「会えてよかった」と思われる医療従事者になる
クリニックや薬局を訪れる患者さんは、体調に何らかの不安を抱えている方がほとんどです。そんな心の負担を取り除くためには、医療行為そのものだけではなく、患者さんへの接し方に配慮することも大切です。今回は、患者さんの信頼を獲得し、「会えてよかった」「このクリニック・薬局に来てよかった」と思っていただくために心がけるべきポイントをご紹介します。
整理整頓・身だしなみをととのえよう
クリニックや薬局に対し、患者さんはどのような期待・ニーズを持っているのでしょうか。適切な医療の提供を期待されているのはもちろんですが、自分の健康を任せるスタッフに信頼を感じられるか、という点を重視している方も多くいらっしゃいます。そのために、まずは患者さんに与える第一印象に気を配りましょう。特に医療機関では、施設内が清潔に保たれていることが大切です。資料類が整理整頓されており、設備も十分に手入れされていれば、診察を受けるうえでの安心感も増すことでしょう。また、室内の清掃をこまめに行うだけでなく、スタッフの身だしなみからも清潔感を感じられるよう配慮しましょう。
温かな雰囲気を生み出す所作や言葉
患者さんは体調への不安や緊張を抱えながらクリニックや薬局を訪れています。こうした感情を和らげるために、温かみのある雰囲気や話しかけやすい態度を心がけることが大切です。初対面の患者さんには自己紹介をして、「一緒に症状を改善していきましょう」という気持ちを伝えましょう。そのためには、落ち着いた態度で丁寧な言葉遣いを選び、患者さんの話に耳を傾けるようにします。姿勢を正し、表情に注意することでも、話しかけやすい雰囲気を生み出すことができます。
「接遇」マインドが信頼感を醸成する
ここまでお話してきたことは、実は「接客」の基本的なマナーです。接客と言えば、販売業やサービス業でのスキルというイメージがありますが、いまや一般の人々と関わるあらゆる業種では接客の意識を持つことが必要になってきています。そして今後、接客をさらに進化させた「接遇」のマインドこそが、医療業界でも重視されていくと考えられています。接遇とは「おもてなし」の心をもって相手に接することです。患者さんのために何ができるかをスタッフが自発的に考え、行動に移していく姿勢ということもできます。患者さんとのコミュニケーションを通じて、ニーズや解決すべき課題を積極的に見つけ出すことを意識してみましょう。
たとえばクリニックの待合室での待ち時間が長引いているときには、「ただいま8番の方まで承っていますので、あと15分ほどお待ちいただけますか」とお声がけすれば、患者さんの受ける印象は大きく変わってきます。一人ひとりに寄り添った対応をすることで患者さんの不安や緊張も和らぎ、「この人に会えてよかった」と思っていただけることでしょう。こうして築き上げられた信頼関係が、「次回もまたこのクリニック・薬局に来たい」という気持ちにつながっていくのです。