真の事業承継の手順3(準備)
承継の準備を
9.次のステップのための活動
「外来を実質的にはもたない診療所を設置し、在宅療養支援診療所として活動するのか、さらに高専賃を運営し、地域貢献していくのか、介護事業のお手伝いをするのか、栄養指導を行う会社をつくり、生活習慣へのサポートを行っていくのか、はたまた、レストランやスポーツ施設の顧問となり、健康療法を普及するための仕事をしていくのか、進まれる方向に制限はありません」と説明しました。これらの仕事や活動を企図するためには、多くの準備をしていかなければなりません。
- 情報収集、
- 市場調査、
- 複数の方向検討、
- 家族の意向分析、
- シミュレーション、
- 意思決定、
- 事業計画立案
などを実施します。
診療所をどのように継承していくのかというプロセスと、これからどのように医師として活動していくのか、第二の人生をどう計画するのかのバランスをみた場合、両者はまったく一体となり、同時並行として進めていく性格のものであることが分かります。
前者だけで後者がなければ事業承継する意味が薄れるし、また後者は前者がなければ成り立たない可能性があります。ただ事業承継を進めるなかで、事業承継完了といわば第二のステップがスタートする時期に齟齬が生まれることがよくあります。準備ができていないまま事業承継してしまい、次のステップに乗り損ねることや、事業承継が終了していないのに準備してきた次のステップに進まざるを得なくなるケースです。
一般的には、事業承継が完了していないなかで、次のステップに進むことのほうが、事業承継が完了してしまったにもかかわらず、次のステップが決まっていないということよりもよい、と話される医師が多いように思います。
ただ、事業承継の後のことはしばらく余裕をもって考えたいという方針をもって事業承継を進めている医師もいるので、この点については継承とパラレルに結論を出す問題ではないという理解もしています。院長が両者を一体として準備をしたいというときには、その準備をするという文脈で考えることが適切かもしれません。
事業承継計画というもの
10.事業承継計画立案
上記の活動をすべて事業承継計画として立案することが必要です。いつまでに何をするのか、何をしなければならないのかを考え、それをスケジュール化することで合目的的な活動を行うことができます。スケジュールを立てず何かを進めることが、成果をあげづらくすることは医師自身がよくご存じです。
開業するときには何人もの業者が綿密な計画を立て、医師と打ち合わせをしながら作業を進めてきました。そして、その後も診療所の経営トップとして計画的に診療活動を進めてこられたと思います。
事業承継についても、単純にこれを捉えるのではなく、じっくりと考え検討し、そして全体を俯瞰した対応を決定するとともに、計画を立て一つひとつの項目をクリヤーしていくことが必要です。
ここで事業承継計画は、大きくいえば
- 今までをどう整理するのか
- 医師としてどのように社会とかかわっていくのか
- 資産をどのように運用し、どのように使っていくのかを決定し、
- 決定した事項をどのようにうまく実行していくのか
についての行動計画を立案するものといえます。
これらのプランニングや実行のためには、どの項目は誰が検討し、どれはどのように行うのか。開業時や、そして診療所のマネジメントについてもそうであったように、事業承継においても医師を支援するスタッフを集めることが必要であるかもしれません。
多くの院長が思い通りの事業承継が行えることを期待しています。
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