経営可視化のためのツール
経営分析の基本
月次で作成された月次決算書(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書等)は毎月チェックしなければなりません。
組織がうまく運営できているか、いないか、平易にいえば儲かっているのかいないのか、儲かっているとしたら何が原因か、また儲かっていないとすればどうすればよいのかを明らかにしていかなければならないからです。
毎月決算書をチェックする方法のひとつに経営分析があります。経営分析はいくつかの角度から、決算書を分析することをいいます。
経営分析によって企業の経営成績や財政状態、そして資金繰りを点検して、経営がうまくできるよう、また悪化しないように事前に対処することが大切です。
経営分析とそれに基づく対処ができていれば、どこに注意すれば儲かるのか、また、事業が悪化することを最小限に食い止めることができます。
企業の売上や利益、資産状況と各種経営指標を日ごろから把握しておくことが必要です。
経営分析は企業の健康診断といういい方がされます。健康診断を毎月行う人はそう多くはいませんが、少なくとも経営分析は毎月行なわなければなりません。場合によれば、その応用を行い、事業単位毎や顧客ごとに行うことが有効です。
経営分析の概要
事業単位毎に分析を行うのであれば部門別損益計算、また、ターゲットや顧客毎に行うのであれば、各々について多様な採算分析を別途行う必要があります。
さて、経営分析には、
- 損益計算書から各利益をみる収益性
- 資金が効率的に活用されているかをみる効率性
- 資金の余裕度をみる安全性
- 人がどれほど付加価値を生んでいるのかをみる生産性
- どれほど売上を伸ばしているのかの成長性
- 利益が0となる売上高はいくらかをみる損益分岐点分析
- さらに資金は足りているのか、どのように使われているのかをみる資金分析
があります。
なお、資金が足りているのか、どのように使われているのかをみるためには、資金繰り表やキャッシュフロー計算書が便利です。
資金繰り表は毎月資金の収支がどうであるのか、入金と支払いが合っているのか不足していないのかについて検討を行うものです。
また、キャッシュフロー計算書は、営業により得られたキャッシュのながれかから投資で使うキャッシュを控除して資金が不足していれば財務によりキャッシュを手配したり、余っていれば返済を行うという情報を提供してくれる計算書です。
現在の売上高と損益分岐点がどのくらい乖離しているのかをみたり、資金やCFを管理する2つの資料を使うことは、組織運営上とても重要ですね。
可視化のための指標分析
経営分析を組織の可視化のために活用していかなければなりません。もちろん、より詳細に分析を行おうとすれば指標分析を行います。
財務の構成要素までブレイクダウンして指標分析を行います。実務的に現場で行われる方法です。
皆さんがよくご存じの 目標管理の一方法、キャプランのBSC(Balanced Scorecard)にいう、KGI(Key Goal Indicator)→KFS(Key Success Factor)→PD(Performance driver)→KPI(Key Performance Indicator)のながれで設定した、成功のカギとなる指標の分析です。
より戦略的な見方をするときには、これらの設定の成否や実績が伴った活動ができたのかの評価を、組織で設定しているKPIを活用して行う必要があります。
KPIを使わない経営分析だけでは「行動レベル」の分析はできない、という限界も知らなければなりません