目 次
電子カルテの導入が療養型病院の経営改革を後押し
訪問診療の負担軽減や看護師の確保と業務効率の向上に寄与
「医療法人慶睦会千手堂病院は2019年に電子カルテシステム『Medicom-CK』を導入しました。同院は在宅医療にも注力し、初音俊樹院長は訪問診療時の負担が軽減され「非常に助かります」と話します。法人本部の天野裕香部長は看護師の採用がしやすくなり、離職防止にもつながったと実感しています。また、ライセンスフリーで端末を増設できることなど、コストパフォーマンスの高さも評価しています。導入の実務を担った総務課の山﨑直美氏は、いつも的確なアドバイスをしてくれるウィーメックスのサポート体制が「心強かった」と話し、病院の新築移転時には短時間でのシステム移転、移転後も徹夜で立ち合い対応した同社に感謝しています。
地域に元気に帰れる患者を増やしたい
千手堂病院に初音院長が入職したのは2013年。当時は「いわゆるイメージどおりの療養病床」で、患者もほぼ寝たきり、死亡退院も多く、職員もベテランで経歴の長い方々が中心でした。初音院長は、心臓血管外科医として勤務していた急性期病院と違い、「ゆっくりとした時間の流れの医療」に戸惑いながらも病院経営改革に着手します。「地域に帰れる患者を増やしたい。それは経営的な視点というわけではなく、私自身がもう少し元気な患者も診たい」という医師としての思いもありました。
「自分に何ができるのか」模索する中で、今後、心不全の患者が爆発的に増えていく見通しがあり、この「心不全パンデミック」への対応と、2014年度の診療報酬改定で新設された地域包括ケア病床に取り組めるのではないかという考えに至りました。
まず院内に退院調整部門を作り、患者を地域の介護施設などに積極的に帰す取組みを開始。在院日数が徐々に短くなり、元気に帰れる患者が増えていきました。
さらに「心不全患者は入退院を繰り返す傾向にあり、なるべく自宅で過ごしたいという人も多いため、いつでも入院できる病床がある当院が地域に出て行くことは大きな強みになる」と考え、在宅医療にも注力することにしました。
2019年に導入した電子カルテシステムは、初音院長が進める病院経営改革を、さらに後押しすることになるのです。
コストパフォーマンスの高さが決め手
「療養型病院は非常に厳しい状況下にあり、存続していくために様々なことを模索しなければならない局面に立たされています」と天野部長。その課題の1つが患者の治療や検査などのデータの収集。看護部長も務めた天野部長は「紙カルテの時は全て手作業で、入院している患者様の名前一つをとっても非常に時間がかかり、効率が悪かった」と振り返ります。効率的にデータを収集し、職員の負担を軽減することが電子カルテの導入を検討するきっかけとなりました。
メーカー選定に当たっては「コストパフォーマンスの高さを重視しました」と説明し、ほぼ全国に販売店がありサポート体制が手厚く、より短期間で導入可能なウィーメックスに決めたといいます。
フリーライセンスを生かして端末を増設し利便性向上
電子カルテを導入した当初の端末台数は40台でしたが、現在、デスクトップやノートPC、タブレットを合わせて60台に増えています。新病棟では無線アクセスポイントが設置され、看護師がカートにノートPCを載せて行き来し、「電子カルテもより使いやすくなったのではないかと思います」と山﨑氏。働きやすさの向上にもつながっています。入院受付と地域連携室はフロアが異なりますが、「タブレットを増やしたことによってどの場所にも持っていけますし、訪問診療などの際には外でも使用できます。本当に利便性が向上しました」と実感しています。
事業拡大を後押し
端末を増やすことができた要因として天野部長は、追加端末に対し、電子カルテライセンス料がかからない点を挙げます。これは『Medicom-CK』の大きな特長の1つで、「端末を増やすことについて、費用面を考えると躊躇することもあるかと思いますが、当院では事業拡大を進める中で気軽に増設できました」と天野部長。「今後の事業展開を見据えた見通しも立てやすく、毎年の予算として計上する必要もないため、療養型病院にとって『Medicom-CK』はコスト面でも最適ではないかと思います」と評価しています。
移転•新築時は徹夜でサポート
電子カルテ導入時のキッティング作業は山﨑氏が担当しました。当初は「皆がマルチタスクで仕事に取り組み、優先順位が日々変わる中、期限内に終えなければならないということが不安でした」と明かします。IT専門職の経験はなく、書籍を読み独学で対応したと言います。「わからないことや心配なことがあれば、ウィーメックスの担当者に問い合わせて教えていただけたことが大変心強かったです」と話します。
病院建物の老朽化に伴う2022年12月の移転・新築の際には、電子カルテの稼働を停止してから再稼働させるまでの作業を12時間で完了させました。山﨑氏は「時間との闘いでした」と振り返ります。移転前の準備としては、すべての端末をナンバリングするなど、まずは端末自体を移動してすぐに作業に入れるような状態を整えました。「ウィーメックスの担当者にも来ていただき、現場確認とテストなど、徹夜で作業していただきました」と感謝しています。「ウィーメックスの担当者からはきちんとした助言をしてくださる点で信頼しており、自身でできることを行うことができました」とフォローアップ体制の確かさを実感しています。
サイバーセキュリティ対策も
ヒヤッとすることもありました。2022年の夏、サーバーがダウンし、突然、電子カルテが使用できなくなったのです。「サイバー攻撃か」。初音院長は「原因がわかるまでは非常に心配で、焦りました」と当時の緊迫した状況を話します。山﨑氏は「そのときもウィーメックスにまず一報し、様々なアドバイスをいただきました」と迅速な対応を評価しています。
原因はサーバーのコンセントが緩んだことによるもので、大事には至らなかったものの、セキュリティ対策の認識を改めて考えるきっかけになりました。具体的には、配線の整理やデータのバックアップなどの対応に加え、電子メールおよびUSBなどによる情報の取り扱いについての職員教育の徹底です。電子カルテシステムについては、メディコムルータのファームウェアアップデートに対するサポート体制を確認。ウィーメックスの担当者との定例会では、近隣の病院で起きたサイバー攻撃事例などの情報提供もあり、今後の対策も検討しています。
緊急往診時の機動性が向上、遠隔診療も模素
導入から3年余りが経過し、「操作にも慣れ、苦になることはない」と初音院長は満足しています。訪問診療に当たっては「重い紙カルテを持ち運ばなくてもよくなりました」と話し、負担の軽減にもつながりました。夜間の緊急往診時では、「紙カルテを探し出して持参することが難しい場合もあり、ほぼ手ぶらで急行し、情報を頭の中から取り出しながら診察することもありました。今は病院に立ち寄ってノートパソコンを持っていけば、過去の検査データなどの情報を遡って見られますので非常に助かります」と、機動性の向上を評価します。
人材採用がしやすく
電子カルテの導入は人材採用にもつながりました。「看護師は若い方が増えています」と初音院長。天野部長も「急性期病院の3、4年目の看護師が多く来てくれています」と話します。「電子カルテの導入率が低いと言われる療養型病院ですが、当院は急性期病院と比較しても電子カルテを使用した業務には大きな違いがありません。入職してもギャップを感じることもなく、離職防止にもつながっていると思います」と今後の人材確保にも期待を寄せています。
遠隔診療も模索
今後の病院経営について初音院長は「役割や強みを先鋭化していかなければ埋没してしまう」と気を引き締め、同院の強みである訪問診療や、外来での心臓リハビリテーション、生活指導に注力していく方針を示しました。
天野部長は、「当院が架け橋になって超急性期とかかりつけ医のクリニックをつないでいきたい」と話し、遠隔診療のシステムなども、「今は試行段階ですが、様々なパターンを考えています」と将来を展望しています。
成功のカギ
システム導入の実務を担った山﨑氏は「ウィーメックスのフォローアップ体制もあって何とかできました」と評価します。「具体的に方法が思いつかない場合でも、要望をお伝えすると、代案や複数の提案をいただけます」と話し、そうした様々な提案を「選択していく形で電子カルテの運用を進められたことも助かりました」と感謝しています。
千手堂病院
住所:岐阜県岐阜市菅原町 2-21
開設年月:1949年
病床数:療養病床35床、地域包括ケア病床15床
診療科目:内科、循環器内科、心臓血管外科、整形外科、リハビリテーション科、麻酔科、小児科
CKシリーズ(電子カルテ)について
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CKシリーズ
(電子カルテ)
一般・療養型中小規模病院に必要な機能・システムを厳選。シンプルで使いやすい操作性、中小規模病院に特化した機能性、短期間で納入可能なパフォーマンスが特徴です。
また、院内外のコミュニケーションを円滑にし、チーム一体の医療だけでなく、法人グループ内の連携はもちろん、地域連携にも貢献します。