目 次
紙薬歴の“柔軟性”と電子薬歴の“画一性” 両方の長所を兼ね備えたシステムと評価
アパートや住宅が立ち並ぶ足利市南部の八椚町にミント薬局が開設されたのは2003年7月のこと。「開局時に比べ、60歳代、70歳代に達している患者さんが増えてきており、降圧薬や糖尿病治療薬などの生活習慣病関連の処方が多くなっています」と薬剤師の星康雄先生。同薬局は備蓄医薬品が約1000品目と周辺の保険薬局の中では多いため、近隣のクリニックはもちろん、多くの医療機関の処方せんを応需しているそうです。「来局される患者さんが小児から高齢の方まで幅広いことも当薬局の特徴であり、地域のかかりつけ薬局として機能していると思っています」と星先生は話します。
1日当たりの処方せん応需枚数は55枚前後。高齢者に加え、冬場は風邪やインフルエンザなどを罹患した小児が多くなるそうです。こうした来局患者に対し、星先生が心がけていることは「日々の積み重ね」。「性急に患者さんに切り込んでいくとトラブルにつながりやすくなるので、少しずつ患者さんの情報を得ながら、個々の病態や生活背景に合わせてキメ細かく対応することが大切だと考えています」と星先生は説明します。
このキメ細かい対応を実現するには、薬歴の申し送り事項欄に漏れなく記載するなど、薬剤師間で患者情報の共有を図る必要がありますが、そこで役立っているのが、昨年6月に導入した「PharnesIII-MX」です。
「操作性と機能性の良さで、薬局業務の効率化と服薬指導の充実が実現しました。過去の処方とほぼ同様であれば、搭載されているテンプレートの文書を活用できるので時間が短縮され、その時間を患者さんとの会話や服薬指導に使えるようになったのです。『PharnesIII-MX』を導入して良かったと実感しており、もう以前のような手書きには戻れないですね」と星先生は話しています。
メイン画面で常に表示される「薬歴表紙の確認のしやすさ」が大きなメリット
「PharnesIII-MX」導入のメリット:今回と過去3回の薬歴を並べて表示・薬局業務の効率化と服薬指導の充実を実現
■ 1日の始まりは長期投薬の患者さんの来局予測
ミント薬局では受付に「PharnesIII-MX」のサーバーを置き、同じ画面で処方内容のダブルチェックができるように、投薬カウンターと調剤室に端末を設置しています。地域内のほとんどの医療機関が2次元コード付き処方せんを発行しており、同薬局でもオプションの2次元コード認識機能を利用して頭書情報や処方内容をスピーディーに入力しています。
「朝は長期投薬の患者さんの来局予測を表示して患者数などを確認することから始まります(図1)。また、メイン画面では今回薬歴と過去3回分の薬歴を並べて表示するようにしています。これらの機能は『PharnesIII-MX』の大きなメリットですね」と星先生。
■薬歴表紙と過去薬歴などを同時に確認できる
星先生が何よりも重視しているのは「薬歴表紙の確認のしやすさ」です。「薬歴表紙は患者さんの情報が凝縮されており、これを見ながら処方確認をしたり、説明したりします。メイン画面に常に薬歴表紙を表示できるので、非常に使いやすいと感じました(図2)」
星先生がこれまでに経験した電子薬歴では薬歴表紙を常に表示することができないものがあり、あったとしても見づらかったりしたそうです。もちろん、紙薬歴でも過去薬歴などを薬歴表紙と同時に見ることはできないので、「PharnesIII-MX」の有用性は高いといえます。
また、「PharnesIII-MX」は文字の色や背景色を変更できますが、ミント薬局では薬歴表紙のアレルギー歴や副作用歴、特記事項など、特に見過ごしてはいけない個所は色を変えて目立つようにしています。
■直感的な操作が可能
操作性について、星先生は次のように指摘しています。「電子薬歴では薬剤師によって記載の仕方が異なることはなく、画一性が保たれます。その反面、柔軟性や融通性に欠け、入力の際にストレスに感じるシステムもあります。しかし、『PharnesIII-MX』は直感的に操作ができ、薬歴やアンケートはテンプレートを使ったり、直接打ち込んだりと複数のアプローチで入力できます。『PharnesIII-MX』は、電子薬歴の優れた部分である画一性と手書き薬歴の柔軟性という2つの長所を兼ね備えた電子薬歴だと感じています」
■機能的な2つの添付文書データベース
機能面では「添付文書がパッとすぐに見ることができるのがいい」とのこと。「添付文書PDFデータベースも重宝していますが、テキストの添付文書データベースは容量が軽いので急いでいるときに便利。この両方のデータベースがあるのがいいですね」
「PharnesIII-MX」を使いこなすことで、患者さんとのより強固な信頼関係の構築を目指す
昨年、メディコムの保険薬局用電子薬歴システム「PharnesIII-MX」を導入した栃木県足利市のミント薬局。同システムの優れた操作性と機能性により、薬局業務の時間が短縮し、その時間を使って服薬指導の充実を図っています。今後は「PharnesIII-MX」をさらに使いこなすことで、患者さんとの信頼関係をより強固なものにしていきたいと考えていらっしゃいます。
地域密着型保険薬局の果たすべき役割
「病気の発症予防」という側面から地域住民の健康増進に本格的に取り組む必要がある
医療費が増え続ける状況の中で、薬局も「病気の発症予防」という側面から地域住民の健康増進に本格的に取り組む必要がある、と星先生は強調します。
「かかりつけ薬剤師の施設基準でも地域活動への参画が求められています。また、足利市でも地域包括ケアが進んできており、保険薬局もその役割を果たすことが求められるようになってきました。医療機関はもとより、介護関係の方々とも連携しなければなりません。例えば、嚥下機能の低下した患者さんには服薬コンプライアンスを高める提案を行うなど、薬剤師が機能を十分に発揮することが必要だと思っています」と星先生は話しています。
ミント薬局
薬剤師:常勤2名 非常勤2名
医療事務:常勤1名 非常勤1名
栃木県足利市八椚町492-3
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