Medicom Park

  1. PHCグループ
  2. [ウィーメックス]メディコムTOP
  3. メディコムパークTOP
  4. 経営アイデアコラム一覧
  5. 【津下先生解説】対象者のアウトカムを導き出すためのお勧めの学習法とは vol.6

企業健康経営 人事・総務 コメディカル 2024.03.04 公開

記事をプリント
Twitter Facebook

【津下先生解説】対象者のアウトカムを導き出すためのお勧めの学習法とは vol.6

第4期特定健診・特定保健指導制度が2024年4月から開始されます。ウィーメックスはまもなく開始される第4期に向けて指導品質の向上のためのセミナーを開催し、第1期より厚生労働省等の検討会委員を務めている女子栄養大学特任教授の津下一代先生に解説いただきました。本コラムでは、講演内容のポイントをさらに詳しく解説いただき、連載でお届けいたします。今回は12月15日開催のセミナーから、「対象者を理解する」ためのスキル向上のポイントについて教えていただきました。

※本内容は公開日時点の情報です

#医療政策

目次

Q1.「対象者を理解するためのシート」をぜひ活用したいと思っています。記録をする際や継続支援で活用する際のポイントはありますか。

A.セミナーでご紹介した「対象者を理解するためのシート」に関心を持っていただき、ありがとうございます。
保健指導においては、面談の過程で、生活習慣の背景にある仕事や家庭などの状況、これまでの経験や本人の思いを伺うことができます。体重が増えた時期の暮らしぶり、現在取り組んでいること、なりたくないと思っている病気のこと、家族の応援があることなど、本人しか知りえない情報には、行動変容を促していくための貴重な要素が含まれています。記録に残して、保健指導に活用していくことが望ましいでしょう。

【津下先生解説】対象者のアウトカムを導き出すためのお勧めの学習法とは vol.6

多くの対象者に面談する保健指導者にとって、一目見るだけで対象者の概要を把握できるような記録をつけることが重要です。長文で詳細に書くよりも、ポイントを押さえたサマリー表が役立ちます。
本シートは特定保健指導の実施者が気軽につけられるように項目を設定したものです。
一層目は検査データ、二層目は質問票等から得られる生活習慣の情報です。事前に健診データからこのシートの一部を記入することで、どこに健康上の問題がありそうかを考えておきます。本人との対話の中で出てきたキーワードを三層目と四層目に記録します。三層目は生活習慣の背景要因となる生活情報を、四層目には本人の経験、思いなど主観的なキーワードを書き留めます。
このシートのすべての欄を埋める必要はありません。本人の語りの中で情報がえらえたところのみ記載することに留意してください。行動の背景にある要因、生活習慣と検査値の関連など、相互の関係性を→(矢印)で結んだり、継続的支援で新たに得られた情報については色を変えて追記するなど、工夫して活用してみてください。次回の面談やメールの文章を書くとき、本人の背中をそっと押すキーワードが見えてくるとよいですね。

対象者を理解するためのシート

Q2.無関心期のリピーターにアウトカムの目標立案を勧めることに難しさを感じています。目標立案時の留意点を教えていただきたいです。

「無関心期」と決めつけると、なかなか目標立案まではいきつかないですよね。
でも、本当にすべての健康行動について無関心なのでしょうか。
日常生活を営み、保健指導に(いやいやながらも?)来てくれるのであれば、なにかしら健康に気づかっていることがあるのではと思います。行動目標立案をあせらず、本人が健康についてどんなことに関心を持っているか、探してみることから始めてはいかがでしょうか。
たとえば、普段から健康のために意識して取り組んでいることはないか、本人が理想と思っている体重やピークの体重からの推移、リバウンド経験などを伺ってもよいかもしれません。
リピーターはこれまで無理な目標を立てて挫折してしまった、などの経験があるかもしれません。どんな目標を立て、何をきっかけにやめてしまったのかを振り返ってもらってよいでしょう。これまでの経験を活かして、本人の生活実態に合わせた目標設定を考えていきたいところです。

Q3.アウトカムに繋げるには対象者を知ることが必要不可欠であることを知りました。効果の出る保健指導についてもっと理解を深めたく、保健指導の経験値を高めることの他にできることやお勧めの教材などを知りたいです。

保健指導のアウトカムは、対象者が「納得して・行動したくなる」ことによってしか導き出すことはできません。その際、生活習慣改善の価値を説明するための医学的知識ももちろん大切ですが、あわせて面接技法の学習を併用することをお勧めします。
また、保健指導記録(簡単な星取表でOK)をつけるなどして、振り返りをすることが大切です。対象者の質問に答えられなかった、うまく対応できなかったなどの苦い経験を活かして、他にどのようなアプローチが可能だったのかを考えるとよいでしょう。面接技法の基本的な本でよいので、一冊読みながら、保健指導の場面を思い出してみると、きっとヒントが得られるのではないかと思います。

▽前回のコラムをご覧になりたい方はこちら
https://www.phchd.com/jp/medicom/park/idea/healthmanage-point-05
▽関連資料
『対象者を正しく理解するスキルの習得』
https://go.medicom.phchd.com/wellsportstep_seminar_material_20231215(PDF)

筆者情報

津下 一代

津下 一代(つした かずよ) 様

女子栄養大学 特任教授

名古屋大学医学部医学科を卒業後、国立名古屋病院内科、名古屋大学第一内科での臨床・研究活動を経て、平成4年愛知県総合保健センターに勤務。
12年あいち健康の森健康科学総合センター、23年より同センター長兼あいち介護予防支援センター長に就任。令和2年より女子栄養大学特任教授として活躍。

健康日本21(第三次)推進専門委員会、健診・保健指導の在り方に関する検討会などの厚生労働省等の委員、健康・医療新産業協議会・健康投資WGなどの経済産業省の委員を務めるなど、多方面で活躍。

  • メディコムのオンラインデモメディコムのオンラインデモ

経営アイデア記事一覧へ


イベント・セミナーEVENT&SEMINAR

お役立ち資料ダウンロード