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クリニック経営 医師 事務長 2022.07.08 公開

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「診察前」と「診察後」の待ち時間改善ポイントを解説

患者さんの増加に伴い、待ち時間は増えてしまうもの。「診察前」と「診察後」で待ち時間対策をどうするべきかを解説します。

※本内容は公開日時点の情報です

#機器選定ポイント #システム入替 #業務効率化

患者の増加に伴い、待ち時間は増えてしまいます。待ち時間の原因は「患者集中」と「患者の滞在時間の延長」にあります。この2つの問題のうち、前者に注目が行きがちですが、実は後者の滞在時間こそが、待ち時間対策の根本的な治療方法なのです。いまより少しでも「診療」をスピードアップできれば、時間当たりに診療できる患者さんの数は増加し、待ち時間は減少するのです。

患者の待ち時間の原因の一つである「患者1人当りの滞在時間の延長」。これは、診察、処置、検査、カルテ作成といった一連の診療の流れの中で、少しずつ発生する時間のロスが積み重なり、その結果、待ち時間が延長する現象です。オペレーションがうまくいっている場合と、そうでない場合で大きく差が出る部分でもあります。
そのため、現在のオペレーションの中でタイムロスになっている部分はないかを考える必要があります。受付であれば「受付からカルテが準備されるまでの時間」、診察室であれば「診察時間」や「カルテ作成時間」、会計であれば「診察終了後から会計するまでの時間」などに分けて対策を考える必要があります。

患者1人当りの滞在時間の短縮

「患者1人当りの滞在時間」を短縮する方法として、まずは「診察時間」に注目してみましょう。診察時間のタイムロスの原因は、患者の話や医師の診察が長いことも理由の1つですが、これを改善するのは簡単ではなく、診察自体を短くすると、患者の不満につながってしまう恐れがあります。そこで、診察の前後のつなぎに注目する必要があるのです。

「診察前」を短くする方法

診察前を短縮するためには、事前準備としての「問診票」に注目します。問診票は事前に患者さんのニーズを集め、適切な診察準備を行うための役割を担っています。 最近、Web問診の導入が増えています。Web問診は来院前に問診票の入力が可能になるため、事前にトリアージすることが可能になるのです。例えば、耳鼻咽喉科であれば、耳、鼻、喉の症状で来られますが、耳であれば聴力検査が必要になる可能性が高くなります。聴力検査室は診療所では大抵一つしかありませんから、検査が集中すれば、待ち時間につながります。事前に検査順番を把握しておくことで、検査待ちを緩和することが可能です。また、発熱の患者であれば、クリニックの外での対応が必要となります。事前に状況を知ることで先回りして準備することが可能になるのです。

また、診察時に着替えが必要なケースもあります。それがタイムロスの原因であるならば、診察室を2つ用意して交互に利用する方法も考えられるでしょう。医師が1人で2つの診察室を行き来する体制にして、医師と看護師が交互に患者を診る方法をとることで、医師が診察前に着替えのために待つという時間が短縮できます。また、初診患者の場合は、看護師が問診票に基づき予備診療を行い、その間に医師は別の患者を診る。こうすることで、同時に2人の患者を診ることが可能になります。診察室を2つ設けるスペースがない場合は、処置室を活用するのも一つの方法です。

「診察後」を短くする方法

診察後を短くする方法は、働き方改革で注目されている「医療クラーク」の活用が考えられます。これはパソコンが得意か不得意かで多少の差はありますが、パソコンが得意であっても患者が増え、詰まってくれば電子カルテを操作する時間はどんどん減っていくために待ち時間につながってしまいます。医療クラークは育成には少し時間がかかりますが、育成ができれば、医師の負担軽減に大きく寄与できます。優れたクラークを配置している医療機関は、医師とクラークの連携により、診察が早くなる効果が出ています。
また、紹介状が必要になり、一時的に診察が止まる時があります。これもスピードダウンのひとつの要因です。診察が終わり、医師が書類を作成するという行動により、診察は止まらざるを得ないのです。この際も、クラークが有効に作用します。クラークが診療時間中に診療と並行して書類を作ることができれば、医師はその内容を確認するだけで済むので、大幅な時間短縮につながります。

診察後に行う、「次回の予約」にもスピードアップの工夫が潜んでいます。定期的に受診が必要な患者の場合、次回の予約を取ることになります。医師が次回の予約をとろうとすると、患者さはそこから手帳を取り出し、スケジュールの確認が始まります。この予約調整の時間が長ければ長いほど、タイムロスにつながります。
この予約業務は医師の代わりに受付や看護師、医療クラークが行うことが可能です。また、予約調整を行う場所も診察室内である必要はありません。「誰」が「どこ」で予約調整を行うかを決めることで、医師は次の診察に取り掛かることが可能なのです。

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著者情報

大西 大輔

大西 大輔

MICTコンサルティング(株) 代表取締役
2001年一橋大学大学院MBAコース卒業。同年、日本経営入社。2002年に医療IT製品の常設総合展示場「メディプラザ」を立上げ、IT導入コンサルティング、システム選定アドバイス、研修事業等を担当。2016年にMICTコンサルティング(株)を設立。多くの医療機関の導入サポートや取材経験より団体などでの講演や執筆多数。

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