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診療報酬・調剤報酬 医師 事務長 2022.03.08 公開

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2022年度診療報酬改定ポイント解説① ICTの活用

2年に1度行われる「診療報酬改定」。中でもICTの活用について、コロナ禍の特例により大幅に規制緩和された「オンライン診療」、国のデジタル基盤となる「オンライン資格確認」を中心に解説します。

※本内容は公開日時点の情報です

#医療政策 #機器選定ポイント

2年に1度行われる「診療報酬改定」。診療所経営に大きな影響をもたらすため、その動向を早期に理解することは大変重要です。そこで今回は2022年2月9日の「令和4年度診療報酬改定の答申書」をもとに解説していきます。
「令和4年度診療報酬改定」では、「感染症対策」「地域包括ケア」「働き方改革」「ICT」という4つの視点で改定が進められており、その背景には、コロナ禍で初めて行われる改定であり、新型コロナの感染拡大で露呈したデジタル化の遅れ、地域連携の未成熟、超高齢社会を受けての働き方改革を早急に進める必要があるという課題があります。
その中でもICTの活用については、コロナ禍の特例により大幅に規制緩和された「オンライン診療」、わが国のデジタル基盤となる「オンライン資格確認」が注目されていました。

オンライン診療・服薬指導

現在、「オンライン診療」及び「オンライン服薬指導」はコロナ禍の特例措置として、初診からの実施をはじめ、大幅に規制が緩和された状態で運用されています。令和4年度改定では、オンライン診療料を廃止し、初診料・再診料に組み込むという設計変更を行い、コロナ禍の規制緩和を踏襲する形で恒常化されることとなりました。
オンラインでの初診については、「初診料(情報通信機器を用いた場合)251点」となり、現在の電話等初診(214点)より37点引き上げられています。また、オンラインでの再診についても「再診料(情報通信機器を用いた場合)73点」とし、オンライン診療料という項目自体を廃止しました。また、緊急時の外来の対応、診療の場所(院内に限る)、患者像(慢性疾患)といった制限も大幅に緩和しています。
オンラインでの医学管理についても、「入院中の患者に対して実施されるもの」「救急医療として実施されるもの」「検査等を実施しなければ医学管理として成立しないもの」「オンライン診療の適切な実施に関する指針において実施不可とされているもの」「精神医療に関するもの」を除き、評価の対象とするとし、算定範囲が大幅に拡大しています。
オンライン服薬指導についても、本来オンライン診療の後でなければ行えなかったものを、外来の後でも行えるようにしています。
政府は、コロナ禍でニーズが高まった「オンライン診療」を恒常化するために、初再診料の一部として再評価し、これまでの規制を大幅に緩和したことで、オンライン診療の普及を進めようとしています。

オンライン診療・服薬指導

オンライン資格確認

「オンライン資格確認」はわが国のデジタル基盤であり、今夏に予定される「電子処方箋の開始」に向けても普及が急務であるため、政府はオンライン資格確認の普及を進めるための点数を新設することとなりました。「オンライン資格確認システムの活用により、診断及び治療等の質の向上を図ると考え、外来においてオンライン資格確認システムを通じて患者の薬剤情報又は特定健診情報等を取得し、その情報を活用して診療等を実施することについて評価する」としています。
「算定要件」としては、施設基準(オンライン請求/オンライン資格確認/院内掲示)を満たす病院・クリニックを受診した患者に対し、オンライン資格確認により、患者に係る診療情報等(薬剤情報・特定健診情報等)を取得した上で診療を行った場合に、「電子的保健医療情報活用加算」として、月1回に限りそれぞれ所定点数に加算するとしています。クリニックにおいては、初診料に「7点」、再診料に「4点」が加算されることとなります。
また、初診料限定となりますが、オンライン資格確認により、患者に係る診療情報等の取得が困難な場合や、他の保険医療機関から患者に係る診療情報等の提供を受けた場合などは、令和6年3月31日までの間に限り、「3点」を所定点数に加算するとしています。現時点で、普及がそれほど進んでいない状況を考えて、一部、救済措置が用意されています。

その他のデジタル化

今回の改定はデジタル改定と言われるように、デジタル化に関連する項目が多く見られます。コロナ禍で一気に普及した「オンラインミーティング」については、院内外の様々なカンファレンス・会議などで活用を認めるとしています。今後は、医療の世界でも「オンラインミーティング」が当たり前になると考えます。
また、2021年に起きた病院でのサイバーテロ攻撃により、電子カルテが動かず、診療再開までに2カ月以上を要した事件を受けて、病院では「非常時に備えたサイバーセキュリティ対策の整備」が要件として盛り込まれています。
さらに、訪問看護ステーションに対して、「感染症や災害が発生した場合であっても、必要な訪問看護サービスが継続的に提供できる体制を構築する観点から、訪問看護ステーションにおける業務継続に向けた計画等の策定、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施等」を義務化するとしています。
サイバーテロ、新興感染症、地震・大雨などの自然災害は、いつ何時、どこにでも起こり得る問題です。クリニックにおいても対岸の火事とは考えずに、今一度サイバーセキュリティやBCPの準備を進める必要があると考えます。

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