ライフサイエンス研究と
医療の現場に新たな価値を創造します。
高魚 力
PHCホールディングス株式会社 執行役員
PHC株式会社 バイオメディカ事業部長
メッセージ
PHC株式会社バイオメディカ事業部は、1966年に医薬品の保存を目的として設計・開発した薬用保冷庫の販売を契機に、ライフサイエンス分野に参入しました。
高品質で信頼性の高い商品・サービスを提供することで「ライフサイエンスと医療に新たな価値を創造し、健康で豊かな社会づくりに貢献する」という事業部のミッション実現に向けて取り組んでいます。
私はPHC株式会社の前身である松下寿電子工業に入社して以来、30年にわたり技術・生産技術の分野を中心に取り組んでまいりました。私の変わらぬポリシーは技術立社であり、新商品無くして事業成長は無いと考えております。今後も魅力的な新商品の開発を進めてまいります。直近では、血糖計で培ったセンサー技術などを生かした新商品を開発・生産し、細胞・遺伝子治療(CGT)の治療製造プロセスへも貢献していく所存です。
主要顧客
- 製薬企業/バイオテック
- 病院/診療所
- 研究機関/大学
- 調剤薬局
概要
バイオメディカ事業部は主にライフサイエンス研究において、試料の保存や細胞培養、クリーンな研究環境の維持等に必要とされる革新的な機器とサービスを国内外の製薬企業や医療機関、大学等に提供しています。
三洋電機のバイオメディカ事業部が当事業の前身ですが、2012年に三洋電機がパナソニックに統合されたことをきっかけにPHCグループに加わりました。前身は違いますが、両社のモノづくりの長所が融合し、より強固なものになりました。
効率性と使いやすさを追求した精緻な設計や先進的な技術と高度なモノづくりに裏打ちされた我々の製品は高い品質と信頼性を誇り、優れた性能とエネルギー効率を実現します。
今後も、ライフサイエンス分野における研究パートナーとして、最先端の製品・サービスを通じた貢献を続けます。
強み
- 大手製薬企業や公的認証機関などに認められた業界トップクラスの高性能かつ高品質な製品とサービス
超低温フリーザーは業界最高水準の温度制御を実現し、またその省エネ性能でも世界トップクラスです。またCO2インキュベーターも独自の汚染防止機能があり、その品質・省エネ性や使い勝手の良さは高い評価を受けています。
- 高品質な製品を支えるモノづくり
精緻な技量と集中力を要する溶接工程では、作業者のコンディション影響を最小化するための取り組みや、工場内にあるモノづくり訓練道場での研修・訓練制度等、高品質なモノづくりを支えるための知見と工夫が蓄積されています。
- 国内外における高い市場シェアと幅広く強固な顧客基盤
主力の超低温フリーザーやCO2インキュベーターは国内で1位、グローバルでも2位のシェアを有しています。これらのポジションおよびこれまで築いてきた顧客との信頼関係をベースに、今後新たな領域における新製品・サービスを展開していきます。
What’s new
バイオメディカ事業部では、2022年度よりABCD(Achieving Biomedical’s Cost Down)プロジェクトというクロスファンクショナルチーム改善活動を推進しています。
部門の壁を越えて、小規模チームを結成しこれまでの2年間で約150件の改善を実行しました。
特に事業部への貢献度の高い改善に対する表彰制度を設けており、従業員のチャレンジの場にもなっています。
また、改善活動の中には原材料使用量の適切化、設備の省電力化、梱包資材の削減、物流の効率化などのテーマも少なく無く、ESGとの親和性も高いことから、2024年度よりABCD+ESGプロジェクトに名前を変え、単なる会社への
利益貢献だけでなく、持続可能な社会へ向けた事業部横断活動として再スタートしております。
(2024年3月)
PHC株式会社 バイオメディカ事業部 調達部 次長出崎 将司
従業員の声
今年度、我々はCGT元年を迎えます。2018年のコンセプト策定から、多くの方々に支えられ、代謝分析装置LiCellMoを上市できることを大変喜ばしく思います。グローバルでのデモを通じ、多くの研究者からこれまでは困難であった連続的な細胞代謝変化を検出できる装置として高い評価をいただいております。CGT医薬品の製造に向けた基礎研究やプロセス開発に用いるLiCellMoに続き、今後はCGT医薬品そのものの製造に貢献してまいります。CGTはがんや希少疾患等これまで根治が困難で
あった疾患の治療に貢献する画期的な手法です。技術を通じて社会に貢献するという高い誇りを持ち、
PHCの総力を結集して新規事業を推進してまいります。
PHCNA CGTチーム US イリノイ州
WoodDale事務所
主要製品・サービス
- 超低温フリーザー
高効率な冷媒・熱交換器の開発、断熱技術を用いてグローバルでもトップクラスの省エネ性能を有する製品や、2つの独立した冷凍回路を搭載し、1つが故障しても‐70℃を維持し安心・安全な保管を実現する製品(デュアル冷却技術)
- CO2インキュベーター
除染時間を大幅に短縮する過酸化水素除染技術、お客さまの研究を中断させることなく培養しながら器内汚染防止が可能な銅合金ステンレス、UV殺菌機能等、業界をリードする製品
- ファーマシーソリューション
高速で正確かつ安定した稼動を可能にする自動化技術、ヒューマンエラー防止技術を用いて、薬局および病院内の調剤から投与までの業務をきめ細かく支援する自動錠剤包装機をはじめとするシステム機器
- フードソリューション
医療施設や福祉施設での適温給食に貢献する「デリカート」は、パワーアシスト等の先進機能で、安全・効率的な配膳作業をサポート
-
超低温フリーザー
高精度な温度管理で
検体等を長期安定保存
-
CO2インキュベーター
最適な培養環境を実現し、
細胞培養の生産性を向上
-
薬用保冷庫
自然冷媒とインバーター制御コンプレッサーを搭載し、大幅な省エネルギーを実現
-
ワイヤレスモニタリング
システム
庫内温度データをクラウド上に保存し、
稼働状況をリアルタイムで一元管理
-
自動錠剤包装機
処方薬のカウント・払出・一包化を自動化。
薬剤師の業務効率化と調剤ミス低減に貢献
-
デリカート
保温保冷機能・パワーアシスト走行機能
により給食の配膳負荷を軽減
※ 自社調べ
バイオメディカ事業部
超低温フリーザーや薬用保冷庫等のライフサイエンス機器の基盤領域では、商品の競争力強化による収益力向上を目指します。また、細胞・遺伝子治療やmRNA医薬、核酸医薬といった新しいモダリティや先端技術への研究開発は活発で、全体として年2桁成長が引き続き見込まれています。バイオメディカ事業部では細胞・遺伝子治療を成長領域と位置付け、製造のQCD改善に貢献する製品の研究開発、上市を加速していきます。
【基盤領域】
超低温フリーザーやCO2インキュベーターといった高付加価値商品については、差別化できる新製品開発を進め、また、その他商品についてはインドネシア拠点を活用し、開発設計および製造オペレーション効率化により価格競争力を高めていきます。
【成長領域】
細胞・遺伝子治療の領域にも注力します。細胞培養では、細胞の代謝物が細胞の健康状態を見る上で重要な指標となります。従来は手作業での間欠的な代謝物の測定であったため、常に細胞の状態を把握することは困難でした。血糖値測定で培った特定化合物の定量化技術を応用して開発したライブセル代謝分析装置は、細胞代謝物を連続測定することが可能になり、リアルタイムで細胞の状態を可視化します。この技術によって、従来の手法では得られなかった新たな知見が獲得できるだけでなく、その知見を通じて治療用細胞の安定した製造への貢献が期待できます。