診療所の開業時や、新たに従業員を雇用するとき、新しいICT機器を導入するときなどにもらうことができる補助金・助成金が、実は数多く存在しています。
補助金・助成金は、もらうだけで返済義務がありません。ただし、申請しないともらえないため、一定の時期に申請する必要があります。また、申請者に条件が課される場合もあり、条件によっては申請できないものもあります。
補助金・助成金は申請しないともらえないということは、知らない人はもらえないということになります。今回は、開業医あるいは診療所の開業を検討している先生に、活用可能な助成金についてご紹介します。
IT導入補助金
「IT導入補助金」は、中小企業・小規模事業者などが自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助し、業務効率化・売上アップをサポートするためのものです。
自社の置かれた環境から強み・弱みを認識、分析し、把握した経営課題や需要に合ったITツールを導入することで、業務効率化・売上アップといった経営力の向上・強化を図ることを目的としています。
IT導入補助金には、「通常枠(A・B類型)」と「低感染リスク型ビジネス枠(特別枠:C・D類型)」が設けられています。
低感染リスク型ビジネス枠(特別枠:C・D類型)は、新型コロナウイルス感染症の流⾏が継続しているなかで、ポストコロナの状況に対応したビジネスモデルへの転換に向けて、労働生産性の向上とともに感染リスクにつながる業務上での対人接触の機会を低減するような業務形態の非対面化に取り組む中⼩企業・小規模事業者などに対して、通常枠(A・B類型)よりも補助率を引上げて優先的に支援するものです。
診療所では「電子カルテ」「レセコン」「オンライン診療システム」なども助成の対象になりますので、ICTの利活用、医療DXに取り組まれる開業医は一度検討してみる価値はあります。
こちらの記事でさらに詳しく解説しています。
IT導入補助金2022、専門家に相談して申請計画を
感染拡大防止支援金
「感染拡大防止支援金」は、俗称「コロナ補助金」と呼ばれています。医療機関や薬局などの感染防止対策に要する費用について助成するもので、厚生労働省管轄のもと都道府県で実施しています。
感染予防対策として「診療予約システム」「オンライン診療システム」「自動精算機」など、また患者さんとの非接触を企図した「電子カルテ」の導入なども対象となります。
ただし、2021年度の申請は2022年3月10日必着となっていますので、注意が必要です。また、2022年度分については公表されるのを待ちましょう。
創業補助金
「創業補助金」は、創業に要する経費の一部を補助してもらえるものです。新たな需要や雇用の創出などを促し、経済を活性化させることを目標としていますので、診療所を開く場合に対象となります。
創業補助金は、以前は国の事業として行われていましたが、現在は各自治体において実施されています。自治体により内容が異りますので、診療所を開設する自治体で確認をしてみましょう。
トライアル雇用助成金
職業経験、技能、知識などから安定的な就職が困難な求職者を、ハローワークや職業紹介事業者(※)などの紹介により、一定期間試行雇用した際に助成されます。「トライアル雇用助成金」は、この安定就業を希望する未経験者を試行的に雇い入れた場合の助成金で、試用期間を通じて、求職者の適性や業務遂行可能性を見極め、求職者および求人者の相互理解の促進を通じて、早期就職の実現や雇用機会の創出を図ることを目的としています。
事業承継・引継ぎ補助金
「事業承継・引継ぎ補助金」は、事業承継を契機として新しい取り組みなどを行う中小企業・小規模事業者など、また事業再編、事業統合に伴う経営資源の引継ぎを行う中小企業・小規模事業者などを支援する制度です。
「事業を継承した経営者」が個人開業医で、中小企業基本法の中小企業に該当するのであれば、申請することが可能です。ただし、医療法人の場合は申請ができません。
また、2021年度分の申請は締め切られていますので、申請を検討される場合は2022年度分の公表を待つ必要があります。
そのほかの助成金
このほかにも助成金は、さまざまなものがあります。内容を確認し、申請できるものは専門家と相談しながら手続きを行ってください。
まとめ
補助金・助成金にはさまざまなものが用意されています。ただし補助金・助成金の申請には条件や時期があり、必ずしももらえるとは限りません。また、申請に必要な書類に専門知識が必要となるものもあります。まずは知ることから始めて、実際の申請には社会保険労務士や税理士など信頼できる専門家に相談をしましょう。
※本記事は2022年02月28日時点での情報をもとに作成しています。
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