかりつけ医機能については、「国民への情報提供の強化」や「かかりつけ医機能」の報告に基づく地域での協議の仕組みを構築し、協議を踏まえて医療・介護の各種計画に反映することとされています。かかりつけ医機能をさらに推進するため、これまでの評価をどのように見直していくのかが論点となります。
「外来機能の分化の推進」については、2020年改定で、定額負担を徴収する医療機関の対象範囲を「紹介受診重点医療機関(一般病床200床以上に限る)」に拡大するとともに、保険給付範囲と定額負担の額等が見直されています。次期改定では、より外来機能の分化が推進されるように、定額負担の対象範囲の拡大並びに患者負担の見直しなどが論点となります。
「オンライン診療」については、2022年1月に「オンライン診療の適切な実施に関する指針」が見直され、2022年度改定で、オンライン診療料を廃止し、情報通信機器を用いた場合の初・再診料として再編を行い、算定できる「医学管理料を拡充する」とともに、算定要件の緩和等が行われています。次期改定では、これまでの経緯を踏まえて、オンライン診療がより推進されるよう、さらに点数の拡充などが行われるかが論点となります。

医師の働き方改革

2019年頃から始まった「働き方改革」推進の中で、いよいよ2024年4月からは医師に対して、「時間外労働の上限規制」が適用されます。今後は、診療従事勤務医(A水準)には年960時間の上限規制が適用され、地域量確保暫定特例水準(B水準)及び集中的技能向上水準(C水準)の医療機関においては、特例的に年1,860時間の上限規制が適用されることになります。
2024年4月から医師についての時間外労働の上限規制が適用され、働き方改革に向けた継続的な取り組みが求められる中、これまでの医師をはじめとした医療従事者の働き方改革の取り組み(柔軟な勤務体制、デジタルツールの活用、タスクシフティングなど)や、診療報酬上の対応を踏まえ、働き方改革の推進に対する診療報酬の評価の在り方が議論されることになります。

医療DXのさらなる推進

医療DXについては、医療DX推進本部でまとめられた「医療DXの推進に関する工程表」に沿って進められていくことが示されています。同工程表において「全国医療情報プラットフォーム」に関し、2024年度中の電子処方箋の普及に努めるとともに、電子カルテ情報共有サービス(仮称)を構築し、共有する情報を拡大するとしています。
また、オンライン資格確認の今後の範囲拡大として、介護保険、予防接種、母子保健、公費負担医療、地方単独の医療費助成などの情報を順次マイナンバーカードと紐付けを行っていくとともに、次の感染症危機に対しても対応を進めるとしています。
「診療報酬改定DX」については、まず2024年度に医療機関等の電子カルテやレセコンの共通言語となるマスタ及びそれを活用した「電子点数表」を改善・提供して共通コストを削減していくとしています。次に、2026年度には、「共通算定モジュール」を本格的に提供し、共通算定モジュール等を実装した「標準型レセコン」や「標準型電子カルテ」の提供により、医療機関等のシステムを抜本的に改革し、医療機関等の間接コストを極小化するとしています。
同工程表によると、わが国の情報共有基盤として、「全国医療情報プラットフォーム」の構築が進められ、情報の標準化、効率化のために「標準型レセコン」や「標準型電子カルテ」を提供していくことが想定されています。

介護サービスとの連携

次期診療報酬改定は、医療と介護の同時改定であることを踏まえ、診療報酬と介護報酬等との連携・調整をより一層進める観点から「令和6年度の同時改定に向けた意見交換会」が設置されています。
改定の具体的な検討に入る前に、①地域包括ケアシステムのさらなる推進のための医療・介護・障害サービスの連携②リハビリテーション・口腔・栄養③要介護者等の高齢者に対応した急性期入院医療④高齢者施設・障害者施設等における医療⑤認知症⑥人生の最終段階における医療・介護⑦訪問看護⑧薬剤管理⑨その他について3回に渡り検討が行われています。
同検討会では、医療と介護のあるべき連携の姿とは、必要な情報の一方向的な提供や閲覧だけでなく、相互のコミュニケーションを深め、現状、課題、目標、計画などを共有しながら、患者(利用者)、家族とも同じ方向に向かい、より質の高い医療・介護の実現につなげることとされました。
また、情報提供の仕組みとして、ホームヘルパーから介護支援専門員、主治医へ報告する仕組みはできているものの、主治医からも発信できるようにすることで双方向に行っていく必要があるとしています。
さらに、医療において「生活」に配慮した質の高い医療の視点が足りておらず、生活機能の情報収集が少ないのではないかとの指摘が行われています。

来年度の改定に向けて、医療機関が今からできること

2024年度の診療報酬改定は、政府による「医療DX」の推進が急ピッチで行われる中、医療機関同士の連携や、医療と介護の連携など、デジタルツールを活用した情報連携が重要なテーマとなっています。そのため、医療機関が医療DX政策に対応していくためには、情報共有を行うための体制整備が必要であり、電子処方箋の導入や、電子カルテシステムなどの導入準備を行う必要があります。また、政府が進める医療DXについて、積極的な支援が可能なパートナーとしてシステムベンダーを考えることも重要と考えます。
また、2024年4月から始まる「医師の時間外労働の上限規制」に対応するために、医療機関は「勤怠管理システム」の導入を行うとともに、生産性向上に寄与する「デジタルツール」を活用した業務変革が必要となります。
さらに、医師の負担軽減を行うために、看護師やコメディカル、事務職員の間でのタスクシフトを進める必要があります。特に医師の負担となっている「カルテ記載」や「書類の作成」については、次期改定において、「情報共有・連携」の強化が打ち出されており、医師の負担増が見込まれることから、早期に医療クラークの配置並びにトレーニングなどを行ってはいかがでしょうか。

まとめ

2024年4月に行われる診療報酬改定は、6年に1度の医療、介護、障害福祉サービスのトリプル改定となります。改定の翌年の2025年は「地域医療構想」の最終年であり、次期改定は地域医療構想も踏まえた内容となることが予想されます。同時改定を踏まえて「令和6年度の同時改定に向けた意見交換会」が設置され、改定の議論を行う前に、制度間の調整に関する議論が行われています。
また、2024年4月から「医師の時間外労働の上限規制」が始まるため、医師並びに医療従事者の働き方改革の推進に向けた評価の在り方が議論されています。
医療機関及びベンダーの改定時期の負担軽減、効率化を目指し「改定時期の後ろ倒し」が議論され、2024年度診療報酬改定より、薬価改定についてはこれまで通り「4月1日」に施行し、薬価改定以外の改定事項については、「6月1日」に施行することが了承されています。
次期改定のポイントは、医療機関間、医療と介護(障害)の「情報連携」と、それを効率的に進めるための「医療DXの推進」です。また、医師の働き方改革が始まることから、「(デジタルツールを活用した)業務効率化」と「タスクシフト」も重要となります。
診療報酬の改定とは、診療メニュー表が変わるとともに、それに伴い大きな体制変更を余儀なくされます。次期改定を予測し、その準備を早期に進めることが必要なのです。

さらに詳しく知りたい方は、こちらの動画コンテンツをご覧ください。
https://www.phchd.com/jp/medicom/park/event/movie/cl-policy-medicalfees-points
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