《ここがポイント!》
- 厚生労働省は、心肺停止に至っていないアナフィラキシー患者に対し、アドレナリン製剤の交付を受けていない場合でも、救急救命士が医師の指示の下で筋肉内注射を行う実証事業を2025年度に開始する方針を示した。
- 「救急医療の現場における医療関係職種の在り方に関する検討会」のワーキンググループで、救急救命士によるアナフィラキシーの判断がおおむね正確であることが示された。
- 実証事業実施に向けて、消防本部などに危機管理対応要領の作成を求める方針も示された。
~救急医療の現場における医療関係職種の在り方 に関する検討会ワーキンググループ(第6回 7/29)《厚生労働省》~
厚生労働省は、心肺が停止していないアナフィラキシー患者に対し、アドレナリン製剤の交付を受けていなくても救急救命士が筋肉内注射を行う実証事業を2025年度に開始する方針を示した(資料8P参照)(資料9P参照)。7月29日に開かれた「救急医療の現場における医療関係職種の在り方に関する検討会」のワーキンググループでその可否が議論され、おおむね了承された。
救急救命士によるアドレナリンの投与は、心肺停止状態のアナフィラキシー患者の場合に可能とされているが、心肺が停止していない場合は、患者があらかじめアドレナリン製剤の交付を受けている場合に限られている(資料7P参照)。そのため厚労省は、アドレナリン製剤の交付を受けていない患者に対しても医師の指示の下でアドレナリンの投与を可能にすることを念頭に、実証事業の実施を提案した。
アドレナリンの投与対象の拡大に当たっては、救急救命士がアナフィラキシーの判断を誤り、アドレナリンを誤投与する危険性について懸念が示されている。
会合では、田邉晴山構成員(救急振興財団救急救命東京研修所教授)が実際の救急患者を対象に救急救命士と搬送後の医師によるアナフィラキシーやアドレナリン投与の判断の相違を検証した前向き研究の結果を紹介した。
その結果について、田邉構成員は「アナフィラキシーやアドレナリン投与の判断はおおむね正確だった」との見解を示した。ただ、救急救命士がアナフィラキシーだとし、医師や専門医がアナフィラキシーではないと判断した患者もいたことから「アドレナリンを投与する際はオンラインによる医師の指示の下で行うことでより適切な処置が可能」だと述べた。
実証事業を行うに当たっては、消防本部などに有害事象や事故などに対する危機管理対応要領の作成を求めることとしており、構成員からは「該当する消防本部は少ないのではないか」という指摘が出た。そのため、実証事業に参加する消防本部が限られてしまわないように、危機管理対応要領の作成状況について全国調査を行った上で「危機管理対応要領の作成を促すべきだ」という意見が出た。
(資料公表日 2024-07-29/MC plus Daily)
資料1:アナフィラキシーに対するアドレナリン(エピネフリン)の筋肉内投与について(厚生労働省)
(提供 / 日本経営)
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