スタッフが仕事へのモチベーションを感じ、自らの能力を存分に発揮できる職場とはどのようなものでしょうか。業務内容や待遇などといった要素もありますが、職場での活発なコミュニケーションを土台として築かれる良好な人間関係の重要性も、見逃すことはできません。「日頃スタッフとは十分にコミュニケーションが取れているから」と言う方も、それぞれのスタッフがどのような思いをもちながら仕事に取り組んでいるか、じっくり耳を傾け話し合う機会が設けられているか、改めて振り返ってみましょう。業務についての指示や報告だけでなく、こうした双方向のコミュニケーションの機会を定期的に持つことは、人材育成の観点からも非常に大切です。そこで近年ますます注目を集めているのが、1対1形式で面談を行う「1on1ミーティング」です。ふだんの業務ではなかなか話しにくい悩みや今後のキャリアといったテーマも、1on1形式であればスタッフ側も自分の意見を言いやすくなり、より質の高いコミュニケーションが期待できます。さらに、ミーティングを通じてスタッフが自ら業務に対する課題とその解決策を見出せるようになることで、医療業界で働く人材に必須の資質である「自律的に仕事を進める力」を育みます。臨機応変な対応を求められる現場において、指示を待つことなくスタッフ一人一人が主体的に行動できるようになり、クリニック・薬局全体の対応品質が向上します。

　1on1ミーティングは、職場における課題や業務の目標管理、ワークライフバランスなどさまざまなテーマをじっくりと話し合うのに適しています。マネジメント層が現場業務を把握するうえでも重要な機会ですが、何よりスタッフの成長を導き、自主的に業務を推進できるようにすることが大切です。スタッフへの指導や評価を行うのではなく、スタッフが自ら考え、行動を起こす機会であるとしっかりと認識しましょう。このとき、「PDCA（事前準備、面談実施、振り返り、具体的なアクション）」のサイクルを意識して1on1ミーティングを実施することで、その効果を最大限に得られるようになります。「せっかくミーティングを設定したのに、雑談をして終わってしまった」、「一度ミーティングを開催したが、その場限りで終わってしまった」という課題の解決にも効果的なPDCA管理とは、具体的にはどのようなものでしょうか。