助成金の活用で有利な開業を
開業直後のピンチの時に活用したい助成金
資金調達の問題については以前お伝えしたことがありましたが(バックナンバー:『クリニック開業資金調達の具体策』参照)、それに引き続き今回のテーマも開業医の難問である「お金の話」です。毎回のように「慎重に資金繰りを行なわないと…」とおどかすような話で先生方も耳が痛いことと思います。しかし院長がお金に関するセンスを持ち合わせていないと、クリニックの命運やスタッフの生活は苦境に立たされてしまいます。ご自身の一つひとつの経済的決断にこれほど大きな重圧がかかるという事態は、勤務医時代にはあまり経験できないもの。このことを今一度噛みしめ、「お金の勉強」のつもりでご覧になって下さい。
なんとか資金調達に成功しクリニック開業にこぎ着けたとしても、ランニングコストつまり運転資金にある程度の余裕がなければ、経営は途端に火の車になってしまいます。集患数の見通しが甘かったり、各種経費が予想以上に膨らんだりと、開業した直後は収支ともに目論みが外れがち。そのようなピンチのときにぜひ活用していただきたいのが各種の助成金です。
助成金はあらかじめ知っていないと利用が難しい
そもそも、助成金とはどのようなものでしょうか。ざっくり言ってしまえば、主に国や地方公共団体から給付される返済不要のお金です。融資ではないため、「受けとるだけで返す必要がない」というのが大きな特長。しかも、同じく国や地方公共団体が定めている補助金制度とは異なり、給付のための特別な審査がないことがほとんどなのです(給付金と補助金の違いについては明確な定義がないため慣例としての区分でお伝えしています)。決められた要件さえ満たしていればどの申請者も原則として給付金を受け取れるため、仮に資金繰りに苦戦していない開業医であっても活用する価値があります。
ただしひと言で助成金と言っても、ここではすべてを挙げることができないほどの種類が存在しています。しかも中にはかなり知名度の低い助成金もあり、それぞれに申請期間が設けられています。なおかつ年ごとに支給要件など制度が見直されるものも少なくないため、「申請しようと思っていたら制度自体がなくなっていた」ということも。要は「そのとき知っている人のみが得をする」といった状況ですので、利用しようと思ったら最新情報を逐一チェックしておくことが必要です。
お金のやり繰りのひとつの手段として
最後に、クリニックをはじめ医療機関が利用できる助成金の一例を紹介しておきます。募集中の助成金は年や地域により異なるため、先ほども述べたように利用の際は最新情報を確認するようになさって下さい。「苦しい時の助成金頼み」と言ってしまうと聞こえは良くありませんが、開業医として、そして経営者としては、「こういうお金のやり繰りもあるのだ」ということを覚えておいて損はないでしょう。
特定求職者雇用開発助成金 | 高年齢者や障害者等の就職困難者を、雇用保険の一般被保険者として雇い入れた場合に助成(ハローワーク等の紹介が必要) |
キャリア形成促進助成金 | 従業員に対して職業訓練などを実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成 |
トライアル雇用奨励金 | 安定的な就職が困難な求職者を、一定期間試行雇用した場合に助成(ハローワーク等の紹介が必要) |
キャリアアップ助成金 | 非正規雇用労働者に対し、キャリアアップ等を促進する取り組みを実施した事業主に対して助成 |
高齢者雇用安定助成金 | 高年齢者の雇用環境整備を実施する事業主や、高年齢の有期契約労働者を無期雇用労働者に転換させた事業主に対して助成 |
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