廃業(閉院)に1,000万円掛かる!?メリットデメリットと費用と手続きについて
廃業にメリット無し?
廃業のメリット・デメリットを把握することで、先々のライフプランを検討することができます。
では具体的にどのようなメリット・デメリットがあるのか見ていきましょう。
【メリット】
- 自分のタイミングで引退できる
- 後継者問題で家族を煩わせなくて済む
【デメリット】
- 患者がかかりつけ医を失う
- 従業員が職を失う
- 地域医療が失われる
- 廃院するために大きなコストが掛かる
上記のように、廃業にはほとんどメリットがありませんが、デメリットは患者や従業員に大きな影響が出る点や、大きなコストが掛かる点など問題が多いです。
一方、承継M/Aの場合は準備やマッチングなどの工数はあるものの上記の廃業に伴う大きなデメリットをクリアできる為メリットが大きいです。
承継M/Aのメリットデメリット
廃業と承継のメリット・デメリットを理解し、どちらが良いかを事前に検討することが重要です。
廃業コストは1,000万円以上掛かるケースも
廃業にはほとんどメリットがなく、デメリットが大きいということをお伝えしましたが、中でも廃業コストはクリニックにより1,000万円以上掛かることがあるなど、廃院をお勧めできない大きな理由のひとつとして上げられます。
廃業に掛かるコストとしては次のようなものがあります。
●建物の原状回復又は取り壊しの費用
建物を借りている場合は、その建物を元の状態に戻して貸主に返さなければなりません。また建物が自前の物であっても土地を借りている場合は、返還する際に建物を取り壊す必要があります。
●借入金の残債の清算
借入金がある場合は、清算する必要があります。
●医療機器などの処分費用
X線撮影装置や超音波測定器、CTやMRIなどの検査機器は、中古品として業者に買い取ってもらえたり無償で引き取ってもらえることができます。ただし年数が経っている物や故障している物などは、処分となり大きな費用が掛かることがあります。
リース契約の場合で残債がある場合は、その清算も必要です。
●医療用品、薬剤などの医療廃棄物の処分費用
医院にある医療機器や残った薬剤などは、医療廃棄物として専門業者に処分してもらう必要があります。
●従業員の退職金
雇用している従業員を解雇するにあたって、退職金を支払うことになります。
●登記や法手続きに関する費用
個人事業でも医療法人でも、各方面に届出が必要です。従業員を雇用している場合は、社会保険や雇用保険や労災保険の手続きが必要になります。
またそれらの手続きを行政書士や司法書士、税理士などに依頼する場合はその報酬も必要になります。
廃業に必要な手続きと書類
ここまで廃業のデメリットと廃業コストの大きさをお伝えしましたが、廃業の手続きについても提出物や適切な処理が多く煩雑です。 下記はその必要書類と適切な処理が必要な項目の一覧になります。
●廃業手続きに必要な書類
申請先 | 手続き種類 |
---|---|
保健所 | ・診療所廃止届(廃止後10日以内) |
・エックス線廃止届(10日以内) ※1 | |
地方厚生局 | ・保健医療機関廃止届(遅滞なく) |
各都道府県 | ・麻薬施用者業務廃止届(15日以内) |
福祉事務所 | ・生活保護法指定医療機関廃止届(遅滞なく) |
税務署 | ・事業廃止届(遅滞なく) ※2 |
医師会 | ・退会届(遅滞なく) ※3 |
各都道府県税事務所 | ・個人事業廃止届(遅滞なく) |
医師国民健康保険組合 | ・資格喪失届(遅滞なく) |
年金事務所 | ・適用事業所全喪届 ・被保険者資格喪失届(いずれも5日以内) |
労働基準監督署 | ・確定保険料申告書(50日以内) |
●職員の社会保険関連
申請先 | 手続き種類 |
---|---|
ハローワーク | 雇用保険適用事業所廃止届 |
労働基準監督署 | 労災保険確定保険料申告 |
ハローワーク | 雇用保険喪失届 |
ハローワーク | 雇用保険離職票 |
健康保健加入団体 | 健康保険喪失届+健康保険証回収 |
院内 | スタッフの退職証明書の発行 |
●必要に応じて適切な処理が必要な事項
申請先 | 手続き種類 |
---|---|
スタッフ・取引業者への告知 | 3ヶ月前程度が目安 |
患者への告知 | スタッフ・取引業者への告知が完了後、随時が目安 |
保管義務のある書類・データの保管 | カルテ5年間・X線フィルム3年間他、保管義務が課されている物を確認 |
医療機器の処分 | X線機器は廃棄証明書取が必要 |
残存医薬品の処分 | 返品可能・不可能の分類と廃棄方法 |
返品不可能な医薬品を処分する場合は要注意 |
承継は三方良し、廃業は最後の手段
ここまで概要を説明した廃業と承継を比較すると、それぞれメリット・デメリットの差が非常に大きいのがわかります。
必ずしも承継が良いと言うのはそれぞれ環境や条件により異なりますが、基本的には承継することが患者・従業員・ご自身とご家族にとって良い選択肢と考えられます。
いずれにしても、昨今多くの医院では急な体調不良などにより廃業せざるを得ないケースが多いことから、予め廃業にするのか承継するのか方向性を検討し計画的に準備を進めることがとても重要です。
余裕をもって準備をすることでハッピーリタイアに繋がり、また手続きも専門の担当に依頼することで負担を軽減できますので、まずはリタイアメントプランの計画から進めることをお勧めします。
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