患者さんが求める理想の薬剤師像を実現するために
薬局を取り巻く環境は、つねに変化を続けています。医学・薬学のスピーディな進歩に伴い、業務知識やスキルをたえずアップデートしていくことは薬剤師としての大きなミッションのひとつです。しかし今、薬局や薬剤師に求められるのは、それだけではありません。高齢化の進展やセルフメディケーション意識の浸透を背景に、薬局の社会的な役割も大きく変わりつつあります。そのなかで求められる薬剤師像やその実現へのステップについてご紹介します。
「健康の相談窓口」としての薬剤師へ
セルフメディケーションの考え方が人々のあいだに根付くにつれて、薬局は健康についてのアドバイスを求めるうえで、最も身近な存在となりつつあります。薬剤師には従来の職務に加え、健康の相談窓口としての役割も期待されていると言えそうです。さまざまな患者さんの悩み・症状に対応するにあたり、薬だけではなく、食生活や運動、さらには禁煙支援といった総合的な知識が必要となる場面も増えるでしょう。豊富な知識を活かしながら、患者さんとのコミュニケーションのなかで悩みや不安を把握し、分かりやすく的確な助言を伝えられる。こうした薬剤師像がひとつの理想となりつつあるのではないでしょうか。
業務効率化でコミュニケーションの時間を確保
いまでも多忙な業務に追われているのに、さらに役割が増えるなんて……という声もあるかもしれません。しかし従来の業務を見直し効率化を図ることで、患者さんとのコミュニケーションの時間を確保できるよう、発想を転換してみましょう。薬局業務や経理業務などのIT化を進めることも一案です。手間や時間を削減できるだけでなく、手作業によるミスを抑止する効果も期待できます。効率化により確保できた時間を患者さんとのコミュニケーションなどにあてることで、患者さんの満足度や医療品質の向上を実現しましょう。
コミュニケーションを充実させるポイント
それでは、より質の高いコミュニケーションを実現するためにはどのような点に気をつければ良いでしょうか。まずは患者さんにしっかりと傾聴の姿勢を示しながら、お話を伺うことを心がけましょう。どのように伝えればいいかと患者さんが思案していらっしゃるときには、適度に質問しながら会話を導くことも有効です。薬剤師の側から説明をするときには、患者さんの反応を確認しながら、ゆっくりと、専門用語をできるだけ使わずにお話ししましょう。先に述べたとおり、薬剤師にはますます幅広い知識が求められるようになっています。日頃から情報収集に努めるとともに、関連する分野の専門家との交流を深めるなど、連携のとりやすい関係作りをしておくことの重要性も増していくでしょう。
薬局や薬剤師に求められる役割は今後ますます重要かつ高度なものになっていくことでしょう。その期待に応えることは決して易しいことではありませんが、今こそが「選ばれる薬局」へとステップアップしていくチャンスでもあるのです。理想の薬局・薬剤師像の実現に向けて、業務品質をさらに磨いていきましょう。
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