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薬局開業 薬剤師 薬局経営者 2023.01.05 公開

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薬局開設時の保健所立ち入り検査で必要な書籍や備品などについて

薬局を開設した際は、保健所による立ち入り検査を受けなくてはなりません。立ち入り検査の際には、調剤薬局の施設基準を満たしているかの確認に加えて、設置しておくべき備品や書籍についても確認されます。 このときに必要な書籍や備品は、開業後の使用頻度は高いとは言えませんが揃えておく必要があります。今回は、薬局開設に伴う保健所立ち入り検査で必要な書籍や備品について解説します。

※本内容は公開日時点の情報です

#開業検討

目次

備品一覧

保健所の立会検査時にチェックされる備品は、以下の通りです。

・液量器
・ビーカー
・メスフラスコorメスシリンダー
・温度計(100℃まで測れるもの)
・水浴
・軟膏板
・へら 金属製と角製(またはこれに類するもの)一つずつ
・乳棒・乳鉢(散剤用)
・はかり(感量10mg,100mgに対応できるもの)
・ふるい器
・メスピペット
・薬匙(さじのこと)金属製と角製(またはこれに類するもの)を一つずつ
・ロート
・調剤台

なお、管轄地域によって必要な数やサイズは異なる場合があります。開業を考え始めたら、なるべく早く保健所の薬務課に相談することをおすすめします。

参考:薬局等構造設備規則の一部を改正する省令の施行について(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc0846&dataType=1&pageNo=1

書籍一覧

立ち入り検査で確認される書籍は以下の4つです。
すべてにおいて、最新のものであることが望ましいとされています。

【1】日本薬局方及びその解説に関するもの

日本薬局方および、その解説書を指します。解説書には、
・『日本薬局方解説書』
・『日本薬局方条文と注釈』
・『日本薬局方医薬品情報JP DIセット版』 などが含まれます。

【2】薬事関係法規に関するもの

医薬品・医療機器等法、薬剤師法、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法、麻薬及び向精神薬取締法規を備える必要があります。 たとえば、下記などがあります。
・『薬事衛生六法』
・『衛生行政六法』
・『薬事実務便覧』

【3】調剤技術等に関するもの

調剤技術に関する共通認識として、『調剤指針』を準備しておく必要があります。

【4】医薬品の添付文書に関するもの

取り扱う医薬品の添付文書をファイルすることでも差し支えないとされています。あるいは、PMDAのホームページにすぐにアクセスできる状態にしておく、デスクトップ上に採用薬の最新の添付文書をPDFファイルなどの形式で保存しておいたものを印刷できるようにしておく、といった対応でも良いでしょう。

とくに日本薬局方についての書籍は高価であるにも関わらず、通常業務で使用する機会は多くありません。東京都福祉保健局の薬局等許可審査基準によると、データが CD-ROMなどの記憶媒体や自ら管理するサーバーなどに保存されている場合も書籍と見なすことができるとされています。

参考:東京都薬局等許可審査基準(東京都福祉保健局健康安全部)
https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/shinsei/karute/anzen.files/shinsa09030101.pdf

おすすめなのは、以下のPMDAのWEBサイトから最新の日本薬局方についてのPDFをダウンロードしてパソコンに保存しておくことです。

参考:日本薬局方(PMDA)
https://www.pmda.go.jp/rs-std-jp/standards-development/jp/0004.html

また、Pharnesシリーズをお使いの場合は、上記WEBサイトを開かずとも、窓口または電子薬歴からPDF形式の添付文書を表示できます。

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電子薬歴システム(保険薬局用) PharnesX-MX
保険薬局用コンピューター PharnesX

一方で、薬事衛生関連、調剤指針の書籍については、ネット上からの取得が難しいため購入が必要となります。

その他、必要なものについて

上記の備品・書籍に加えて、薬局運営の指針や薬局実務に必要となる各種の業務手順書を作成し、印刷してファイリングしておく必要があります。

立ち入り時には、薬局開設許可証や保険薬局である旨の表示の他、以下の項目について掲示しておく必要があります。

・薬局の管理及び運営に関する事項(管理者名、勤務薬剤師名、開局曜日および時間、深夜における調剤応需体制などが記載)
・要指導医薬品及び一般用医薬品の販売制度(ただし、販売する場合に限る)など

準備には余裕をもったスケジュール設定を

本記事を確認のうえ、必要なものを事前に確認して、準備万端で立ち入り検査に臨みましょう。
開業時はスケジュールがタイトな場合が多く、再度の検査が必要となってしまった場合に予定していた開設日に間に合わなくなる可能性があります。
また、管轄地域によっても見解や解釈が若干異なる場合があるため、事前の情報収集と確認がおすすめです。

著者情報

赤瀬 朋秀

赤瀬 朋秀(あかせ ともひで)

日本経済大学 経営学部長
同・大学院経営学研究科 教授

博士(臨床薬学)・MBA(経営学修士)を持ち、専門分野は、医療経済学、医療経営学、薬剤疫学、医薬品情報学、ファーマシーマネジメント。
最近の主な著書は、
ファーマシーマネジメント2(編・著):医学アカデミー 2016年、
あと10年正念場の保険薬局-「思考と志向」転換のすすめ-(単著):薬事日報社 2016年、
ファーマシーマネジメント3(編・著):医学アカデミー 2018年、
非営利組織と営利組織のマネジメント(共同執筆):中央経済社 2020年など、その他多数。

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