令和6年診療報酬・
調剤報酬改定情報
メディコムでは医療機関様への情報提供として、令和6年度診療報酬・調剤報酬改定情報をいち早くお届けします。告示・通知の解釈から、院内運用対策、改定Q&Aまでメディコム改定情報を是非お役立てください。
- ※改定前情報につきましては、中医協等において審議された内容に基づいて概要を記載しております。今後議論が進むに従い、内容が大きく変更する事も予想されます。ここに記載しました内容につきましては、あくまでも「参考情報」ということを予め御了承下さい。
- ※画像資料の出典は厚生労働省 中医協総会資料です。
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令和6年度診療報酬改定の概要(抜粋)(外来)
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診療所・病院向け
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令和6年度調剤報酬改定の概要
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保険薬局向け
【コンピューターの操作説明】
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令和6年診療報酬
メディコム 改定ニュース
メディコム 改定ニュースNo.6
令和6年診療報酬改定情報(医科)
「中医協個別改定項目」より【ダイジェスト】
- 【新】新設
- 【届】地方厚生局長等に届け出が必要
- 【基】施設基準を満たす必要あり
- 【改】改定項目
特定疾患療養管理料:糖尿病・高血圧・脂質異常を対象疾患から除外
3疾病➡「生活習慣病管理料」に移動
- ◆特定疾患療養管理料の対象疾患から「脂質異常症」「高血圧症」「糖尿病」が除外 ※処方料及び処方箋料の特定疾患処方管理加算についても同様
- ◆新たに特定疾患療養管理料の対象疾患を追加(『リポ蛋白代謝障害及びその他の脂(質)血症(家族性高コレステロール血症等の遺伝性疾患に限る』『アナフィラキシー』『ギランバレー症候群』が新たに追加)
- ◆「脂質異常症」「高血圧症」「糖尿病」の指導管理は、生活習慣病管理料Ⅰと生活習慣病管理料Ⅱに移動
【生活習慣病管理料Ⅰ】※検査等の費用は包括
- 1. 脂質異常症を主病とする場合
- 610点
- 2. 高血圧症を主病とする場合
- 660点
- 3. 糖尿病を主病とする場合
- 760点
【算定要件 (抜粋)】
- 生活習慣病管理料(Ⅱ)を算定した日の属する月から起算して6月以内の期間においては、生活習慣病管理料(Ⅰ)は、算定できない
- 外来管理加算は生活習慣病管理料(Ⅰ)に含まれる
- 歯科医師・薬剤師・看護師・管理栄養士等の多職種と連携することが望ましい
- 生活習慣病の療養計画書は患者・家族の求めが合った場合も交付することとし、概ね4月に1回以上は交付する
- 患者の状態に応じて28日以上の投薬実施またはリフィル処方箋を交付することを院内掲示及び適切に対応
- 糖尿病患者について眼科、歯科受診の推奨を行う
【生活習慣病管理料Ⅱ】※出来高算定
- 生活習慣病管理料Ⅱ
- 333点
【算定要件 (抜粋)】
- 200床未満の病院または診療所において脂質異常症、高血圧症、糖尿病を主病とする患者に対し、患者の同意を得て治療計画を策定し、生活習慣に関する総合的な治療管理を行った場合に月に1回限り算定する
- 外来管理加算は生活習慣病管理料(Ⅱ)に含まれる
- 生活習慣病管理料(Ⅰ)を算定した日の属する月から起算して6か月以内の期間においては、生活習慣病管理料(Ⅱ)は算定できない
- 情報通信機器を用いて行った場合は、所定点数に代えて290点を算定する
- 【新】血糖自己測定加算(年1回)
- 500点
- 【新】外来データ提出加算
- 50点
オンライン診療/遠隔診療関連
【新】【届】在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2(情報通信機器を用いた場合):
閉塞性無呼吸症候群に対する在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2を算定する患者に対し、情報通信機器を用いて指導管理を行った場合は、218点を算定する
【新】【届】通院精神療法(情報通信機器を用いた場合):
情報通信機器を用いた精神療法を行うことが適当と認められる患者に対し、情報通信機器を用いて精神療法行った場合は、所定点数に代えてそれぞれ357点又は274点を算定。ただし、当該患者に対し1回の処方において、3種類以上の抗うつ薬又は3種類以上の抗精神病薬を投与した場合は算定不可。他、情報通信機器を用いた診療の初診の場合には向精神薬を処方しないことをホームページ等に掲示していることを施設基準に追加
【新】【届】小児特定疾患カウンセリング料(情報通信機器を用いた場合):
小児の発達障害等に対し情報通信機器を用いた小児特定疾患カウンセリングを行った場合、所定点数に代えて696点、522点もしくは435点、435点もしくは348点もしくは348点を算定
【新】【届】慢性腎臓病透析予防指導管理料1(情報通信機器を用いた場合):
慢性腎臓病の患者(糖尿病患者又は現に透析療法を行っている患者を除き、別に厚生労働大臣が定める者に限る。)であって、医師が透析予防に関する指導の必要性があると認めた入院中の患者以外の患者に対して、当該保険医療機関の医師、看護師又は保健師及び管理栄養士等が共同して必要な指導を行った場合に、月1回に限り算定。慢性腎臓病透析予防指導管理料を算定すべき医学管理を情報通信機器を用いて行った場合は、1又は2の所定点数に代えて、261点又は218点を算定
【改】【届】看護師等遠隔診療補助加算:
へきち診療所及びへきち医療拠点病院において、適切な研修を修了した医師が、看護師等といる患者に対して情報通信機器を用いた診療を行った場合に所定点数に50点加算
医療DXの推進(医療デジタルトランスフォーメーション:医療の現場において、デジタル技術を活用することにより医療の質の向上や効率化を行う)
【新】【届】医療DX推進体制整備加算:
医療DX推進に係る体制として届け出た保険医療機関を受診した患者に対して初診を行った場合は、医療DX推進体制整備加算として、月1回に限り8点を所定点数に加算する。この場合において在宅医療DX情報活用加算、訪問看護医療DX情報活用加算は同一月に別に算定できない。また、医療DX推進体制に関する情報取得や活用については、院内に掲示及び、原則としてwebサイトに掲載すること
【新】【届】在宅医療DX情報活用加算:
対象患者は在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の1、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の2、在宅患者訪問診療料(Ⅱ)及び在宅がん医療総合診療料を算定する患者。届け出た保険医療機関において電子資格確認等により得られる情報を踏まえて計画的な医学管理の下に、訪問して診療を行った場合は、在宅医療DX情報活用加算として、月1回に限り10点を所定点数に加算する。この場合において、初・再診料それぞれに規定する医療情報取得加算、在宅医療DX情報活用加算、在宅患者訪問看護・指導料、精神訪問看護・指導料に規定する訪問看護医療DX情報活用加算は同一月に別に算定できない。また、院内に掲示及び原則としてwebサイトに掲載すること
【改】【基】医療情報・システム基盤整備体制充実加算➡医療情報取得加算1・2・3・4に見直し
医療情報取得加算1 | 医療情報取得加算2 | 医療情報取得加算3 | 医療情報取得加算4 |
---|---|---|---|
初診時 | 再診時 | ||
3点/月1回 | 1点/月1回 | 2点/3月に1回 | 1点/3月に1回 |
患者に対し十分な情報を取得した場合 | 電子資格確認により診療情報を取得又は他保険医療機関から診療情報等の提供を受けた場合 | 患者に対し十分な情報を取得した場合 | 電子資格確認により診療情報を取得又は他保険医療機関から診療情報等の提供を受けた場合 |
【新】プログラム医療機器等指導管理料:
主に患者自らが使用するプログラム医療機器等(特定保険医療材料に限る)に係る指導管理を行った場合に、プログラム医療機器等指導管理料として、90点を月に1回に限り算定。プログラム医療機器等に係る初回の指導管理を行った月においては、導入期加算として所定点数に50点を加算する
医療従事者の賃上げ/人材確保に向けた取組
【改】初診料・再診料点数の見直し:
外来診療における標準的な感染防止対策を日常的に講じることが必要となったこと、職員の賃上げを実施すること等の観点から、初診料を3点、再診料と外来診療料をそれぞれ2点引き上げる。
【新】【届】外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)
- 初診時 6点
- 再診時等 2点
- 訪問診療時
- イ 同一建物居住者等以外の場合 28点
- ロ イ以外の場合 7点
◆外来又は在宅医療を実施しており、施設基準を満たした上で届け出た医療機関で算定可。◆対象の32職種の医療従事者について令和6年度及び令和7年度に賃金の改善計画の作成と実施が必須。◆計画に基づく改善状況について定期的に地方厚生局長等に報告が必要
※基本給又は定期的に支給される手当による引き上げを原則とし、賞与による引き上げは対象外◆定期昇給による改善は認められない 等
◆外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)で看護師等+2.3%の賃上げができない医療機関では「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)」を算定し、+1.2%(最低ライン)の賃上げをできるようにする。
【新】【届】外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)
- 外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)1
- イ 初診又は訪問診療を行った場合 8点
- ロ 再診時等 1点
- 外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)2
- イ 初診又は訪問診療を行った場合 16点
- ロ 再診時等 2点
- 外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)8
- イ 初診又は訪問診療を行った場合 64点
- ロ 再診時等 8点
◆入院基本料、特定入院料又は短期滞在手術等基本料(短期滞在手術等基本料1を除く。)の届出を行っていない保険医療機関であること◆外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)の届出を行っている保険医療機であること◆外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)及び歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)により算定される点数の見込みの10倍の数が、対象職員の給与総額の1分2厘未満であること。◆保険医療機関ごとの区分については、当該保険医療機関における対象職員の給与総額、外来・在ベースアップ評価料(Ⅰ)及び歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)により算定される点数の見込み並びに外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)及び歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)の算定回数の見込みを用いて算出した数【A】に基づき、別表2に従い該当する区分のいずれかを届け出る 等
令和6年診療報酬
メディコム改定ニュース アーカイブ
- No.5
- No.4
- No.3
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メディコム 改定ニュースNo.5
【中医協・総会】1月19日 令和6年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(一部抜粋)
I 現下の雇用情勢も踏まえた人材確保・働き方改革等の推進
◆入院基本料等について、以下の見直しを行う。 〇退院後の生活を見据え、入院患者の栄養管理体制の充実を図る観点から、栄養管理体制の基準を明確化する。 〇人生の最終段階における適切な意思決定支援を推進する観点から、当該支援に係る指針の作成を要件とする。 〇医療機関において組織的に身体的拘束を最小化する体制の整備を求める。 〇40歳未満の勤務医師、事務職員等の賃上げを実施すること等の観点から、入院基本料等の評価を見直す。 ◆外来診療において標準的感染防止対策を日常的に講じることが必要となっていること、職員の賃上げを実施すること等の観点から、初再診料等の評価を見直す。 ◆施設基準の届出及びレセプト請求に係る事務等を見直すとともに、施設基準の届出の電子化を推進する。 ◆ICTの活用等による看護職員の更なる業務負担軽減の観点から「夜間看護体制加算」等の夜間における看護業務の負担軽減に資する業務管理等の項目を見直す。◆医療資源の少ない地域に配慮した評価を適切に推進する観点から、回復期リハ病棟入院料について、評価体系を見直すと共に地域包括ケア病棟入院料2・4並びに在宅療養支援診療所及び在宅療養支援病院について要件を見直す。 ◆第8次医療計画における二次医療圏の見直しの予定等を踏まえ、対象地域を見直す。 ◆近年の情報化社会の進展に伴うサービスの多様化に対応する観点から、時間外対応加算について、時間外の電話対応等の多様な在り方を考慮した評価体系に見直す。
II ポスト2025を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進や医療DXを含めた医療機能の分化・強化、連携の推進
◆オン資に係る体制が整備されていることを踏まえ、医療情報・システム基盤整備体制充実加算の評価の在り方を見直す。 ◆「医療DXの推進に関する工程表」に基づき、利用実績に応じた評価等を進めることとされていることを踏まえ、医療DXを推進する体制について、新たな評価を行う。 ◆オン資、電子処方箋及び電子カルテ情報共有サービスにより、在宅における診療計画の作成において取得された患者の診療情報・薬剤情報を活用することで質の高い医療を提供した場合について、新たな評価を行う。 ◆情報通信機器を用いた場合の在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料について、新たな評価を行う。 ◆発達障害等、児童思春期の精神疾患の支援を充実する観点から、小児特定疾患カウンセリング料について要件及び評価を見直すとともに、(中略)発達障害等を有する小児患者に対する情報通信機器を用いた医学管理について新たな評価を行う。 ◆情報通信機器を用いて通院精神療法を実施した場合について新たな評価を行う。 ◆診療録管理体制加算について非常時に備えたサイバーセキュリティ対策の整備に係る要件及び評価を見直す。 ◆プログラム医療器を用いた場合の医学管理について、評価の在り方の見直しを行う。 ◆書面掲示について、原則として、ウェブサイトに掲載しなければならないこととする。 ◆精神障害の特性を踏まえ医療機関と障害福祉サービスとの連携を推進する観点から、診療情報提供料(Ⅰ)について情報提供先を見直す。 ◆入退院支援強化の観点から、入退院支援加算1・2について要件を見直す。 ◆慢性心不全患者に対する退院直後の支援強化の観点から、在宅療養指導料について対象患者を見直す。 ◆認知症患者の身体的拘束最小化の取組推進の観点から、認知症ケア加算の評価見直し、また、認知症ケア加算及びせん妄ハイリスク患者ケア加算について要件を見直す。 ◆療養病棟入院基本料については以下の見直しを行う。 〇医療区分に係る評価体系を見直す。 〇中心静脈栄養の評価を見直す。 〇経腸栄養の管理の実施について、新たな評価を行う。 〇リハビリテーションの要件を見直す。 ◆医療と介護における栄養情報連携を推進する観点から、入院栄養食事指導料の栄養情報提供加算について、要件を見直す。 ◆実態に即した評価を行う観点から、短期滞在手術等基本料について評価を見直す。 ◆より質の高い回復期リハ医療を推進する観点から、回復期リハ病棟の要件及び評価を見直す。 ◆有床診療所療養病床入院基本料の要件を見直す。 ◆生活習慣病管理料について要件及び評価を見直すとともに、特定疾患療養料について対象患者を見直す。 ◆リフィル処方・長期処方/医療DXの活用による効率的な医薬品情報の管理を適切に推進する観点から、特定疾患処方管理加算について、要件並びに評価を見直す。
【中医協・総会】1月19日 令和6年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(一部抜粋)
II ポスト2025を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進や医療DXを含めた医療機能の分化・強化、連携の推進
◆かかりつけ医機能の評価である地域包括診療料等について、要件及び評価を見直す。 ◆介護保険施設等との連携を推進する観点から、感染対策向上加算について、要件を見直す。 ◆外来感染対策向上加算について要件及び評価を見直す。 ◆院内感染防止等の観点から感染対策が特に必要となる感染症の入院患者について、必要な感染管理及び個室管理を新たに評価する。 ◆小児に対する継続的な診療を一層推進する観点から、小児かかりつけ診療料について要件及び評価を見直す。 ◆介護保険施設の協力医療機関であって、平時からの連携体制を構築している医療機関の医師が往診を行う場合について、新たな評価を行う。 ◆緊急の往診に係る評価を見直す。 ◆ターミナルケア加算について、要件を見直す。 ◆より質の高い在宅医療の提供を適切に評価する観点から、訪問診療の算定回数に応じて在宅時医学総合管理料及び施設入居時等医学管理料の評価を見直す。 ◆頻回訪問加算について、要件及び評価を見直す。 ◆医師がICTを活用して死亡診断を行う場合において、研修を受けた医療機関の看護師が当該医師の補助を行うことについて、新たな評価を行う。
III 安心・安全で質の高い医療の推進
◆食材費が高騰していること等を踏まえ、入院時の食費の基準を引き上げる。 ◆一般不妊治療管理料について要件を見直すとともに、不妊治療における胚の凍結保存に係る実態を踏まえ、胚凍結保存管理料について要件を見直す。 ◆難病患者に対する診断のための検査を充実させる観点から、診断に必要な遺伝学的検査について、対象疾患を拡大するとともに、同一検体を用いて複数の遺伝子疾患に対する遺伝学的検査を行った場合について、新たな評価を行う。 ◆慢性腎臓病患者に対する移植を含む腎代替療法に関する情報提供及び共同意思決定を更に推進する観点から、人工腎臓の導入期加算について要件及び評価を見直す。 ◆患者・利用者から見て分かりやすい医療を実現する観点から、令和6年6月より、指定訪問看護事業者による明細書の無料発行を義務化するとともに、診療所(医科・歯科)における明細書無料発行の義務の免除規定について、全ての医療機関において発行可能な環境を整備した上で、廃止する。 ◆入院患者のデータ提出に係る実態を踏まえ、データ提出加算の評価及び要件を見直すとともに、データ提出加算に係る届出を要件とする入院料の範囲を拡大する。 ◆より質の高いアウトカムに基づいた回復期リハビリテーション医療を推進する観点から、回復期リハビリテーション病棟の要件及び評価を見直す。 ◆回復期リハビリテーション病棟における運動器疾患に対してリハを行っている患者については、1日6単位を超えた実施単位数の増加に伴うADLの明らかな改善が見られなかったことを踏まえ、運動器リハ料に係る算定単位数の上限が緩和される対象患者を見直す。 ◆小児の外来診療における抗菌薬の適正使用を推進する観点から、小児抗菌薬適正使用支援加算の対象疾患について見直すとともに、処方等に係る評価体系の見直し等を踏まえ、小児科外来診療料について評価を見直す。 ◆質の高い精神医療の提供を推進する観点から、通院・在宅精神療法について評価を見直すとともに、精神疾患の早期発見及び早期に重点的な診療等を実施する体制を有する医療機関が精神療法を行った場合について、新たな評価を行う。 ◆心的外傷に起因する症状を有する患者に対して適切な介入を推進する観点から、精神科を担当する医師の指示を受けた公認心理士が必要な支援を行った場合について、新たな評価を行う。 ◆精神科在宅患者支援管理料について、対象患者の要件を見直す。 ◆慢性腎臓病に対する重症化予防を推進する観点から、慢性腎臓病に対して多職種連携による透析予防の管理を行うことについて、新たな評価を行う。
IV 効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上
◆医療DX,医薬品の安定供給等に資する取組を更に推進する観点から処方等に係る評価体系の見直しを行う。 ◆バイオ後続品に係る患者への適切な情報提供を推進する観点から、入院医療においてバイオ後続品の有効性や安全性について十分な説明を行い、バイオ医薬品ごとの特性を踏まえた使用数量割合の基準を満たす医療機関について新たな評価を行うとともに、バイオ後続品導入初期加算について対象患者を拡大する。 ◆医療保険財政の中で、イノベーションを推進する観点から、長期収載品について、保険給付の在り方の見直しを行うこととし、選定療養の仕組みを導入する。 ◆検体検査の実施料について評価を見直す。 ◆包括されている医薬品の実勢価格を踏まえ、人工腎臓について評価を見直す。
メディコム 改定ニュースNo.4
【中医協・総会】 令和5年12月27日 中医協・総会 「医療DX」「個別事項(その21・22)」「訪問診療・往診等距離要件」など
12月27日に行われた中医協総会では「医療DX」「臓器移植」、その他横断的事項について等が議論された。特に、医療DXについては「質の高い」「効率的・効果的な」医療の実現のために必須であり、その動きを加速させる必要があるとされた。
医療DXについて
医療DX促進のためにはサイバーセキュリティーの強化も同時に必要となるが、医療情報システム安全管理責任者の配置やインシデントが発生した場合の訓練の評価などが議論された。また、オンライン資格確認については外来・入院医療だけでなく在宅医療、訪問看護、オンライン診療においても医療情報・システム基盤整備体制充実加算の対象とするよう進める。電子カルテ情報共有サービス(仮称)は、①「文書情報を医療機関が電子上で送受信できる」 ②「全国の医療機関・薬局で患者の電子カルテ情報(6情報)を閲覧できる」 ③「本人等が、自身の電子カルテ情報(6情報)を閲覧できる」ことを目的として進められているが、これを診療報酬でどのように後押しするかについて議論された。さらに電子処方箋については利活用されておらず広く普及に及んでいないことから、補助金だけでなく、導入後の診療報酬で評価するのが良いのではないかという意見が出た。
※6情報:① 傷病名 ② アレルギー ③ 感染症 ④ 薬剤禁忌 ⑤ 検査(救急、生活習慣病) ⑥ 処方
敷地内薬局について
薬局は医薬分業を前提とし薬局の役割を果たすために独立した機能を有しておく必要があるが、敷地内薬局は構造的・機能的に独立していると言い難い。また、調剤医療費について見ると処方箋受付1回あたりの薬剤料の費用及び割合がその他の薬局と比較して高い、特別調剤基本料を算定する薬局において「医薬品等費」が費用に占める割合が、その他の薬局と比較して突出して高い等のデータがあることから、医療機関・薬局側双方で調整の必要があるのではないかと議論された。
訪問診療・往診等距離要件
訪問診療、往診等における16kmの取扱いについては、医療資源の乏しいへき地などの状況を鑑み、要件を一部緩和。
【中医協・総会】 令和 5年12月22日 中医協・総会「個別事項(その18・19・20)」「入院(その9)」についてなど
12月22日に行われた中医協総会では「精神医療について」「技術的事項」、入院については「療養病棟入院基本料の医療区分について」などが議論された。
精神医療については、地域包括ケアシステムの構築の推進、心的外傷等に対する心理支援、不適切な養育への対応に係る体制、精神障害者の就労支援等が議題に上がった。
精神医療
精神疾患患者は精神病棟に入院する患者数は将来的に減少し、3か月未満の急性期又は3か月以上1年未満の回復期の患者が増加する見込み。そうした予測を踏まえ、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に資する入院医療・在宅医療の在り方について評価を見直す必要があるとされた。他、入退院を繰り返す患者については、精神科在宅患者支援管理料の対象患者の要件の見直しが行われる見込み。犯罪被害等のトラウマ体験後のPTSD症状を有する患者については、精神科の医師の指示のもと公認心理士が行う心理支援についての評価を新設、虐待対策チームが適切な支援を実施した場合の評価、診療情報提供料(Ⅰ)の情報提供先として就労選択支援事業所の追加も議論された。
慢性維持透析
人工腎臓について包括される医薬品の実勢価格当を踏まえた評価の見直し、導入期加算2・3の評価のあり方についての見直しが議論された。
プログラム医療機器の使用に関する指導管理
患者自身が医療機関外で使用するプログラム医療機器について、機器自体の使用に係るコストとは別に指導管理に対する評価の新設について議論された。
入院医療について
入院については、DPC標準病院のうち「データ数の少ない病院」について基礎係数設定の見直し等が議題に上がった他、療養病棟における患者の医療区分について、「疾患・状態」と「処置」によって医療資源投入量の分布が異なっていることから、切り分けて考えることとし今後試算していくこととなった。試算結果に注視が必要。
【中医協・総会】 令和5年12月20日 中医協・総会 「診療報酬改定率」「個別事項(その15・16・17)」など
12月20日に行われた中医協総会では令和6年度診療報酬の改定率の発表があった。また、個別事項として「医療機関と高齢者施設等との連携」「介護保険施設及び障害者支援施設において医療保険から算定できる医療サービス」「医療資源の少ない地域」「有床診療所」「短期滞在手術等基本料」「データ提出加算」について議論した。
診療報酬改定率
令和6年度の診療報酬・薬価等改定は、医療費の伸び、物価・賃金の動向、医療機関等の収支や経営状況、保険料などの国民負担、保険財政や国の財政に係る状況を踏まえ、+0.88%となった。このうち0.61%は看護職員・病院薬剤師等の処遇改善に充てられる。生活習慣病を中心とした管理料、処方箋料等の適正化に▲0.25%とした。他、入院時の食事基準額の引き上げ対応(1食当たり30円増額、低所得者については所得区分に応じて10~20円)として+0.61%を当てる。
薬価・材料価格
薬価は▲0.97%、材料は▲0.02%とした。薬剤については長期収載品の在り方の見直しとして、選定療養の仕組みを導入することとした。令和6年10月より、「後発医薬品の上市後5年以上経過又は後発医薬品の置換率が50%以上のものを対象に、後発医薬品の最高価格帯との価格差の4分の3までを保険対象とし、残り4分の1を選定療養費として患者に負担を求めることが決まった。検討事項であった「市販品類似の医薬品の保険給付の在り方の見直し」などについては今後引き続き検討する。
医療機関と高齢者施設等との連携
高齢者が、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けることができるよう、地域における医療・介護の関係機関が連携して、包括的かつ継続的な在宅医療・介護を提供することが重要という観点から、在支病等においては、介護保険施設の求めに応じて協力医療機関を担うことが望ましいこととしてはどうかと議論された。介護保険施設では現在でも「協力医療機関の確保」が義務付けられており様々な要件が課されているが、さらに連携強化のため3年間の経過措置付きで協力医療機関に関する要件が義務付けられる。具体的には、「入所者の病状が急変した場合等に、医師または看護職員が相談対応を行う体制を常時確保している」など。これらの介護保険報酬の改定に対応する形で医療機関側にも「協力医療機関の医師が施設からの求めに応じて往診した」「往診等で入院の必要性を認め、入院を受け入れた」といった場合の評価を新設する見通し。また、協力医療機関と介護保険施設の間におけるICT等を活用した情報共有についての評価も新設される。他、高齢者の多くが要介護者であり、介護と医療を必要としているが、介護保険施設および障害者支援施設において医療保険から給付できる医療サービスには制限が多いため、給付の在り方について見直すべきという意見が出た。具体的には、介護老人保健施設入所者の放射線治療及び緩和ケア、高度な管理を必要とする薬剤処方に係る処方箋発行の費用や調剤報酬の一部など。
医療資源の少ない地域における医療の提供
第8次医療計画に則り、医療資源の少ない地域を見直す。医療資源の少ない地域では医療従事者の不足等の理由から医療の機能分化が出来ない。そのため集中的なリハビリを行う回復期リハビリテーション病棟の届出ができないといった実態を踏まえ、回復期リハビリテーション病棟入院料の病室・病床単位での届出を行えるようにしてはどうかと議論された。さらに地域包括ケア病棟については、病棟の要件を緩和する案も出た。具体的には「自院の急性期病棟からの転棟患者割合」の見直しを行うなど。
有床診療所
有床診療所は減少傾向が続いているが、地域包括ケアシステムにおいて有床診療所は要ともいえる機能・役割を担っている。これを更に推進するために、有床診療所減少に歯止めをかける必要があることから、有床診療所における訪問リハビリテーション、訪問栄養食事指導、医療型短期入所といったサービスの提供を推進する取組について、また、看護職員の配置基準の見直しについて議論された。
短期滞在手術等基本料1・3,データ提出加算
短期滞在手術等基本料1は、「入院外」と「1日入院」の扱いでばらつきが見られるため、「入院外」を促進することとした。短期滞在手術等基本料3については、在院日数の短縮を検討する。データ提出加算は、データ提出を要件とする入院料の範囲の拡大が議論された。
メディコム 改定ニュースNo.3
【中医協・総会】令和5年12月15日 中医協・総会「在宅(その6)」「入院(その7・8)」「外来(その4)」など
12月15日に行われた中医協総会では、在宅関連では訪問診療・往診、訪問看護について、入院については入退院支援・栄養管理体制、さらに高齢者の救急患者等に対応する入院医療について議論された。また外来に関しては情報通信機器を用いた診療について議題に上がった。
患者の状態に応じた訪問診療
患者の状態に応じ、よりきめ細かな評価を実施する観点から、要介護度及び認知症日常生活自立度に関する包括的支援加算の対象患者の範囲について、見直しを行ってはどうか。また、実態を踏まえて、麻薬の経口投与を行っている患者について、包括的支援加算の対象患者に加えてはどうかといった意見が出たが支払側と診療側とで意見が分かれ決着しなかった。今後の議論に注視する必要あり。
入退院支援
入退院支援における関係機関との連携の強化、生活に配慮した支援の強化、入院前からの支援の強化、退院直後の継続支援について議論された。具体的には、医療機関と介護支援専門員等との間の情報共有に使用する様式の見直し、急性期病棟を有する病院の入退院支援の病診連携強化、リハビリ・栄養・口腔管理の強化、入院時支援加算1・2の見直し等。
高齢者の救急患者等に対応する入院医療
救急搬送のうち高齢者が占める割合が62.3%に達している。高齢者が急性期から速やかに離脱できるよう、リハビリ・栄養・口腔管理を強化しつつ急性期医療を提供できる包括的な病棟の新設について議論された。
情報通信機器を用いた診療による疾病管理
情報通信機器を用いた精神療法について議論された。特に小児精神については初診待機が問題となっていること、カウンセリングが有用であることから、小児特定疾患カウンセリング料のオンライン診療を認める方向で議論された。
【中医協・総会】令和5年12月13日 中医協・総会「令和6年度診療報酬改定の基本方針について」など
12月13日の中医協総会では「令和6年度診療報酬改定の基本方針」が発表された他、アルツハイマー型認知症治療薬「レケンビ点滴静注」の最適使用推進ガイドラインやDPC/PDPSにおける新型コロナウイルス感染症等を踏まえた対応、医療機器及び臨床検査の保険適用についてなどが議題に上がった。
診療報酬改定の基本方針
診療報酬改定の基本方針は以下の4点。
(1)現下の雇用情勢も踏まえた人材確保・働き方改革等の推進【重点課題】
(2)ポスト2025を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進や医療DXを含めた医療機能の分化・強化、連携の推進
(3)安心・安全で質の高い医療の推進
(4)効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上
それぞれの具体的方向性の例として、(1)は医療従事者の人材確保や賃上げに向けた取組、タスク・シェアリング/タスク・シフティング、チーム医療の推進、業務の効率化に資するICTの利活用など。少子高齢化が加速している現状において医療従事者の確保・働き方改革は重要課題として特に対応が必要とされた。(2)は、医療DXの推進による医療情報の有効活用、遠隔医療の推進、外来医療の機能分化・強化、質の高い在宅医療・訪問看護の確保など。(3)は小児医療、周産期医療、救急医療等、重点的な対応が求められる分野への適切な評価、生活習慣病の増加等に対応する効果的・効率的な疾病管理及び重症化予防の取組推進など。(4)は後発医薬品、バイオ後続品の使用促進など。
レケンビ点滴静注の最適使用推進ガイドライン
レケンビ点滴静注(一般名レカネマブ)は「アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制」を効能・効果とする薬剤。13日薬価基準収載および最適使用推進ガイドラインが了承された。認知症の高齢者が増加の一途をたどっている我が国において、非常に注目されている薬剤であるが、使用にあたっては最適使用推進ガイドラインに従うことが求められる。具体的には、「患者要件」「認知機能評価 MMSEスコア、臨床認知症尺度 CDR全般スコア」「診断に用いた検査名称・実施年月日・実施施設名」「治療責任者である医師の要件」等、様々なレセプト記載事項が要求された。
【中医協・総会】令和5年12月8日 中医協・総会「医療DX(その4)」「個別事項(その12・13・14)」「処遇改善」等
12月8に行われた中医協総会では「医療DX」、「個別事項その12・13・14」において「人生の最終段階における医療・ケア」「明細書、簡素化」「生活習慣病対策」「処遇改善」「入院時の食費について」が議論された。
書面要件・書面掲示のデジタル化推進
2025年度から始まる電子カルテ情報共有サービスを想定し、外来迅速検体検査加算など書面での検査結果等の作成、情報提供等が必要とされる項目(書面要件)について電磁的方法でも可とすること、併せて、明細書発行体制加算など特定の場所に文書を掲示することが必要とされているものについてインターネット等での閲覧ができることを原則化するよう、支払側より求められた。これについて診療側からの反対は出なかったが、HPを持たない医療機関への配慮について要望が出た。
人生の最終段階における医療・ケア
今後、医療と介護の両方が必要とされる認知症高齢者人口が増加することを踏まえ、医療と介護間の情報共有や理解、連携をより一層強める必要があるという観点から、情報共有に用いる様式について見直しを検討する。また、外来における「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえた適切な意思決定支援に関する 指針について、指針を策定している割合が入院と比較して外来が低いことから、外来のかかりつけ医が早期から患者の意志決定支援を実施することの評価が検討された。
明細書の無料発行、業務の効率化・簡素化
明細書の無料発行については広く定着したことから、診療所における明細書の無料発行の免除規定の撤廃が議論された。免除規定の廃止の時期について、費用がかかること、令和10年度以降に標準型レセコン等の提供が検討されていることを踏まえ、令和10年度以降の当該標準型レセコン提供開始時期を目途としてはどうかといった意見が出た。他、訪問看護ステーションでも令和6年6月(7月分請求)よりオンライン請求が開始されることから、明細書発行の義務化となる見込み。
他、デジタル化に対応するため、診療報酬点数表におけるルール の明確化・簡素化を図る取組が検討された。具体的には施設基準の届出について簡素化すること等。
生活習慣病対策
生活習慣病管理料を見直し、管理栄養士など多職種との連携や医科歯科連携に関する要件を追加してはどうか、と厚労省より提案があった。高血圧、糖尿病、脂質異常症のいずれも再診患者のかなり多くに外来管理加算や特定疾患療養管理料が算定されている一方で、 地域包括診療料、地域包括診療加算、生活習慣病管理料の算定が極めて少ない実態から見直しが必要ではないかと意見が出た。生活習慣病の管理はプログラム医療機器や間歇スキャン式持続血糖測定器などの新しい技術の導入もあり診療ガイドラインに沿って要件も変化しているが、特定疾患療養管理料については新たな技術等が反映されていないとして、高血圧、糖尿病、脂質異常症を特定疾患療養管理料の対象から除外し、生活習慣病管理料のもとで診療するべきではないかという意見が出た。これを踏まえて、生活習慣病管理料の要件を見直すべきではないかとされた。
具体的には、月に1回以上診療するとなっている要件の緩和、リフィル処方箋を生活習慣病管理においてさらに活用するための施策など。また、生活習慣病管理料では療養計画書の作成が煩雑であるため今後の電子カルテ情報共有サービスが進むことにより閲覧できる情報等は不要ではないかという観点から計画書の様式を簡素化できるとした。
他、生活習慣病管理においては、管理栄養士等の多職種との連携による治療が有用であるという観点から、算定要件に多職種との連携や医科歯科連携を盛込む案が出た。
・入院時の食費
食材費等が高騰している。また、介護保険の食費の自己負担は一食あたり約482円で入院時の食費との差が22円となっている。これに対応するため、30円引き上げてはどうかと意見が出た。また、同様の価格設定がされている入院時の生活療養費の食費分についても同様の見直しが検討される。
・処遇改善
医療関係職種は全産業平均の賃上げに追いついていない状況を踏まえ、医療機関等の職員における処遇改善について、診療報酬において対応する場合を想定し、技術的検討を進めていく必要があることから、入院・外来医 療等の調査・評価分科会において必要な分析を行い、検討を進めることとした。
メディコム 改定ニュースNo.2
【中医協・総会】令和5年12月6日 中医協・総会「個別事項(その11)」「入院(その2)」「感染症対策(その2)」
12月6日に行われた中医協総会では、救急医療、感染症対策について議論が行われた。
救急搬送診療料の要件化及び救急医療管理加算の対象患者限定化
救急医療については主に救急搬送と救急医療管理加算の2項目が議題に上がった。現在、急性期病棟から地域包括ケア病棟等に転院搬送される場合、救急搬送診療料等の点数があり評価されているが「平時からの搬送元・搬送先連携」と「転院搬送」を一元化して評価してはどうかといった案が出た。また、救急医療管理加算については、算定対象患者について、実態を踏まえて見直しする必要があるのではないかといった議論が行われた。
新興感染症発生・まん延時における医療及びその備えに対する評価について
2024年度からの第8次医療計画の中に新たに盛り込まれた新興感染症対策により、都道府県等と医療機関間による感染症対応関連の協定締結、平時からの感染症対策の強化、有事における対応等を地域ごとに協議・決定しなければならないとされた。これを踏まえて診療報酬でも医療機関の取り組みに対して評価されるべきではないかという意見が出た。具体的には、感染対策向上加算の見直しが挙げられた。
また、外来における発熱患者等の受入に係る適切な感染対策の実施に対する評価をどのように考えるか、といったことも議論された。
新興感染症以外の感染症対策
新興感染症以外の感染症についても医療機関では感染防止対策を行う必要が継続していることから、診療報酬で評価するべきではないかと議論されたが、診療側と支払側での意見に相違があり内定には至らなかった。今後注視が必要。
薬剤耐性対策に対する評価について
抗菌薬の適正使用を推進する観点から、抗菌薬使用実績に対する評価、小児抗菌薬適正使用支援加算における対象疾患の見直しが必要ではないかと議論された。
【中医協・総会】令和5年12月1日 中医協・総会「医療DX(その3)」「個別事項(その9・10)」「長期収載品(その2)」
情報共有基盤の整備
12月1日、中医協総会が行われ、医療DXについては情報共有基盤の整備推進、電子カルテの標準化、電子処方箋導入促進、サイバーセキュリティーなどについて議論が進められた。また、マイナンバーカードによる医療機関受診が低調であるため、これまで以上にマイナカードによる医療機関受診を周知し積極的な活用を推進するべきとの意見が出た。現行の医療情報・システム基盤整備充実体制加算については継続か中止かで意見が分かれた。今後注視する必要がある。電子処方箋については普及促進のために時限的に現行の処方箋料を下げ新たな加算の案が出たが、支払い側が強く反対。サイバセキュリティー推進の議論では、電子カルテシステムのバックアップ体制の整備促進、中でもオフラインでのバックアップ体制に対する評価の新設が見込まれる。個別事項その9では小児・周産期についての議論が行われ、小児入院医療、高度急性期医療、医療的ケア児、小児医療における精神領域についてなどが議題に上った他、ハイリスク妊婦、出産費用の見える化についても議論された。
児童の発達障害における診療
発達障害診療においては、初診待機期間が平均2.6か月(令和元年データ)と長いことから、待期期間短縮のため初診対象者の選択、診療時間・継続期間の適正化、コメディカルスタッフの関与、相談機関・介入機関との連携といった課題が出ており、診療報酬の評価をどのように考えるかについて意見が出された。個別事項その10では2024年度診療報酬改定の中でも特に重要とされるリハビリ・栄養管理・口腔管理について議論された。
リハビリ・栄養管理・口腔管理の一体的実施
医療・介護間でのリハビリ、栄養関連情報の共有をどのように進めるかについて活発に議論された。他、疾患別リハにおいて専門職がそれぞれどのようなケアを提供しているのかを正確に把握するための方策が導入される見込み。
長期収載品(先発医薬品)について
長期収載品と後発品との価格差の一部の選定療養(患者負担)化について議論が進められた。
【中医協・総会】令和5年11月29日 中医協・総会「調剤(その3)」「在宅(その5)」「個別事項(その8)」
11月29日に行われた中医協総会では、調剤報酬、在宅、認知症対策における診療報酬の在り方などについて議論された。
在宅薬学管理の推進
在宅に関する事項では主に、在宅患者への訪問薬剤管理指導、終末期の患者に対する薬学管理、訪問薬剤管理指導の「時間外対応」「緊急時の患者宅への訪問」に対する評価の新設、特別養護老人ホーム/短期入所(ショートステイ)入所者・利用者に対する薬学管理の新設、在宅移行時においては、多職種と連携しながら、退院時処方に基づく薬剤の調整、残薬整理、服薬管理方法の検討等の業務を十分な時間をかけて対応することが多いが、このような業務の評価について、どのように考えるか。また、処方医と連携して処方内容を調整する場合における薬剤師の業務の評価について、どのように考えるかといった議題が上がった。
認知症高齢者に対する対応強化
増加する認知症高齢者に対し適切な対応を行う必要があるとして、様々な取り組みの促進や対応力の底上げのために新たな評価を設けてはどうかと議論が行われた。具体的には、入院医療機関における認知症患者の身体拘束を最小限にする取り組みに対する評価、例えば予防やマニュアルの整備や組織的な取り組みなどを評価するのはどうかといった意見が寄せられた。
また、認知症については、早期に専門医療機関での診断・治療が必要であるが日常においてもかかりつけ医がフォローすることが重要であるという観点から、専門医とかかりつけ医の連携強化のための取り組みに焦点がおかれる模様。
具体的には、地域包括診療料、地域包括診療加算の要件にかかりつけ医認知症対応力向上研修修了者の配置を盛り込むべきではないかといった案が出ているが、診療側が反発しており今後の調整に注視が必要。
他、認知症とせん妄の症状の類似性に鑑み、認知症患者のアセスメントにおいてはせん妄の鑑別も必要であることから、せん妄ハイリスク患者ケア加算で求める「せん知症ケア加算でも求めることとし、その上で各加算の評価をどのように考えるかといった議論が行われた。
【中医協・総会】令和5年11月22日 中医協・総会「入院(その5)」「長期収載品(その1)」「個別事項(その7)」
11月22日に行われた中医協総会では、後発医薬品、バイオ後続品、リフィル処方箋、精神医療、療養病棟入院料などについて議論された。
後発医薬品の適切な処方・保険薬局の協力促進
高齢化による医療費の伸びを抑えるための取り組みとして、後発医薬品の使用促進が大変重要であるという観点から、後発品の使用促進、バイオ後続品の使用促進、リフィル処方箋・長期処方の活用に関して議題に上がった。①一般名処方加算、②後発医薬品使用体制加算、③外来後発医薬品使用体制加算、④後発医薬品調剤体制加算(調剤)、地域支援体制加算(調剤)の更なる要件の厳格化と点数の引き上げ等が見込まれている。
同時に、後発品の供給不足が続いていることから医療機関や保険薬局において後発医薬品の代替品変更や患者に対する説明等の業務負担が増大した状態が続いている。診療側はこれに対し、令和5年12月末までとされている①②③④の特例(増点)の期限延長を求めているが、支払い側が反対している。予算の捻出等も含めて今後の議論がどう進むのか注視が必要。また、バイオ後続品(バイオシミラー)については、外来・在宅の医療における【バイオ後続品導入初期加算】の対象成分拡大、入院医療において「バイオ後続品の有効性や安全性について十分な説明を行い、それぞれの成分の特性や置き換え率を踏まえた目標を達成した医療機関」の診療報酬上の評価の新設が検討された。リフィル処方箋の活用は低調例えばかかりつけ医機能にかかる評価等(地域包括診療料・加算など)において「患者へのリフィル処方箋の周知」に着目した評価を行えないか、生活習慣病等の管理が必要な患者への対応において「リフィル処方箋による処方」に着目した評価を行えないか—などの検討が行われた。
精神医療における入退院支援、児童思春期精神医療の評価
早期から実施する退院調整の効果や、入院の短期化、地域における支援体制が整備されつつあることから、地域移行・地域定着のための入退院支援についての評価体系の見直しが議題に上がった。また、児童思春期の患者について、積極的に児童思春期精神医療を実施している医療機関に対する外来診療の評価の見直しも検討された。
療養病棟入院料について
療養病棟の医療区分について、「疾患・状態」と「処置」に分けて精緻化し、現在の3区分から9区分に細分化する案、リハビリの単位数制限について議論された。
メディコム 改定ニュースNo.1
【中医協・総会】11月22日 中医協・総会「個別事項(その6)」について
11月22日開催の中医協総会において、令和6年診療報酬改定に係る「個別事項(その6)」について議論が行われた。主な内容は、「精神医療の現状について」、「地域移行・地域定着の推進のための取組について」、「精神病床における入退院支援に係る取組について」、「地域移行を重点的に進める精神病棟の詳細について、「児童思春期精神医療について」など◆精神疾患を有する総患者数は増加しているが、精神疾患患者の入院数は減少傾向。また、精神病床全体の平均在院日数が減少している一方で、長期入院患者の高齢化とともに5年以上の長期入院患者数は顕著に減少。他、外来患者数、なかでも低年齢の受診患者等が特に増加。これらの現状を踏まえて、医療・介護・障害福祉サービスの提供や連携を一層進める方針が議論された。
◆精神病床からの地域移行だけでなく、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」の構築を目指すにあたり、同システムにおける医療機関の役割としてケースマネジメントの実施が求められており、精神病床において、入院早期から多職種が介入して入退院支援を実施することに係る評価について診療報酬の調整が行われる見込み。
◆精神疾患を有する児童思春期の患者については、初診待機が課題となっている。専門性の高い精神科医が診療以外の業務について負担が大きいため。効率的かつ質の高い医療を提供し多職種へタスクシフトするなどにより積極的に児童思春期精神医療を実施している医療機関の評価のあり方について議論を進めた。
【中医協・総会】令和5年11月22日 中医協・総会「個別事項(その5)」について
令和5年11月22日開催の中医協総会において、令和5年診療報酬改定に係る「個別事項(その5)」について議論が行われた。主な内容は、「後発医薬品の安定供給・使用促進等に係る取組状況について」、「バイオ後続品の使用促進に係る取組について」、「リフィル処方箋・長期処方について」等。◆後発医薬品の供給不足が慢性的に続く中、診療側からは令和5年12月までの特例措置である一般名処方加算や後発医薬品使用体制加算の延長の求めがあった。これに対し支払い側からは、納得できる合理的な理由がないとして、議論がなされなかった。◆バイオ後続品に関しては「2029年度末までに、バイオシミラーに80%以上置き換わった成分数が全体の成分数の60%以上にする」という政府目標の達成に向けて更なる取組を進めることとなった。具体的には、外来におけるバイオ後続品導入初期加算の対象の拡大、入院においては、バイオ後続品の有効性・安全性などの説明を行い、置換率の目標達成した医療機関に対しての評価の新設が議論された。
◆2022年度診療報酬改定時のリフィル処方箋の導入・活用促進による医療費効率化効果を改定率換算で▲0.1%(医療費470億円程度)と見込んでいたが、医療費効率化効果は年間▲70億円程度(改定率換算で▲0.014%程度)にとどまったことを踏まえ、「患者の希望に応じたリフィル処方箋の発行を評価」、長期処方とリフィル処方を同時に推進する観点から、かかりつけ機能の評価とも関連する特定疾患処方管理加算について、より長期の処方を評価」という提案を行った。現状、リフィル処方箋を多く発行しているアレルギー性鼻炎については今後も積極的なリフィル処方箋の活用が推奨される見込み。
◆他、入院については慢性期入院医療のうち「療養病棟」と「障害者施設等」の2点を議題としました。療養病棟の医療区分について、「疾患・状態」と「処置」に分けて精緻化し、現在の3区分から9分に細分化してはどうか、中心静脈栄養は「医療区分3」に該当しているが、「対象疾患を汎発性腹膜炎、腸閉塞などに限定し、医療区分3の該当期間に上限を設ける」などの対応を図り、早期離脱を促してはどうか。また、障害者施設等の一部で「透析患者受け入れ」が極めて多い実態を踏まえ、例えば障害者施設等入院基本料において「透析」患者の評価を、療養病棟と同水準となるなどの適正化を図ってはどうかといった議論がなされた。
◆他、現在経過措置として認められている療養病棟の25対1看護配置(療養病棟入院基本料の注11,療養病棟2の75%の点数を算定)は予定通り、2024年3月末で終了となることが確認された。▼療養病棟の入院料I区分(医療区分1・ADL区分1)において「リハビリ実施が他の入院料と比べて著しく多い」ため、療養病棟のリハビリ料算定をどう考えるかという論点が浮上し、I区分のリハビリ料算定は適正化すべきとの意見が支払い側より出たが、診療側からは一律のリハビリ料算定制限に反対である、と慎重対応を強く求めた。今後の議論に注視が必要となった。
【中医協・総会】令和5年11月17日 中医協・総会「個別事項(その4)」について
11月17日に行われた中医協・総会において不妊治療について様々な項目が議論された。◆2022年度の前回診療報酬改定で「不妊治療」が保険適用されたが、保険対象技術の範囲や、年齢・回数制限について様々な意見があり今後、データを踏まえて必要な見直しを検討していくこととした。現在、一般不妊治療管理料の算定施設が2000施設強、生殖補助医療管理料の算定施設は600施設強に上り、保険診療への円滑移行が進んでいるものの、情報提供の充実を求める意見が多く上がった。◆不妊治療を実施するにあたっての年齢・回数に係る要件等については、特に患者サイドや学会から要件緩和の要望が出ているが、まだ保険適用以後のデータがなく、保険適用の可否を議論していた際の2019年のデータとその後に得られた2021年のデータで明らかな差が見られないことから、現段階では見直しの必要はないのではないかといった論調となっている。▼その一方で、現在は胚凍結保存の開始日から3年となっている胚凍結保存管理料について、保険適用以降に胚凍結保存を開始したもののうち2024年度改定以降、3年の期限を迎えるものもあることを念頭に「エビデンスなどを踏まえ、3年経過後の扱いを検討する必要がある」と指摘した。
◆回復期病院や慢性期病院において、口腔と栄養の管理が一体的に行われることは、誤嚥性肺炎や低栄養の予防の観点から重要であり、地域の歯科診療所との連携や、リハ・口腔・栄養の一体的な取組を進めるべきとの意見から、かかりつけ歯科医の役割、歯科医療機関の機能分化と連携、病院歯科等の役割、地域包括ケアシステムと医科歯科連携・多職種連携等が検討された。
今後、病診連携・診診連携、歯科診療所のグループ化、規模の拡大・多機能化による複数の歯科医師が勤務する体制の整備の推進、テレビ電話を利用して歯科診療を受けるなど、ICTの利活用の推進など注視が必要と思われる。
【中医協・総会】令和5年11月15日 中医協・総会「入院(その3)」について
◆11月15日に開催された中央社会保険医療協議会・総会では、回復期リハビリ病棟について「FIM測定のあり方」「早期からの集中的リハビリ提供」「リハビリ・栄養管理・口腔管理の一体的実施」「介護保険リハビリとの連携」「退院前訪問指導の充実」についてなどの議論が行われた。従前から問題視されているFIM測定については、第三者による評価を取り入れるべきとした支払側に対し、まずは院内研修を促進させるべきと診療側が反論。今後の調整、議論に注目。また入院・外来医療等の調査評価分科会では、特に「運動器リハビリ」については1日6単位を超えるリハビリの効果が明確でないことから、運動器リハビリの算定上限や「体制強化加算」についてどう考えるか、という論点が浮上している。他、より早期のリハビリテーション提供促進について、医療(回復期リハビリ病棟)と介護保険リハビリ(通所リハビリ、訪問リハビリ)との連携をより強化していくことを目指すことについても議論された。
切れ目のないリハビリ提供が望まれるが、介護保険リハビリでは「医療保険リハビリの情報を把握していない」ことなどが明らかとなり、社会保障審議会・介護給付費分科会では「通所リハビリ・訪問リハビリでは医療保険リハビリの情報を把握したうえでリハビリ実施計画を作成し、リハビリを実施する」ことを義務付けてはどうかといった案が出されている。
リハビリの効果は患者の栄養状態に大きく左右されることから、回復期リハビリ病棟での栄養状態評価・定期的なモニタリングの確実な実施、栄養管理の充実を図るための方策を検討するよう診療側より中医協に要請があった。今後、回復期リハビリ病棟においてリハビリ・栄養管理・口腔管理の一体的管理を推進する必要性について検討された。
▼他には、地域包括ケア病棟の入院料について逓減制(入院期間が長くなるにつれて入院料が下がる)の導入の是非、地域包括ケア病棟の在宅医療の実績等の基準見直しの是非についても議論が行われた。
▼入院共通項目の議題としては、入院時食事療養費について患者負担の引き上げについて議論されたが、年内に正式決定される見込みとなっている。
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