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クリニック開業 医師 事務長 2024.01.23 公開

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クリニック開業後のよくある後悔・失敗例。避ける方法も紹介

開業医の方々が話す「大きな失敗をして後悔した」という経験談は、これからクリニック開業を考えている先生方にとって非常に価値あるものです。後から取り返せるもの、取り返せないもの、様々な失敗・後悔が存在します。この記事では、よくある例を4つ取り上げました。それらを回避し、成功に近づくためには何に注意すれば良いかもあわせて解説します。

※本内容は公開日時点の情報です

#開業検討 #開業地選定 #機器選定ポイント #マネジメント

目次

開業医と勤務医の違いとは

クリニック開業後のよくある後悔・失敗例。避ける方法も紹介

開業医と勤務医の最も大きな違いは、「経営責任者」であるか否かです。開業医は、クリニックの経営責任者として、スタッフを管理する立場であるのに対して、勤務医はクリニック・病院のいちスタッフとして、管理を受ける側であると言えます。

勤務医時代にも、医局長や部長など、スタッフを管理する立場の経験がある方もいらっしゃいますが、自らがオーナーとして、経営に携わった経験はほとんどないのではないでしょうか。

また、開業準備の時に驚かれるのが、意思決定項目の多さです。多くの先生方が、開業に向けてしっかり準備をしていたはずなのに、開業直前になって様々な問題に直面します。その際に短時間での意思決定を迫られます。経営者とは管理者であると同時に、意思決定者でもあるのです。

クリニック開業でよくある失敗・後悔4パターン

クリニック経営は様々な要因が複雑に重なり合って、成功(満足)と失敗(後悔)が生まれます。クリニックを開業する際に、「マーケティング」と「オペレーション」の2つの視点で検討します。

マーケティングとは、「患者をどう集めるか」を意味し、オペレーションとは、「スタッフをどう管理するか」を意味します。また、クリニック経営のリソースとしては、ヒト、モノ、カネ、情報をどのように組み合わせるかを検討することにあります。これらの項目について、しっかり検討しているにもかかわらず、クリニック開業において失敗・後悔は発生するのです。

ケース1 場所選びの失敗・後悔

クリニックを開業する際、「場所はクリニックの成功を決める」と言われるように、場所選びはとても大切です。そのため多くのドクターは、事前に診療圏調査を行ったり、自らが開業場所を訪れたりして、立地をしっかり確認しています。しかしながら、いざ開業してみると、場所に対する後悔がなぜか生まれるのです。

例えば、思ったよりも患者が集まらなかったり、患者が集まり過ぎて駐車場が狭かったり、通勤ラッシュの際にクリニック前の道が動かなかったり、といったようにです。

また、診療圏調査の情報は、5年前の国勢調査のデータを用いているため、今回の新型コロナウイルス感染症による人口変動などは全く予期できません。さらに、地域のライバルクリニックのパワーバランスも開業してみないと分からないところです。

ケース2 ヒト選びの失敗・後悔

開業医は常に「ヒトの問題」で悩まされています。開業の時に多数の履歴書を確認し、多くの面接をし、しっかり選んだはずなのに、いざ開業してみると、ヒトに対する後悔が生まれるのです。

例えば、事前に想定していたよりもスタッフが足りなかったり、スタッフ同士の仲が悪くなり、急にスタッフが退職してしまったり、そのため急遽スタッフの補充が必要になったり、といったようにです。

ヒトの問題は、それぞれの個人の資質や経験も大切ですが、スタッフの組み合わせが最も大切であると気づかされます。

ケース3 設備の失敗・後悔

開業医は、建物、医療機器、医療システムなど様々な設備投資を行います。開業の時に事前計画をしっかり策定しているにもかかわらず、いざ開業してみると、「設備」に対する後悔が生まれます。

例えば、設備投資が過剰で資金繰りが苦しかったり、医療システムが期待したものではなく買い替えが必要になったり、医療機器の稼働率が思ったより低かったり、といったようにです。「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」という諺があるように、なんでも過剰は禁物であるということを思い知らされます。

ケース4 運用の失敗・後悔

開業医は、クリニック開始する前に、日々の「運用」に関するルールをある程度定めておくものです。それは、朝のオープニング準備から、終了時の締め作業まで、綿密にルールを決めます。しかしながら、いざ開業してみると、受付の運用が上手くいかず、患者の待ち時間が発生してしまったり、院長に業務が集中して診療が進まなかったり、といったようにです。運用については、「自分一人でなんでも背負い込まない」ことが大切です。内部・外部問わず、意見を聞きながら運用を考え、いつでも運用を見直すような柔軟性が必要です。

失敗・後悔を避けるためにできること

クリニックの開業において失敗・後悔を避けるために、「マーケティングの視点」と「オペレーションの視点」に分けて考えてみましょう。

「マーケティングの視点」においては、開業場所を決める前に、開業場所の近くでアルバイトをしてみることをお勧めします。アルバイトを行うことで、その場所でしか分からない地域の情報が入手でき、通勤することで道の混雑状況もわかることでしょう。このような地場(ローカル)の情報は、外から眺めていてもなかなか入手することは難しく、働いたり、住んでみたりしないと分からないことも多々あります。また、アルバイトをすることは「ヒト選び」の際にも役に立ちます。どんなヒトが自分と合うのか、どんなヒトが組織をかき混ぜるのか、といったヒトを見る目が養われるのです。

「オペレーションの視点」においては、事前準備の時点で、いかに開業時の状態をイメージできるかが大切です。イメージを湧かせるためには、開業経験者の経験談は大きなヒントとなります。また、外部のコンサルタントの経験も役に立つことでしょう。

特に、事前準備の中でも「シミュレーション」に時間をかけることをお勧めします。受付、問診、診察、検査・画像、会計、精算といった状況について、本番環境に近い形でしっかりシミュレーションを行うのです。シミュレーション不足が運用面で失敗・後悔を招いていることが多いためです。シミュレーションを早い段階で行うことで、「設備投資」を抑えることができたり、「運用」面での見直しが行えたりするのです。シミュレーションが早い段階でできない場合は、他のクリニック見学をしても良いでしょう。知り合いのクリニックを見学させていただくことで、イメージが具体化していきます。

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著者情報

大西 大輔

大西 大輔

MICTコンサルティング(株) 代表取締役
2001年一橋大学大学院MBAコース卒業。同年、日本経営入社。2002年に医療IT製品の常設総合展示場「メディプラザ」を立上げ、IT導入コンサルティング、システム選定アドバイス、研修事業等を担当。2016年にMICTコンサルティング(株)を設立。多くの医療機関の導入サポートや取材経験より団体などでの講演や執筆多数。

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