独立案件を見極めるために必要な知識~加算編~
開業案件は見極めが重要です。今回は、良い案件を見極めるためのポイントである「加算」について解説します。
開業案件の見極めるべきポイントの1つは“伸びしろ”
開業案件の内容を見定める時のポイントの1つは、オープン後にどれだけ数字を伸ばせるのかという“伸びしろ”です。周辺地域の人口動態や高齢化率、近隣の医療機関状況などから考える視点に加えて、重要な加算算定が可能かどうかというのが重要です。特に、今回取り上げる後発医薬品使用体制加算と地域支援体制加算については要チェックです。
なぜなら、例えば地域支援体制加算については2020年度診療報酬改定によって、処方箋1枚当たり38点が加点されることになりました。つまり、1枚当たり、380円増加するということとなります。仮に月の応需処方箋枚数が1000枚の場合、技術料では380,000円の違いが生まれます。年間にすると、4,320,000円の違いが生まれる事となるため、算定できるか否かによって人材配置などの経営方針が大きく左右されます。
診療報酬改定毎に上がる算定要件ハードル
いわゆる薬局のM&A案件の中には、加算を全く算定していなかったという案件があります。これは、各種加算の算定要件は年々厳しくなっていることが原因として考えられます。
例えば、後発医薬品使用体制加算は診療報酬改定のたびに、算定要件である後発医薬品の使用率が引き上げられてきました。この要件を満たすことを諦めてしまった、という原因が考えられます。
薬局経営者の努力だけでは算定要件を満たせない
ここで重要なことは、各種加算の算定要件が薬局単体の企業努力だけではクリアできないという事です。例えば、後発医薬品使用体制加算の算定に必要なジェネリック医薬品使用率を上げていくためには、薬局スタッフや患者さん、医療機関と共に進めていく事が必須です。そもそも、メインで応需しているクリニックが先発品を進める方針の場合もありますし、患者さんへきちんと説明して変更するには、薬局スタッフの協力と患者さんの理解が必要となります。加算を算定していない案件を検討する場合には、今まで算定できていなかった理由も確認する事が必要です。
算定要件を満たすには年単位の時間が必要な場合がある
地域支援体制加算の場合、以下の2項目を満たすためには時間を要します。
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① 管理薬剤師は以下の要件をすべて満たす
・保険薬剤師として5年以上の薬局勤務経験
・週32時間以上勤務
・当該保険薬局に継続して1年以上在籍
② 薬局機能情報提供制度において、「プレアボイド事例の把握・収集に関する取組の有無」を「有」として直近1年以内に報告していること
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①に関しては、5年以上の薬局勤務経験があるとしても、薬局オープンしてから少なくとも1年間は算定できない事になります。また、②に関しても注意が必要です。厚生労働省から出ている説明によると、前年1年間(1月1日~12月31日)に、プレアボイド事例を「報告」している必要があります。厚生局へ許認可申請を行う際に、追加資料として報告内容の提出を求められることもあります。前年度の実績が必要となる内容になるため、最悪の場合、1月1日にその他の要件を満たしたとしても翌年の1月1日まで算定ができないという事態になります。
そんな事態にならないために、算定要件をしっかり理解して開業が決まり次第、行動を起こすことをお勧めします。
以上のことを十分に留意した上で、理想の薬局開業と経営のために進んでいきましょう。
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