目次
そもそもデータ提出加算とは?
データ提出加算の導入背景としては、2012年度診療報酬改定において急性期入院医療を担う医療機関の機能や役割を適切に分析・評価するために評価が新設されました。このデータ提出加算とは、厚生労働省が定める指定様式に則ってデータを収集・提出することで加算が得られる仕組みです。データヘルス改革の推進に伴い、外来においても2022年度の診療報酬改定で定義されました。
これまでの入院の例をみると、導入最初は加算項目として評価されていましたが、改定を重ね、現在は義務的に取り組まねばならない項目になっています。同じ流れを辿ることを想定すると、早めに取り組むことで加算が得られ、早ければ早いほどメリットの大きい仕組みとなるでしょう。
データ提出加算が外来でも算定可能に
先述したとおり、もともと入院のみ算定可能であった「データ提出加算」が、外来でもいよいよ導入されます。今回、新設される項目は、「生活習慣病管理料」「在宅時医学管理料等」「疾患別リハビリテーション料」の3種類です。
〇生活習慣病管理料
(新) 外来データ提出加算 50 点(月1回)
〇在宅時医学総合管理料、施設入居時等医学総合管理料及び在宅がん医療総合診療料
(新)在宅データ提出加算 50 点(月1回)
〇疾患別リハビリテーション料
(心大血管疾患リハビリテーション料、脳血管疾患等リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料、呼吸器リハビリテーション料、廃用症候群リハビリテーション料)
(新)リハビリテーションデータ提出加算 50 点(月1回)
外来データ提出加算の算定要件
算定要件として、届出を要する施設基準があります。さらに、「診療報酬の請求状況」「治療管理の状況」等の診療の内容に関するデータを継続して厚生労働省に提出している場合としています。
施設基準については以下内容をご参照ください。
「施設基準(様式7の11)」
- データ提出加算に係る届出を行っていない。
- 「外来医療、在宅医療、リハビリテーション医療の影響評価に係る調査」に適切に参加できる。
- 診療記録(過去5年間の診療録及び過去3年間の手術記録、看護記録等)の全てが保管・管理されている。
- 診療記録の保管・管理のための規定が明文化されている。
- 患者についての疾病統計には、ICD大分類程度以上の疾病分類がされている。
- 保管・管理された診療記録が疾病別に検索・抽出できる。 (出典)特掲診療料の届出一覧(令和4年度診療報酬改定)(厚生労働省 2022.10.18)
なお、データの提出を希望する保険医療機関は、2023年5月20日、8月22日、11月21日、2024年2月20日までに、届出書を、地方厚生(支)局医療課長を経由して厚生労働省保険局医療課長に提出する必要があります。様式7の12の届出を行った保険医療機関が再度本届出を行う場合においては、本届出書にデータを継続的かつ適切に提出するために必要な体制が整備されたことを示す書面を添付することとされています。
外来データ提出加算の留意事項
外来のデータ提出加算は、厚労省が毎年実施する「外来医療等調査」に準拠したデータを正確に作成し、継続して提出されることを評価したものです。各医療機関から提出されたデータは、特定の患者個人を特定できないようにしたうえで、厚生労働省の保険局において外来医療等に係る実態の把握・分析等のために活用されます。
留意事項としては、データの提出に遅延が認められた場合は、当該月の翌々月以降は算定できなくなります。しかし、算定ができなくなった月以降、再度データ提出の実績が認められた場合は翌々月以降から算定ができます。また、データの作成においては、3カ月単位で行うものとし、「作成されたデータには第1月の初日から第3月の末日までにおいて対象となる診療に係るデータが全て含まれていなければならない」としています。
初回算定するための届出は5月20日まで
厚生労働省は外来データ提出加算について2023年10月1日より算定開始を目指しています。算定までの流れをご紹介します。
- 調査実施説明資料公表後、2023年5月20日までに厚生局に届出
- 6、7月分のデータ作成(連続する2か月分のデータ)
- 8月にソフトウェアによる試行データの自己チェックをした後、調査事務局に提出
- 判定の結果不備がなければ9月に通知、通知をもとに厚生局に届出
- 10月1日より算定開始
※10月からは3カ月ごとに提出
スケジュール(イメージ)
(出典)令和4年度診療報酬改定の概要(厚生労働省 2022.3.4)まとめ
今回ご紹介した外来データ提出加算の算定にあたっては、事前の届出提出と定期的なデータの収集作業が必要となります。そのためにはデータの管理を行う仕組みを構築することが不可欠ですので、お使いのレセプトコンピュータや電子カルテのベンダーに早めにご相談いただくことをおすすめします。また、このデータ収集作業にあたっては、少なからず新たな業務が発生することが想定されるため、いかにシステムを活用して負担を少なく実現できるかという視点が重要です。こういった対応に備えて常日頃から業務を見直してスタッフの「余力を生み出す」ための準備をしておくことも、クリニック経営においては大事なポイントではないでしょうか。
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