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<参加いただいた先生のプロフィール>
ぐちょぽい先生 | 眼科クリニック開業医。30代。専門は角膜感染症、ぶどう膜炎、神経系。 |
くるとん先生 | 内科クリニック開業医。30代。専門は消化器内科全般、肝臓内科。 |
KOTATSU先生 | 内科クリニックの開業準備中。30代。専門は糖尿病、内分泌内科。 |
※座談会は2024年3月に実施された内容です。各先生のお名前はハンドルネームです。
勤務先によって異なる、魅力と辛さ
――前回までの回では、各先生のご経歴や開業に至った経緯、開業医のつらさについてお聞きしました。様々な経験を積まれてきた先生方から見て、大学病院・市中病院・開業…それぞれの魅力や辛さはどういったものだと思いますか。
くるとん先生:私は勤務医時代の1年を除いて、全て市中病院でした。
大学病院勤務の1年間は若手ということもありましたが、病棟の雑用や休みの日の外勤などくすぶっていた期間でしたね。私の場合は開業ありきでしたので、医局への顔見せという感じでした。
市中病院は医局人事ではありましたが、最終的に県庁所在地にある3つの基幹病院全てに勤務でき、開業前には一番連携が可能な医師会病院で所属科の部長をさせていただきました。救急疾患の多い科のため、やりがいはあり充実はしていましたが、当直や呼び出しなどの体力的・精神的な部分は辛かったです…。
KOTATSU先生:市中病院は Common Disease が多く、比較的自由時間が確保しやすいですが、病院の当たり外れが多いイメージです。様々なところから人材が集まるため、人間関係に気を遣う辛さがあるかもしれません。
ただ、市中は1番コスパが良いところかもしれません。医師で市中の勤務医が多い理由ですかね。
――KOTATSU先生は大学病院での勤務期間も長いと思いますが、大学病院についてはいかがでしょうか?
KOTATSU先生:大学病院は、とにかくアカデミックの中心ですね。優秀な人材が集まるので刺激を受けます。産官学連携ふくめた研究もしやすいです。辛さは、出世競争が激しく教授との折り合いが…というところですね。
ぐちょぽい先生:私も大学病院が長かったのですが、頑張っても臨床以外の業務が増えていくのが辛かったですね。仕事を頑張れば頑張るほど、上級医から依頼される業務が増えて、頑張る先生ほど辞めていき、忙しい人とそうではない人が二極化していました。
給与は年功序列ですので、業務量と給与が比例しないことも、モチベーション低下に繋がっていました。重症例や特殊な疾患も経験することができますし、多彩な専門のドクターが院内にいますので自身のレベルアップとしてはとても良い環境だとは思います。
KOTATSU先生:確かに。どちらかといえば、大学病院は特殊で専門性が高い症例があるので、専門医のサマリー等に使いやすいというのはありますね。だから、奉公のつもりで数年間は大学病院で働き、専門医をとったら辞める若手も多い気がします。
ぐちょぽい先生:様々な疾患を経験できるということもあり、個人的には大学病院の外来は好きです。理想は、今の仕事が落ち着いたら、どこかの大学で週1くらいは外来をしに行きたいです。
――市中病院、大学病院で勤務医として働く魅力と辛さをお聞きしました。一方で、開業医として働く魅力と辛さはいかがでしょうか。
くるとん先生:開業してからは、自分の頑張りが売り上げに直接反映されるのはやはり嬉しいです。また、自分が作ったホームページを見て患者さんが来院されることにも嬉しさを感じます。辛さをあげるなら、体調を崩した時に代わりがいないということです。数ヶ月前に高熱が持続したことがあり、解熱剤を飲みながら数日診療を行ったことがあります…。
ぐちょぽい先生:体調不良で自分の代わりがいないことは、辛いですよね。
私も年末に声がほぼ出ない状況で100人近い外来をこなした時はとても苦しかったです。
――何が起こっても自分の代わりはいない、という点は、開業医のつらいところですね。
シリーズ「30代、開業医のリアル」座談会の様子は、全8回(予定)に分けて配信いたします。
次回は、「医局や勤務先との関係構築」について迫ります。