内覧会は目的を見定めて
内覧会の出来が開業後の経営を左右する
最近では新規開業するクリニックの多くが、正式なオープンの前に内覧会を開いています。勤務医時代からお世話になっている恩師や先生方、開業をサポートしてくれた関係者各位、友人・知人たちを招き、感謝の気持ちを込めてクリニックをお披露目する…、という意味合いもありますが、その最大の目的はクリニックのPRです。先生やスタッフにとって内覧会は、初めて地域住民の方々と直接コミュニケーションをとれる機会。その町へ新参者としてデビューするわけですから、少しでも良い印象を持ってもらう必要があります。もし不幸にも内覧会が失敗に終われば、実施にかけた時間やコストが無駄になるばかりか、クリニックの悪い評判まで流れかねません。開業直前に大きな痛手を被るのか、それとも快調なスタートダッシュの足掛かりになるのか…。その分岐点はどこにあるのでしょうか。
一つひとつの施策に目的はあるか
試しにインターネットを検索してみれば、「効果的な内覧会をプロデュースします」という謳い文句のコンサルタント業者を数多く見つけることができるでしょう。そこには告知チラシのデザイン/配布にはじまり、景品の用意に院内の飾り付け、医療機器の説明用フリップ制作、ときには来院者のお子さんをあやす遊具の準備まで、さまざまな内覧会用の施策が掲載されているはずです。その賑やかで本格的なイベントぶりに、思わず「これで立派な会になる!」と考えてしまいそうですが、大切なのは表面的なイメージではなくその根本にある目的です。つまり、それら一つひとつの施策が「地域住民への認知・浸透」「良い口コミの誘発」「開業前予約の確保」「開業後の安定集患」などの目的をきちんと意識したものであるか、が重要なのです。内覧会の計画立案をコンサルタントに依頼する場合は、「提案された各々の施策は何のためにやるのか?」に注目してその要不要を判断なさって下さい。もちろんこの考え方は、業者に依頼せず自前スタッフのみで行う内覧会でも同様です。業者サイトに掲載されているモデルケースを、形だけなぞった空虚な会にしてしまわないよう、目的意識を持ってプログラムを組んでいきましょう。
来院者それぞれの声に耳を傾ける
実はもう一つ、内覧会には非常に大切な目的があります。お気づきになられた方もいらっしゃると思いますが、先ほど列挙した目的はすべて「クリニック側の目的」でした。たしかに会を催す主体は先生およびスタッフなのですから、クリニック側の視点に立つのは当然と言えば当然です。しかしふとその視点をずらしてみると、内覧会に来てくれる大勢の来院者側にもそれぞれわざわざ足を運んだ目的があるはずです。ある方は「病気のことを優しく説明してくれる先生だったらいいな」と考え訪れたのかもしれませんし、ある方は「○○の症状について詳しい先生がいるかも」と思ったのかもしれません。あるいは「待ち時間の少ないクリニックだと助かる」という人もいるでしょう。これら来院者達の思いを感じ取ろうともしない先生・スタッフばかりのクリニックは、開業早々に危機を迎えるはずです。内覧会を催している間は“将来の患者さん”一人ひとりの声に耳を傾ける姿勢を、決して忘れることのないようにして下さい。
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