目次
電子カルテの導入で利用できるIT導入補助金とは
IT導入補助金の概要について
中小企業庁が行う中小企業生産性革命推進事業のなかの「サービス等生産性向上IT導入支援事業」が、一般的に「IT導入補助金」と呼ばれているものです。
その目的は、生産性向上に取り組む中小企業・小規模事業者を支援し、将来の成長を下支えするものです。そのため、中小企業・小規模事業者の設備投資、IT導入、販路開拓を支援する内容となっています。
ここで、中小企業・小規模事業者という呼び方をしていますが、補助対象には医療機関も含まれています。医療法人では対象者の従業員数が300名以下となっていますので、診療所の場合、ほとんどが対象となるはずです。
申請は施設単位ではなく法人単位で行います。
法人全体の規模が申請要件に関わりますので、詳細は公式サイトをご確認ください。
IT導入補助金:公式サイト
IT導入補助金2023 前期事務局
IT導入補助金2023 後期事務局
IT導入補助金2023について
「IT導入補助金2023」では、デジタル化基盤導入枠に、これまでのデジタル化基盤導入類型に加え、「複数社連携IT導入類型」「商流一括インボイス対応類型」が追加されています。
- 通常枠
A類型(補助金の下限を緩和、対象となるクラウド利用料の増加)
B類型(対象となるクラウド利用料の増加) - デジタル化基盤導入枠
デジタル化基盤導入類型
複数社連携IT導入類型(IT導入補助金2023で追加)
商流一括インボイス対応類型(IT導入補助金2023で追加) - セキュリティ対策推進枠
商流一括インボイス対応類型はインボイス対応のITツールが対象で、ITツール費用の1/2もしくは2/3(最大350万円)を補助するものです。加えて、最大2年分のクラウド利用料の補助が行われます。さらに商流一括インボイス対応類型では、大企業からの申請も可能です。
セキュリティ対策推進枠は「サイバーセキュリティお助け隊サービス」の利用料(最大2年分)が対象で、サービス利用料の1/2以内、最大100万円を補助します。「サイバーセキュリティお助け隊サービス」は独立行政法人情報処理推進機構が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に登録されているサービスです。
また「IT導入補助金2023」では、細かい内容の拡充が行われています。
●補助金の下限を緩和
通常枠のA類型は、これまで補助額の下限が30万円でしたが「IT導入補助金2023」では5万円に引き下げられ、導入しやすくなりました。
デジタル化基盤導入類型では、これまで会計・受発注・決済・ECソフト導入に対する補助額の下限が5万円でしたが「IT導入補助金2023」では下限が撤廃されています。
●補助対象となるクラウド利用料の増加
通常枠のA・B類型、デジタル化基盤導入枠などでは、クラウド利用料の1年分が補助対象でしたが、「IT導入補助金2023」では最大2年分にまで増加されました。
●後期事務局への移行
2023年7月31日で前期事務局での申請受付は終わり、8月からは後期事務局での運営になります。こちらは「IT導入補助金の申請方法」で説明します。
●補助対象経費
ソフトウェア購入費、クラウド利用料、導入関連費(デジタル化基盤枠のみ付随するハードウェア購入費も含む)などが対象です。
なお、交付申請をするには、IT導入支援事業者(システムベンダー)にて事前にITツール登録が必要です。
補助金の上限額・下限額・補助率(通常枠)
A類型 | B類型 | |
---|---|---|
上限額・下限額 | 5万円超~150万円未満 | 150万円~450万円以下 |
補助対象経費区分 |
|
左に同じ |
補助率 | 補助対象経費の1/2以内 | 左に同じ |
※メディコム製品はA類型に該当します。(ハードウェア・ツール登録を行っていないソフトウェアは対象外)
補助金の上限額・下限額・補助率(デジタル化基盤導入枠 デジタル化基盤導入類型)
上限額・下限額 | ~50万円 | 50万円超~350万円 |
---|---|---|
補助対象経費区分 |
|
左に同じ |
補助率 | 3/4以内 |
50万円以下は補助率3/4以内 それ以上は補助率2/3以内 |
補助金の上限額・下限額・補助率(デジタル化基盤導入枠 セキュリティ対策推進枠)
補助対象経費区分 | 指定のサービス利用料(最大2年分) |
---|---|
補助率 | 1/2以内 |
上限額・下限額 | 5万円~100万円以内 |
ハードウェア購入費用(デジタル化基盤導入枠 デジタル化基盤導入類型)
補助率 | 上限額 | |
---|---|---|
PC・タブレット、プリンタ、スキャナー、およびそれらの複合機器 | 1/2以内 | 10万円以内 |
レジ・券売機 | 1/2以内 | 20万円以内 |
IT導入補助金を申請できる条件とは
先に補助金を申請できる対象を記しましたが、申請にはもう少し条件があります。
IT導入補助金の対象となるのは、「IT導入支援事業者」に登録されている事業者が取り扱う製品のみです。
また、「IT導入支援事業者」はITベンダーとなるため、申請を検討されている場合は、早めに担当者へIT導入補助金の申請可否を相談されることをおすすめします。
ちなみに登録されているITツールは、①業務プロセスに関するソフトウェア、②オプションに関するソフトウェア、③付帯サービス等の役務、の3つに分類されています。IT導入補助金を申請するには、必ず①業務プロセスに関するソフトウェアの導入が必要条件となります。
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IT導入補助金の申請方法
8月1日以降に交付申請をする際は、後期事務局で新たに申請マイページの作成が必要です。
マイページには、IT導入支援事業者(システムベンダー)がユーザーを招待いたします。ユーザーはメール通知から「マイページ開設」を行います。
申請する枠・類型や IT導入支援事業者により、後期の交付申請手続きの開始時期が異なります。事前にIT導入支援事業者との相談が必要です。
後期事務局の運営担当は凸版印刷株式会社で、下記よりお問い合わせが可能です。
IT導入補助金2023 後期事務局
自院でIT導入補助金を申請するには、必要な書類を確認したあと、次のような流れで行います。
補助金利用の流れ
- IT導入補助金の内容をホームページで確認をします。
- 申請手続きを始める前に、ITツールとIT導入支援事業者を選びます。
- 交付申請をするために必要なアカウント「gBizIDプライム」を取得します。
- 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「SECURITY ACTION」を宣言します。これは、中小企業などが情報セキュリティ対策に取り組むことを自己宣言するための制度です。
- gBizIDを使い、「みらデジ」ポータルサイトで「経営チェック」を行います。これは、中小企業・小規模事業者等の経営課題について、デジタル化での解決をサポートする制度です。
- IT導入支援事業者との間で交付申請の事業計画を作成します。その後、交付申請を行います。
- 事務局側で審査の上、採択・交付が決定します。
- ITツールの発注・契約・支払い等を行い、補助事業の実施を行います。
- 補助事業が完了したら、ITツールの発注・契約・納品・支払い等を行うために必要な情報と証明する書類を準備し、事業実績報告を提出します。
- 事業実績報告が完了し、申請マイページで補助金を確認したあと、補助金が交付されます。
- 事業実施効果報告をするために、申請マイページで情報を入力し提出します。
なお、補助金を受けた場合は3か年の効果報告が必要です。
▽参考記事
IT導入補助金2023:前期事務局「申請・手続きフロー」
IT導入補助金2023:後期事務局「新規申請・手続きフロー」
申請に必要な書類
IT導入補助金を申請するには、次のような書類が必要となります。法人と個人事業主では申請書類が異なります。
●法人の場合
- 履歴事項全部証明書
- 法人税の納税証明書(その1またはその2)
●個人事業主の場合
- 運転免許証または運転経歴証明書または住民票
- 所得税の納税証明書(その1またはその2)
- 所得税確定申告書
必要な書類が一つでも準備できなければ、申請を受け付けることができません。また、代替書類も認められていません。
▽参考記事
IT導入補助金2023:前期事務局「交付申請の手引き」(PDF)
IT導入補助金2023:後期事務局「交付申請・事業実施」
交付までにかかる期間
IT導入補助金の申請から交付、事業実施にかかる期間は次の通りです。
●IDの発行までの期間
申請に必要な「gBizIDプライム」のアカウントを取得していない場合は、ID発行まで約2週間かかります。
●交付決定から事業実施までの期間
交付決定から事業実施期間までは、数か月かかります。ただし、実績報告に不備があったり、再提出を速やかに行わなかったりすれば、補助金の交付期間がさらに延びることがあります。
また交付決定の連絡が来る前に、電子カルテなどのソフトウエア・サービスなどのITツールを契約・発注・納品・稼働・支払を行ったときは、補助金の交付を受けられません。
▽参考記事
IT導入補助金2023:前期事務局「スケジュール」
IT導入補助金2023:後期事務局「IT導入補助金 事業スケジュール」
IT導入補助金でできること
IT導入補助金として診療所から申請があったものとしては、患者管理や在宅医療への対応、会計業務にかかる時間の削減のため、電子カルテやレセプト管理、会計業務の効率化に対応するITツールが多く導入されています。
診療所の規模や看護師や受付などスタッフ数によっても、取り組むべき課題は異なります。自院の状況を把握したうえで導入すべきITツールを見つける必要があります。
レセプトの作成・管理の業務負担を削減するITツール
カルテとレセプトを照合しながら行うレセプトの作成・管理作業は、ITツールに頼ることでスムーズに進めることができます。
IT導入補助金を使用した医療関係者のうち6割が、会計業務の効率化を図りたいと考えていたそうです。
レセコン一体型電子カルテであれば、カルテの情報とレセプト業務を連動して行うことができ正確性も向上します。また、カルテを入力する際にチェックをかけることができるため、後から修正にかかる時間も大幅に削減できます。
チェック機能が充実した電子カルテ・レセプトコンピューターをお探しであれば、メディコムにご相談ください。
カルテの検索をスムーズにするITツール
手書きの紙カルテは、保管場所がどんどん増えていくだけではなく、人的ミスによる紛失のリスクもあります。また、探すのに時間がかかり、来院された患者様を受付でお待たせしてしまうこともあったのではないでしょうか。
電子カルテを活用することで、データの保存や検索等の管理がしやすくなります。
また、選ぶ電子カルテによっては診療データの検索もスムーズになります。
ある薬を処方した患者様、65歳以上の患者様、ある病名を診断した患者様など、様々な条件によっての検索が一瞬でできるようになり、紙カルテを探す時間も省けます。
電子カルテへ移行して対人業務の時間を増やしたい場合は、シェアNo.1※の電子カルテを扱うメディコムにご相談ください。
その他のお悩み解決ITツール例
その他、診療所における活用事例はどうなっているのかについて知りたい場合は、IT導入補助金サイト内に、医療業界のお悩み解決ITツール機能がまとめて紹介されていますのでご参照ください。
IT導入補助金2023:前期事務局 お悩み解決ITツール機能「医療」
IT導入補助金のまとめと注意点
採択率は50%前後
IT導入補助金は申請すれば必ずもらえるものではなく、一般的な採択率は50%前後となっています。
実際の申請は、IT導入支援事業者との共同作業によって進められるため、仮に採択されなくとも、申請を進めていく過程のなかで診療所に必要なシステムが見えてきます。システム化、ICTの活用を検討している医師、診療所は、申請を前提にシステム化の計画を立てる、ひとつの機会と捉えてもよいでしょう。
信頼できる専門家に必ず相談
IT導入補助金は、事務業務が自動化、効率化するためのシステム導入に対して支給される補助金です。
システムそのものに目が向きがちですが、システムを導入することで、医師自身はもちろん、看護師、受付など事務スタッフの働き方にも変化が求められます。システムありきではなく、働き方の側面も考慮したうえで申請することが大切です。
電子カルテやレセコンの導入を検討されているようでしたら、シェアNo.1※のメディコムにご相談ください。
お問い合わせ・製品詳細はこちらからご覧いただけます。
※本記事は2023年7月19日時点での情報をもとに作成しています。
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