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クリニック経営 医師 事務長 2022.02.24 公開

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診療報酬改定・オンライン診療の可能性をはかる

2021年12月10日、社会保障審議会医療保険部会及び医療部会において、2022年度診療報酬改定の基本方針が決定しました。現在の特例による恒久化はどうなるのか、外来診療と比較して低く押えられている点数は見直されるのかなど、気になることばかりですが、なかでも注目したいのは「オンライン診療」です。

※本内容は公開日時点の情報です

#レセプトの悩み #システム入替

2021年12月10日、社会保障審議会医療保険部会及び医療部会において、2022年度診療報酬改定の基本方針が決定しました。現在の特例による恒久化はどうなるのか、外来診療と比較して低く押えられている点数は見直されるのかなど、気になることばかりですが、なかでも注目したいのは「オンライン診療」です。今回は2022年度改訂と、それにともなうオンライン診療の行方について解説していきましょう。

1.オンライン診療のあり方についての検討が進む

2022年度診療報酬改定の基本方針/改定の基本的視点と具体的方向性として、下記の4つが示されました。

(1)新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で 質の高い医療提供体制の構築【重点課題】
(2)安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革等 の推進【重点課題】
(3)患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現
(4)効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上

重点課題としては、新型コロナウイルス感染症ヘの対応と、いわゆる医師など医療従事者の働き方改革に焦点があてられています。

基本方針のなかで注目したいのは(3)において、「医療におけるICTの利活用・デジタル化への対応」が謳われており、オンライン診療に関係する下記3項目が明示されたことです。
・初診を含めたオンライン診療について、患者ニーズを踏まえた適切な普及・促進を図るなかで、安全性と信頼性の確保を前提に適切に評価。
・オンライン服薬指導についても同様に、医薬品医療機器等法に基づくルールの見直しを踏まえ、適切に評価。
・医療情報の標準化、ICTの活用等を通じて、医療連携の取組を進めるとともに、医療の質を向上させるため、データを収集・利活用したエビデンスに基づく評価を推進。

このようにオンライン診療とICTの利活用は、これからのクリニック経営には避けて通れないものになりそうです。

また、オンライン診療をめぐっては、厚生労働省医政局医事課より「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の見直しに関する意見(パプリックコメント)の募集が年末から年始にかけて行われました。この見直しには「疾患や患者の状態によっては、オンライン診療のみで診療が完結する場合があること」が盛り込まれており、2022年半ばにまとめられる予定の答申の内容が気になります。

そして1月21日に開催された中央社会保険医療協議会・総会では、2022年度診療報酬改定に向けて、医療保険者や病院、診療所などの代表者が意見表明する公聴会が行われました。そのなかでも初診からのオンライン診療の恒久化の是非など様々な意見が出されています。

2.オンライン診療と診療報酬

今日では当り前のように使用しているオンライン診療という言葉ですが、2018年度診療報酬改定で保険導入されたことで一般的になりました。2018年度改訂では、オンライン診療に関する主な診療報酬は、「オンライン診療料」(71点)と「オンライン医学管理料」から移行した「特定疾患療養管理料(情報通信機器を用いた場合)」(100点)、「オンライン在宅管理料」(100点)、「精神科オンライン在宅管理料」(100点)となりました。

しかし、外来と比較すると低く設定されたことと、初診は対面での診療が必要なことなどの条件から、飛躍的な普及にはつながりませんでした。

この結果を受け2020年度改定では、オンライン診療に関する主な診療報酬は据置のままでしたが、対象疾患の拡大やオンライン診療を開始できるまでの期間短縮などの見直しが行われました。

そして2020年度改定と前後して発生した新型コロナウイルス感染症の拡大にともない、2020年4月10日、厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」という事務連絡を発出し、電話や情報通信機器等を用いた診療の時限的・特例的な取り扱いを認めました。医師が電話やオンラインでの診療が可能と判断した場合、受診歴にない患者に対しても初診料(214点)などを算定したうえで診療できるようになったのです。

また2022年1月12日に開かれた中央社会保険医療協議会総会では、2022年度診療報酬改定に関する議論の整理(案)が示されました。そのなかでICTの利活用・デジタル化の対応については、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策のため特例として認めている初診からのオンライン診療などの恒久化に向けた見直しや、オンライン資格確認システムの活用などの評価が明記されています。

3.オンライン診療は在宅医療の道を歩むのか

今回の改定の基本的視点と具体的方向性では、オンライン診療だけでなく、医療情報の標準化、ICTの利活用が求められています。オンライン診療では使用するオンライン診療ツールに目が向きがちです。ところが、情報やICTの利活用を考えると、ツールだけでなく、電子カルテ、レセコンなどとの情報連携も考慮する必要があると思われます。将来的にはそこに蓄積された医療データの分析、利活用まで視野に入れたクリニックづくりが必要になるでしょう。そして2023年1月には処方箋の電子化、「電子処方箋」の運用開始も予定されています。医療のICT利活用はもう避けては通れない段階に来ているといってもよいでしょう。

オンライン診療がどのように発展していくのかの例として、比較的新しい医療の形態である在宅医療を振り返ってみましょう。

在宅医療は、1986年度改訂で新しい点数が新設され、1992年度改訂では、「寝たきり老人在宅総合診療料」という、現在の在宅医療の包括点数の原型ができました。そして2012年度改訂では、地域包括ケアのひとつの核に位置づけられ、2016年度改定において、在宅医療専門の保険医療機関に対する評価が新設されました。それにより在宅医療専門のクリニックの開業が認められ、開業時の初期費用を抑えた開業ができることから、在宅医療専門で開業するドクターも増えてきました。

オンライン診療が同様の道をたどるかはまだわかりませんが、新型コロナウイルス感染症や現在では未知の感染症のリスクを考えると、在宅医療の何倍かのスピードで普及、成長が進んでいくことが想定されます。

開業されているドクターもこれから開業を検討するドクターも、継続的にオンライン診療に関する情報収集をすることが、未来の診療につながるのです。

※本記事は2022年01月28日時点での情報をもとに作成しています。

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