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薬局経営 薬剤師 薬局経営者 2023.06.28 公開

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居宅療養管理指導とは?薬局の薬剤師が押さえておくべきポイントと算定要件

日本は、人口の約3人に1人が高齢者である超高齢社会へと突入しています。その中で需要が年々高まりつつあるのが居宅療養管理指導です。しかしながら、居宅療養管理指導に関して、よく知らない方も多いのではないでしょうか。そこで今回は「居宅療養管理指導とはどのようなものなのか」について詳しく解説します。算定できる点数や今後の薬剤師に求められる役割についてもご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

※本内容は公開日時点の情報です

#医療政策 #マネジメント #事業計画

目次

居宅療養管理指導とは

居宅療養管理指導とは、要介護状態となった患者さんが自宅で自立した生活が送れるように、医師や薬剤師などが協力してサポートを行っていくものです。

要介護の認定は、運動機能や理解力などが低下することで日常生活に支障が出ている方が受けられます。このような方は、自力で医療機関や薬局に足を運ぶことが困難なケースが少なくありません。

居宅療養管理指導では要介護の方の自宅を医療スタッフが訪問することで、患者さんが外出することなく必要な管理を受けられるようにする介護給付のサービスです。

薬剤師の場合は調剤した薬を自宅まで持っていき、服薬指導や残薬の調整などを行います。居宅療養管理指導は患者さんの自宅だけでなく、いわゆる老人ホームと呼ばれる施設でも行うことが可能です。

居宅療養管理指導を受けている患者さんの数は増加傾向にあり、2008年では約25万人しか受給していませんでしたが、2019年には約81万人もの方が利用しています。

参考:令和2年版高齢社会白書(全体版)(内閣府)
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2020/html/zenbun/index.html
参考:居宅療養管理指導の概要(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000660333.pdf

居宅療養管理指導の対象者と算定費用

では、具体的にどのような方が居宅療養管理指導の対象となるのか、居宅療養管理指導を行った場合に報酬をどれくらい算定できるのかについて見ていきましょう。

対象者

居宅療養管理指導の対象となるのは、要介護1~5に認定されている65歳以上の方です。要支援の方は「介護予防居宅療養管理指導」の対象となります。この他、65歳以上で40~65歳未満の方でパーキンソン病や末期がんなど特定疾患にかかっている方も居宅療養管理指導の対象です。

算定費用

薬局の薬剤師が居宅療養管理指導を行う場合、単一建物居住者の人数によって次の単位を算定できます。

単一建物居住者数 単位
1人 517単位
2~9人 378単位
10人以上 341単位

算定できない場合

居宅療養管理指導は、全てのケースにおいて算定できるわけではありません。医師または薬剤師の配置義務がある介護老人施設や特別養護老人ホームなどでは算定できないため注意が必要です。次の場合は、居宅療養管理指導を算定できません。

施設名 医師配置義務 薬剤師配置義務 居宅療養管理指導
介護老人保健施設 算定不可
特別養護老人ホーム 算定不可
養護老人ホーム 算定不可
軽費老人ホーム A型 算定不可

2021年度の介護報酬改定のポイント

2021年度に行われた介護報酬の改定で特に押さえておきたいポイントは、次の3つです。

・情報通信機器(スマートフォンやパソコンなど)を用いた服薬指導も評価対象になった
・居宅療養管理指導を行う場合、単一建物居住者の人数が少ない方が単位を算定しやすくなった
・介護支援専門員など他の職種との連携が強化された

スマートフォンやパソコンを使って行う服薬指導についても、1カ月に1回限り45単位を算定できるようになりました。また、薬局の薬剤師が居宅療養管理指導を行う場合、単一建物居住者1人に対して行うときに算定できる点数が509単位から517単位に増えています。

地域包括ケアシステムの推進により、多職種との連携も強化されるようになりました。多職種で情報共有を行い、患者さんに必要な支援を提供しやすくするためです。

参考:令和3年度介護報酬改定の主な事項(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000753776.pdf

薬局の薬剤師に求められる役割

居宅療養管理指導を利用する患者さんが増えていく中で、薬剤師に求められている役割には、主に次の3つがあります。

服薬管理・指導

まずは薬剤師が行う業務の基礎となる服薬指導や管理をしっかり行うことが求められています。居宅療養管理指導を受けている患者さんは、判断力が低下していたり自分で薬を管理できなかったりしてうまく服用できない方が少なくありません。

そのような方でも問題なくスムーズに服薬できるように、薬剤師は服薬指導や管理を行う必要があります。つまり、アドヒアランスの向上を目指すのです。アドヒアランスとは、患者さんが自らの病気を受け入れて治療を受けることを意味します。アドヒアランスを向上させることで、患者さん自身が治療の選択や決定に関わり、より高い治療効果が期待できることが特徴です。

飲み間違いがないようにお薬カレンダーを作ったり、薬を服用する上で困っていることがないかを確認したりしながら、患者さんが不便を感じることなく治療に専念できる環境を目指します。

居宅療養管理指導を行うと、患者さんの家族に服薬状況をヒアリングしたり、代わりに服薬指導を聞いてもらったりできることがメリットです。これにより、患者さんのライフスタイルにマッチした治療環境を整えることができます。

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わかりやすい帳票で服薬アドヒアランス向上

医療機関との連携

居宅療養管理指導は薬剤師だけで行っていくものではありません。医師や看護師、介護士やケアマネジャーなどと連携を取りながら行っていきます。特にケアマネジャーとの連携は欠かせません。

患者さんが適切な居宅療養管理指導を受けるためには、ケアマネジャーにケアプランを作成してもらう必要があります。ケアプランの内容に沿ってサービスを提供していくことになるため、患者さんのことで気になることがあればすぐに相談しましょう。

オンライン服薬指導の活用

薬機法の改正に伴い、オンライン服薬指導が実施できるようになりました。薬局内の他に、薬剤師が連絡を取れる場所ならオンライン服薬指導を行うことが可能です。

本人確認を薬剤師と患者さんの双方で行い、セキュリティーやプライバシーを保護する通信環境を整えることなど、オンライン服薬指導を行うためにはいくつか条件があります。

薬剤師が患者さんの自宅に足を運ぶ必要がなくなるため、人員不足による業務効率の低下を防げることがメリットです。

居宅療養管理指導の利用の流れ

居宅療養管理指導を利用するためには、3つのステップを踏む必要があります。

〈ステップ1〉

まずは、ケアマネジャーに居宅療養管理指導を利用したい旨を相談しましょう。相談を受けたケアマネジャーが、患者さんの状態を見て居宅療養管理指導を利用するべきなのか判断するためです。居宅療養管理指導が必要だと判断された場合は、医師に連絡がいきます。

〈ステップ2〉

居宅療養管理指導が必要だと医師が判断した場合は、ケアプランの作成が開始されます。ケアプランとは、患者さんがどうすれば自立した生活を送れるかを考えて作成した介護サービスの計画書のことです。ケアプランは必ずしも必要なわけではありませんが、作成するケースが多いでしょう。

〈ステップ3〉

ケアマネジャーが患者さんを訪問してくれる事業所や薬剤師、医師などを探します。どこを利用するかを最終的に決定するのは患者さん本人です。無事に訪問してくれる事業所などが見つかったら契約を行い、利用日を決めていよいよ居宅療養管理指導が開始されます。

まとめ

居宅療養管理指導とは、患者さんが自立した生活を送れるようにするために医師や薬剤師が自宅を訪ねて行うサービスのことです。居宅療養管理指導を行うことにより、報酬を算定できるようになります。

メディコムが提供する電子薬歴システムの「PharnesX-MX」を活用すれば、介護報酬や調剤報酬の改定があっても安心して居宅療養管理指導を行えるようになるでしょう。改定に素早く対応しているため、最新の内容で加算が取れているか心配する必要がありません。

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