Medicom Park

  1. PHCグループ
  2. [ウィーメックス]メディコムTOP
  3. メディコムパークTOP
  4. 経営アイデアコラム一覧
  5. 【オンライン診療】施設基準の届出とは?手続きの流れやメリットについて解説

クリニック経営 医師 事務長 2024.05.01 公開

記事をプリント
Twitter Facebook

【オンライン診療】施設基準の届出とは?手続きの流れやメリットについて解説

施設基準の届出について手続きの仕方がわからず、お困りの方がいるのではないでしょうか。施設基準の届出にはさまざまな基準や、押さえるべき手続きの流れがあります。届出することで厚生労働省の求めに対応しながら、収益アップを図ることが可能です。これからオンライン診療サービスの展開を検討している方は、届出の仕方を学び、スムーズに準備を進めましょう。

※本内容は公開日時点の情報です

#開業検討 #事業計画 #医療政策

目次

施設基準とは

【オンライン診療】施設基準の届出とは?手続きの流れやメリットについて解説

施設基準とは、保険診療の一部に関する医療機関の設備・機能・診療体制などの基準を設けることで、安全面やサービス面などを評価したものです。

オンライン診療における施設基準は、以下の通りです。

オンライン診療の適切な実施に関する指針には、例えば医師の所在に関する最低限遵守する事項として以下の内容が記載されています。

ⅰ オンライン診療を行う医師は、医療機関に所属し、その所属及び当該医療機関の問い合わせ先を明らかにしていること。
ⅱ 患者の急病急変時に適切に対応するため、患者が速やかにアクセスできる医療機関において直接の対面診療を行える体制を整えておくこと。
ⅲ 医師は、騒音により音声が聞き取れない、ネットワークが不安定であり動画が途切れる等、オンライン診療を行うに当たり適切な判断を害する場所でオンライン診療を行ってはならない。
ⅳ オンライン診療を行う際は、診療録等、過去の患者の状態を把握しながら診療すること等により、医療機関に居る場合と同等程度に患者の心身の状態に関する情報を得られる体制を整えなければならない。ただし、緊急やむを得ない場合には、この限りでない。
ⅴ 第三者に患者の心身の状態に関する情報の伝わることのないよう、医師は物理的に外部から隔離される空間においてオンライン診療を行わなければならない。
ⅵ オンライン診療を実施する医療機関は、ホームページや院内掲示等において、本指針を遵守した上でオンライン診療を実施している旨を公表するものとする。

出典:オンライン診療の適切な実施に関する指針(厚生労働省)(PDF)
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000901835.pdf

オンライン診療料の施設基準に係る届出について

医療機関が基本診療料を算定するためには、基本診療料の施設基準に関連する届出を行わなければなりません。オンライン診療料は2022年度の診療報酬改定によって撤廃され、現在は「情報通信機器を用いた場合の評価」として基本診療料に加算されます。

提出するべき届出は、以下の2つが挙げられます。

  • 基本診療料の施設基準等に係る届出書
  • 情報通信機器を用いた診療に係る届出書添付書類

基本診療料の施設基準等に係る届出書は、保険医療機関として違反行為や不当な行為などがないかを確認するための届出です。

厚生労働大臣が定める掲示事項等第三に規定する基準や健康保険法第78条第1項・高齢者の医療の確保に関する法律第72条第1項の規定に反しないことが求められます。

情報通信機器を用いた診療に係る届出書添付書類は、情報通信機器を活用した診療を展開するにあたり、医療機関側で十分な体制が整っているかを回答する書類です。

医師が保険医療機関外で診療を行う場合は、主に以下の体制を確保しておく必要があります。

  • 患者の急病急変時に適切に対応するための体制
  • 医療機関に居る場合と同等程度に患者の心身の状態に関する情報を得られる体制

いずれも、地方厚生(支)局のホームページから入手できるため、届出を提出する際に利用しましょう。

施設基準の例の一覧

施設基準の例として、以下が挙げられます。対象患者・算定要件・点数・届出要件を把握し、施設に必要な届出を進めましょう。

  • 小児運動器疾患指導管理料
  • 小児科外来診療料
  • 小児かかりつけ診療料
  • 小児アレルギー負荷検査
  • 地域包括診療加算
  • 時間外対応加算
  • 在宅療養支援診療所
  • 在宅時医学総合管理料及び施設入居時等医学総合管理料
  • 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料
  • 在宅酸素療法指導管理料
  • 在宅酸素療法指導管理料(遠隔モニタリング加算)
  • 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料(遠隔モニタリング加算)
  • 機能強化加算
  • 在宅がん医療総合診療料
  • がん性疼痛緩和指導料
  • がん治療連携指導料
  • ニコチン依存症管理料
  • エタノール局所注入(甲状腺、副甲状腺)
  • 糖尿病合併症管理料
  • 糖尿病透析予防指導管理料
  • 神経学的検査
  • CT撮影及びMRI撮影
  • 運動器リハビリテーション料
  • 脳血管疾患等リハビリテーション料
  • HPV核酸検出
  • 婦人科特定疾患指導管理料
  • コンタクト検査料
  • ロービジョン検査判断料
  • 補聴器適合検査
  • 脳血管疾患等リハビリテーション料(言語聴覚療法)
  • 麻酔管理料
  • オンライン診療料
  • 喘息治療管理料
  • 下肢創傷処置管理料
  • 短期滞在手術等基本料1

施設基準の届出を行うメリット

厚生労働省が定める施設基準を満たすことで、施設にとって主に以下のメリットが得られます。

厚生労働省の求めに対応できる

厚生労働省は届出の提出を強制してはいないものの、診療報酬改定後の施設基準に準じた体制の整備に最大限努めることを推奨しています。

これからオンライン診療を継続的に行っている場合は、厚生労働省の考えを加味し、施設基準に準じた体制を整えた上で届出することをおすすめします。

収益アップが期待できる

2022年度の診療報酬改定により、オンライン診療の初診における点数が251点になりました。従来の214点に比べて、37点アップしています。

例えば、1日にオンライン診療を5件行い、1年間稼働した場合(月20日稼働を想定)、以下の収益の差が生まれます。

  • 施設基準を届出していない場合:214点×5×20×12=256,800円
  • 施設基準を届出している場合 :251点×5×20×12=301,200円

施設基準を届出することで、収益アップが期待でき、オンライン診療導入費用のコストが回収しやすくなるでしょう。まだ届出をしていない施設は、今後対応していくことをおすすめします。

出典:個別改定項目について(厚生労働省)(PDF)
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000905284.pdf

施設基準の届出の流れ

施設基準の届出の流れとして、規定の書類をダウンロードし、必要事項を記入して提出する必要があります。

書類を入手する

各地方厚生(支)局のホームページより、以下の2種類の書類をダウンロードしなければなりません。

  • 基本診療料の施設基準等に係る届出書 別添7
  • 情報通信機器を用いた診療に係る届出書添付書類様式1

それぞれ下記のリンクよりダウンロード出来ます。(2024年4月15日時点)

出典:基本診療料の届出一覧(令和6年度診療報酬改定)(厚生労働省 地方厚生局)
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/shinsei/shido_kansa/shitei_kijun/kihon_shinryo_r06.html

書類の作成・提出

書類を入手したら、必要事項を記入し、書類を作成する必要があります。別添7 基本診療料の施設基準等に係る届出書に関しては、医療機関に関わる情報を入力後、以下の4点に「レ」を記入しなければなりません。

  • ・ □ 当該届出を行う前6月間において当該届出に係る事項に関し、不正又は不当な届出(法令の規定に基づくものに限る。)を行ったことがないこと。
  • ・ □ 当該届出を行う前6月間において療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等第三に規定する基準に違反したことがなく、かつ現に違反していないこと。
  • ・ □ 当該届出を行う前6月間において、健康保険法第78条第1項及び高齢者の医療の確保に関する法律第72条第1項の規定に基づく検査等の結果、診療内容又は診療報酬の請求に関し、不正又は不当な行為が認められたことがないこと。
  • ・ □ 当該届出を行う時点において、厚生労働大臣の定める入院患者数の基準及び医師等の員数の基準並びに入院基本料の算定方法に規定する入院患者数の基準に該当する保険医療機関又は医師等の員数の基準に該当する保険医療機関でないこと。

様式1 情報通信機器を用いた診療に係る届出書添付書類に関しては、以下の項目に「レ」を記入し、必要に応じて詳細を記述する必要があります。

  • ・ 診療体制等
  • ・ 医師が保険医療機関外で診療を行う場合
  • ・ 自院以外で緊急時に連携する保険医療機関(あらかじめ定めている場合)
  • ・ 医師の配置状況

それぞれの書類を作成したら、地方厚生(支)局に提出しましょう。

オンライン診療に取り組む予定のある施設は、施設基準の届出を

施設基準を満たすためには、医療機関の設備や診療体制を整え、以下の届出を各地方厚生(支)局に提出する必要があります。

  • 基本診療料の施設基準等に係る届出書
  • 情報通信機器を用いた診療に係る届出書添付書類

管轄するホームページで書類をダウンロードし、必要事項を記入して提出することで手続きは終了します。届出すると、オンライン診療における初診の診療報酬点数がアップするため、施設の収益を向上させることが可能です。
これからオンライン診療に取り組む予定のある施設は、施設基準の届出をしておきましょう。

監修者情報

ゆし 様

医療ライター

医療機器メーカー(東証プライム市場上場)の営業職に約10年間従事。
クリニック開業サポート・医院継承サポート実績あり。
現在は、医療専門Webライターとして多くの医療記事を執筆している。

  • メディコムのオンラインデモメディコムのオンラインデモ

経営アイデア記事一覧へ


イベント・セミナーEVENT&SEMINAR

お役立ち資料ダウンロード