マネジメントな生き方
戦略とは
組織運営を適切に行うためには、大まかですが、以下の項目に対する的確なマネジメントが必要です。
- ビジョン策定
- マーケティング(5P)分析
- SWOT(スヲット)分析
- 戦略立案
- 経営方針書開示
- 事業計画立案
- 行動計画立案
- 予算編成・予算統制
- 目標管理実施
- 評価・教育制度整備
- 業務改善提案制度運用
- モニタリング(管理会計)実施
- 財務会計活用
自社には明確なビジョンがあるか、自社の事業についてプロダクト・サービス、価格、場所、プロモーション、比較優位を分析しているか、自社の強み、弱み、機会、脅威について毎年分析しているか、明確な戦略(闘いに勝つための計画)があるか、毎年経営方針書を作成しているか、事業計画を毎年立てているか、
行動計画を立てているか、事業計画を予算化して月次で予実分析を行っているか、目標管理制度を導入しているか、評価制度や教育制度は体系化されているか、改善提案制度を使用しているか、モニタリング(管理会計)を適時行っているか、翌月10日迄に月次決算が終了しているか、がマネジメントの対象です。
トップマネジメント(経営層)は、自分達の考えを整理し、管理の枠組みや仕事の仕組みをつくり、自ら率先して活動するとともにリーダーシップを発揮できる中間管理職を育成し、計画的な組織運営を行います。ビジョンを設定し、自社の進む方向を決め、具体的な戦略や計画に落とし込み、月々の行動に展開し、成果をあげ、目的を達成していくのです。
市場が大きい、優位性や顧客ニーズがある、競合がいない、タイミングが合う、優れた従業員が多い等いくつかの条件が重なれば、マネジメントアイテムが体系化されていない組織でも成果を挙げることはできます。しかし環境や限られた人的資源に依存しきった事業がいつまで成果を継続できるか疑問です。
完璧ではなくても、目的を果たすため組織成長過程において、必要性に応じ上記アイテムに優先順位をつけ、それらの整備に取組めば現状よりも良い結果を得られます。それぞれのアイテムが体系として機能するマネジメントシステム構築は、トップマネジメントの重要な仕事だと認識しなければなりません。
職員の役割を明確に
ところで、ながい間組織改革の支援をして気になったことがあります。個人も組織と同じやり方で生きるのが有益ではないか、ということです。
組織は人の集まりであり人が組織を運営するので、組織が物事を達成するための行動様式は、個人の考え方に依存します。
何よりも経営学は、社会学や心理学を含めた様々な人間モデルを扱う学問として実務の中から生まれてきました。人がどのように行動すれば最大の成果を挙げられるのかがテーマの重要な一部になっています。
また、それ以前に何かを行い成果を挙げるときには組織も個人も、同じ摂理が働くのではないかという思いがありました。
つまり、「目的を達成するため組織が行うことは、個人が目的を達成するときにも役に立つ」という仮説です。
上記で説明したように、組織が計画を立て実行しチェックをしながら行動を修正し成果を挙げようとするのと同様に、個人の目的達成行動の思考にも、根底には(簡単にいえば)PDCAがあるのです。
計画を立て実行しチェックを行い修正する、という大きな枠組みに組織行動も個人の行動も当てはまります。
計画なしでも個人の行動は生まれますが、成果にはバラツキがでます。またチェックされる計画がないので、行動の修正は曖昧にしか行われません。計画のない行動がいつまで続くかも分からないのです。
やはり何等かの思いを計画に落とし込み行動し、行動をチェックし修正しながら計画に近づくよう行動できれば成果も挙がりやすくなります。個人は誰でも組織運営ためのマネジメントを学習し、同じように行動を組み立てるのが有益だと分ります。
自分には明確なビジョンがあるか、自分は今までどのように生きてきたのか(今どのような位置付けにいるのか)、誰にも負けないものは何か、併せて強み、弱み、機会、脅威は何か、を都度分析しているか、やりたいことは何か、そのための明確な戦略(闘いに勝つための計画)があるか、毎年何をするのかを書き出し自分の指針としているか、
毎月の計画を立てているか、どのように計画を実行するのか5W2Hで行動計画を立てているか、必要なコストを予算化し管理をしているのか、一つひとつの項目の進捗管理をしているか、常に自分や第三者からの評価を受け、自分を修正するための学習を行っているか。日々の行動を見直し質を高められるよう工夫を継続しているか、自分の行動を定量的に管理しているか、日々若しくは毎月の振り返りをしっかり行い次に活かしているか、がその内容です。
今回のテーマは「マネジメントな生き方」です。組織運営のマネジメントに精通すること、それを自分に当てはめて実践してみることで多くの学びがあり、より高い成果を得られるという主張です。
別の視点から見てみましょう。
皆さんもお分かりのように、上記で示した組織運営のアイテムの内側にはここで記載していない多くの実務的な中アイテム、小アイテムがあります。
たとえば組織は「決めたことを必ず実行する」ためにガバナンス体系をつくることが求められています。計画、予算統制、目標管理等が代表格ですが、会議体の運営も重要なアイテムです。効果的な会議のためには事前準備、会議の進め方、事後対応(以上ミーティングルール)を適切に行う必要があります。
ミーティングルールは物事を進めるときの原理原則ですが、「利害関係者を調整しながら決定し実行により成果を挙げる方法」を身に着けた個人は、自分の行動やコミュニケーションにおいても同様の対応ができるようになる筈です。
他のアイテムの役立も枚挙に暇がありませんが、自分を組織運営に置き換え、行動することで合理的な成果が得られるのです。
習得した組織運営におけるマネジメントの考え方や枠組みは、必ず個人の行動に良い影響を与えます。どのような個人でもここでいう組織マネジメントを一定の枠組みのなかで身に着け、組織運営だけではなく自分の生き方までも変えていけるという結論です。
組織マネジメントは個人マネジメントに通ずるという前提に基づき、「マネジメントな生き方」のために、組織マネジメントの理解を進めることが有効だと考えています。