スタッフ間のトラブルあれこれ
人間関係のトラブルは起こって当然
「どの新人スタッフもすぐに辞めてしまうと思っていたら、古参スタッフの高圧的な態度が原因だった」「○○さんにだけ院長が優しいという噂が流れ、影でそのスタッフへのイジメが行われていた」「2人のベテランのもとスタッフが分裂し、何をやるにしても派閥間で反発し合う」などなど…。無事開業に漕ぎ着けたと思っても、このように開業後はスタッフ同士のトラブルでてんてこ舞い、という状況は珍しくありません。この手の揉め事は想像するだに気が滅入るため、思わず独立を躊躇してしまう先生もいらっしゃるのではないでしょうか。ですが一般的な企業と同じくクリニックもまた、それまでは他人同士だった人々が集まって毎日仕事をする場所です。開業しクリニックを経営していけば、遅かれ早かれ何らかのスタッフ間トラブルに見舞われることは間違いありません。ですから「諍いはあって当然」というように、開業の準備段階から割り切ってしまうことが大切です。嫌だ嫌だと悩んでいるだけでは、イザという時に立ち往生しかねません。開業準備にあたりスタッフを募ろうと決めたその時から、トラブル対処は始まっているのです。
トラブルのすべてはスタッフが原因?
そもそも「同じ職場で働く仲間」であるはずのスタッフ同士が、なぜトラブルを引き起こすのでしょうか。性格の不一致? コミュニケーション不足? もし本当にこれらが原因のすべてであれば、診療や経営に多忙な院長は「忙しいんだから皆で話し合って自分達で解決してくれ!」と、医師だけにサジを投げたくなることでしょう。しかし、ちょっと立ち止まって考えてみて下さい。というのも、クリニック内で起こるスタッフ間のトラブルの多くは、院長自身の心がけやスタッフへの配慮で防げた可能性があるのです。新米スタッフが定着しないクリニックでは、古参スタッフに新人教育を任せっきりにしていたのかもしれませんし、イジメがあったクリニックでは、院長自身にそのつもりはなくても不公平と受けとられかねない不用意な態度・発言があったのかもしれません。また、派閥抗争が勃発したクリニックでは、院長のリーダーシップが少々足りないことでベテラン2人を増長させてしまったのかもしれません。
院内の雰囲気への配慮がトラブル回避の近道
つまり院長の言動にわずかでも迂闊な点があれば、それが毎日積もり積もってトラブルの起こりやすい雰囲気をクリニック内に生み出してしまう、ということです。このことは、クリニックを熱帯魚の水槽に例えると分かりやすいでしょう。それぞれ個性を持ったスタッフたちは、色とりどりの熱帯魚。クリニックという水槽内を元気よく泳いで働いてもらうためには、管理をしている院長が水質(=院内の雰囲気)をチェックする必要があります。水が汚れていないか常に気を配ることで、トラブルの多くは早期発見・解消できるものなのです。とくに開業の準備期間中はスタッフ同士も互いをよく知らず、ちょっとしたことでストレスが溜まりがち。わずかなことでも見逃さないよう、目を光らせておきましょう。ただし、「院長は管理者だからワンマンでいい!」という意味ではもちろんありません。厳し過ぎても、逆に甘過ぎても、院内の雰囲気は徐々に悪くなります。本当に大切なのは、水の汚れに敏感であること。そして、その汚れの遠因を自身の言動に見つけられる客観的な観察力だと心得て下さい。
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